高校授業料無償化とは?
高等学校等就学支援金制度の仕組みや申請方法、注意点を解説

高校授業料無償化がはじまり、高校へ通う子どもがいる家庭の助けとなっています。

私立高校への支援も拡充され、私立高校へ通っている場合も授業料の負担が実質無料となるケースがあります。

本記事では、高校授業料無償化の概要や所得要件、申請方法を解説します。制度を受ける際の注意点も取り上げるため、高校へ通う子どもがいる人は、ぜひ参考にしてください。

※本記事は、2023年11月現在の内容です。

高校授業料無償化(高等学校等就学支援金制度)とは?

高校授業料無償化の正式名称は「高等学校等就学支援金制度」です。

所得などの要件を満たして認定を受けると、高等学校等就学支援金が支給され、授業料の負担を軽減できます。

対象者は日本国内に在住し、高等学校に在学する人です。

国公立高校では、授業料相当額が支給され、授業料の負担は実質無償です。

私立高校では、保護者等の所得に応じて支給額が変わります。支給額と実際にかかる授業料の差額は、各家庭で負担します。

※制度に関する記載は2023年11月現在の制度に基づくものであり、将来変更される可能性があります。

高校授業料無償化の所得要件

高等学校等就学支援金制度には所得要件があり、保護者等の所得が一定以上の場合は受給対象外となります。

具体的には、以下の計算式から算出した金額が30万4,200円未満の世帯の生徒が受給対象となります。

保護者等の課税標準額(課税所得額)×6%−市町村民税の調整控除額

課税所得とは、給与等の収入から所得控除を差し引いた金額を指します。世帯年収にすると約910万円未満が受給対象の目安です。

高校授業料無償化の支給上限額

高等学校等就学支援金の支給上限額は、国公立高校と私立高校で異なります。私立高校に関しては、世帯収入によって支給上限額が異なります。

以下では、国公立高校と私立高校に分けて、高等学校等就学支援金の支給上限額を解説します。

国公立高校の支給額

国公立高校の支給限度額は、全日制・定時制・通信制によって異なります。

月額
公立高校・国立高校全日制 9,900円
公立高校定時制 2,700円
公立高校通信制 520円

※国立高校の定時制・通信制は存在しない

出典:文部科学省「支給期間・支給限度額一覧(令和2年4月以降)」

なお、単位制の場合は、学校の種類によって支給額が異なります。

私立高校の支給額

以下の計算式で算出された金額が、15万4,500円以下の場合は最大39万6,000円、15万4,500円以上30万4,200円以下の場合は11万8,800円が支給されます。

保護者等の課税標準額(課税所得額)×6%−市町村民税の調整控除額

世帯年収の目安は以下のとおりです。

<両親共働きの場合>

子の人数 11万8,800円(月額9,900円)の支給 39万6,000円(月額3万3,000円)の支給
子ふたり(高校生・中学生以下) 〜約1,030万円 〜約660万円
子ふたり(高校生・高校生) 〜約1,070万円 〜約720万円
子ふたり(大学生・高校生) 〜約1,090万円 〜約740万円

<両親のうち一方が働いている場合>

子の人数 11万8,800円(月額9,900円)の支給 39万6,000円(月額3万3,000円)の支給
子ふたり(高校生・高校生) 〜約950万円 〜約640万円
子ふたり(大学生・高校生) 〜約960万円 〜約650万円

※支給額は、私立高校(全日制)の場合。
※子について、中学生以下は15歳以下、高校生は16~18歳、大学生は19~22歳の場合。
※給与所得以外の収入はないものとし、両親共働きの場合、両親の収入は同額として計算した場合。

出典:文部科学省「私立高校授業料実質無償化リーフレット」

ただし、年収はあくまでも目安です。各種控除を差し引いた結果次第では、紹介した年収以内でも支給対象にならない、または年収を超えていても支給対象になるケースもあるので注意しましょう。

高校授業料無償化の申請方法

高等学校等就学支援金制度は、所得要件を満たしていても、申請しなければ支給されません。申請は原則オンラインであり、新入生と在学生では手続きの時期や内容が異なります。

以下、新入生と在学生に分けて、申請方法を解説します。

新入生の場合

新入生の場合、申請に必要なID・パスワードが4月ごろに学校から配布され、案内が届きます。案内に従って専用のオンライン申請システムから、申請を進めましょう。

オンライン申請システムで配布されたID・パスワードを使ってログインすると、支給希望の意向確認があります。

意向確認後、生徒情報の内容を確認し、保護者の氏名や生年月日、収入状況を登録します。収入状況は原則、親権者全員分の登録が必要です。

マイナンバーカードを持っている場合、審査に必要な課税情報などはマイナンバーカードの読み取りで取得できます。マイナンバー情報を、学校などへ提出する必要はありません。

マイナンバーカードを持っていない場合は、都道府県で課税情報などを確認するため、個人番号を入力します。

登録内容から都道府県で審査後、結果が通知され、対象世帯は申請月から支給がはじまります。

在学生の場合

在学生の場合、毎年7月ごろに世帯の所得情報が更新され、学校から案内が届きます。新入生の場合と同様、案内に従って収入状況を届け出ましょう。

入学時に配布されたID・パスワードを使ってオンライン申請システムにログインし、支給継続の意向を登録します。

登録済みの生徒や保護者の情報を確認し、保護者に変更がある場合は内容を登録します。

マイナンバーカードを持っている場合、課税情報などはマイナンバーカードの読み取りで取得できます。

マイナンバーカードを持っていない場合は、都道府県で課税情報などを確認するため、個人番号を入力します。ただし、過去に提出済みの場合は、再提出は不要です。

なお、申請を忘れると7月以降に支援金が支給されません。忘れずに申請しましょう。また、過去にマイナンバーを提出していると、一部手続きを省略できる場合があります。

登録内容から都道府県で審査後、結果が通知され、対象世帯へ申請月から支給がはじまります。

高校授業料の支援金を受ける際の注意点

高校授業料の支援金を受ける場合、以下の3点に注意しましょう。

  • 制度対象は公立・私立高校の授業料のみ
  • 所得制限の要件を満たしていても申請が必要
  • 支援金は学校の設置者が受け取る

以下で詳しく解説します。

制度対象は公立・私立高校の授業料のみ

高等学校等就学支援金制度で支給される支援金は、月々の授業料以外で必要な教科書代や教材費などには使えません。

授業料以外の教育費は、高校生等奨学給付金などで支援しています。また、都道府県ごとに独自の支援制度を設けている場合もあるため、必要に応じて居住地の自治体に確認しましょう。

所得制限の要件を満たしていても申請が必要

所得要件を満たす家庭であっても、入学時の申請や毎年の届け出を忘れていると、支援を受けられません。

高等学校等就学支援金制度は、自動的に支給される制度ではないため注意しましょう。

また、収入に関して虚偽の申請をすると、刑罰を受ける場合があります。申請時の収入状況は正しく登録しましょう。

支援金は学校の設置者が受け取る

高等学校等就学支援金制度の支援金は、高校へ通う生徒自身や生徒の保護者ではなく、都道府県や学校法人など学校の設置者が受け取ります。

支援金を受け取ってから、学校へ授業料を支払う手続きは発生しません。私立高校で授業料に差額がある場合は、差額分のみを支払います。

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まとめ

高校授業料無償化の正式名称は「高等学校等就学支援金制度」といい、国公立高校の授業料の負担を実質無償化できる制度です。

支給には所得要件がありますが、要件を満たす世帯は案内に従って申請すると、授業料相当額を学校側が受取ります。家庭で負担する授業料が、国公立高校の場合で実質0円となり、高校へ通う子どもがいる家庭にとって大きな助けとなるでしょう。

なお、私立高校へ通う場合は所得に応じて支給額が変化し、差額分の授業料は各家庭が負担します。

家庭の負担を軽減するため、高校へ通う子どもがいる場合は、忘れずに申請しましょう。

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