外貨建保険の確定申告は
難しい?税金の種類や
為替レートについて解説

外貨建保険の申込みを検討している人や利用している人のなかには、「確定申告や税金が複雑で難しいのでは?」と不安な人も多いのではないでしょうか。

外貨建保険とは、払い込んだ保険料が外貨で運用される保険のことです。保険金や解約返戻金などにかかる税金や確定申告の取扱いは、円建保険と基本的には変わりません。

本記事では、外貨建保険にかかる税金の種類や確定申告の方法を解説します。円に換算する際に使用するレートなども解説するので、参考にしてください。

※税務上の取扱いについては2022年12月現在の税制に基づくものであり、今後、税制の変更に伴い取扱いが変わる場合があります。

外貨建保険でかかる税金の
種類と確定申告の方法

外貨建保険は、払い込んだ保険料を外貨で運用するタイプの保険を指します。保険金や解約返戻金などにかかる税金の種類は、円建保険と同じです。

外貨で保険料を払い込んだり、保険金を受け取ったりした場合の確定申告は、日本円に換算して行ないます。外貨建保険にかかる税金の種類や確定申告の方法を、以下で詳しくみていきましょう。

外貨建保険の保険金などにかかる税金は円建保険と同じ

外貨建保険の保険金などにかかる税金の種類は、円建保険と同様で、契約者、受取人、受取方式により異なります。

死亡保険金を一時金で受け取る場合、かかる税金の種類は、相続税、所得税と住民税、贈与税のいずれかです。以下の表を参考にしてください。

死亡保険金にかかる税金の種類

契約者 被保険者 受取人 税金の種類
相続税
所得税(一時所得)+住民税
贈与税

満期保険金を一時金で受け取る場合は、所得税と住民税、または贈与税がかかります。

満期保険金にかかる税金の種類

契約者 受取人 税金の種類
所得税(一時所得)+住民税
贈与税

また、解約返戻金を受け取った際は、所得税(一時所得)と住民税の課税対象となります。

なお、一時所得には、最高50万円の特別控除額が設けられています。一時所得を計算する際に利益から差し引けるため、解約返戻金と払い込んだ保険料の差額が50万円以下の場合は税金がかかりません。

ただし、最高50万円は年間の一時所得の合計に対しての控除となるため、ほかにも一時所得がある場合は注意が必要です。

相続税には非課税枠がある

外貨建保険で受け取った死亡保険金が相続税の課税対象になる場合は、円建生命保険と同様に非課税枠が活用できます。

相続税には生命保険の非課税枠が設けられており、以下の式で計算した金額までは相続税がかかりません。

非課税枠=500万円×法定相続人の数

法定相続人は、法律で定められた相続人のことです。仮に、相続人が配偶者と子ども2人だとすると、500万円×3人=1,500万円となり、1,500万円までは相続税が非課税となります。

源泉分離課税になる場合がある

外貨建保険で契約者と受取人が同じ場合、所得税と住民税の課税対象となり、通常はほかの所得と合算して計算する総合課税が適用されます。

総合課税とは、給与所得や一時所得、雑所得など各々の所得を合計した総所得金額をもとに税金を計算する課税方式です。

ただし、「金融類似商品」については、一律20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の源泉分離課税となります。

具体的には、一時払養老保険で保険期間が5年以下のものや、保険期間が5年超で5年以内に解約したものなどが「金融類似商品」に該当します。

この場合は、保険金などを受け取る際に20.315%が差し引かれるため、確定申告の手続きは行ないません。

確定申告や税金の計算は日本円に換算して行なう

外貨建保険の保険料を外貨で払い込んだり、保険金を外貨で受け取ったりした場合は、日本円に換算してから円建保険と同じように確定申告・納税を行ないます。

日本円に換算する際に使用する為替レートは、以下の二つです。

  • TTM(Telegraphic Transfer Middle Rate):金融機関で外貨を取引する際の基準となるレートで「仲値」のこと
  • TTB(Telegraphic Transfer Buying Rate):外貨を円に戻すときのレート

円に換算する際の基準日と為替レートは、次の表を参考にしてください。

項目 基準日 換算時の為替レート
一時払保険料 保険料領収日 TTM
解約返戻金 源泉分離課税になる場合 請求書類受付日 TTB
所得税(一時所得)になる場合 TTM
満期保険金 贈与税になる場合 満期日 TTB
所得税(一時所得)になる場合 TTM
死亡保険金 相続税・贈与税になる場合 死亡日 TTB
所得税(一時所得)になる場合 TTM

満期保険金を受け取らずに据え置いた場合も、満期日に受け取ったものとして課税されるので注意してください。

難しく感じるかもしれませんが、実際に確定申告を行なう際には、保険会社から届く案内を見て手続きします。

基準日や為替レート、円換算での保険金額などが記載されているので、確定申告まで紛失しないよう大切に保管しておきましょう。

円で払込み・受取りをした場合は、実際に払い込んだ金額・受け取った金額で、円建保険と同じように確定申告・納税をすれば問題ありません。

外貨建保険でも税法上の
優遇が受けられる

外貨建保険も、円建保険と同様に生命保険料控除の対象となります。

生命保険料控除とは、1年間に払い込んだ保険料の金額に応じて、一定の金額まで所得控除が受けられる制度です。

税金を計算する際に、所得から控除額を差し引けるため、その分所得が少なくなり所得税と住民税を軽減できます。

生命保険料控除には、以下の3種類があります。

  • 一般生命保険料控除
  • 介護医療保険料控除
  • 個人年金保険料控除

それぞれの項目で最高40,000円(住民税は最高28,000円)、3つ合計で最高120,000円(住民税は最高70,000円)の所得控除が受けられます。

なお、生命保険料控除を受けるためには、年末調整または確定申告での手続きが必要です。 円建保険と同様、毎年、多くの保険会社が10月ごろから「生命保険料控除証明書」を発行、郵送等していますので、手続きまで大切に保管しましょう。

外貨建保険の確定申告は
難しくない

外貨建保険は、為替の変動による影響を受ける点には注意が必要ですが、税金や確定申告の取扱いは円建ての保険と大きく変わりません。

円入金特約・円支払特約をつけて円で払込み・受取りをした場合は、実際の金額で円建保険と同じように確定申告の手続きを行ないます。

外貨で払込みや受取りをした場合は、円への換算が必要ですが、為替レートや円換算での保険金額などが記載されている案内が保険会社から届くため、それを参照して確定申告をすれば問題ありません。

外貨建保険で注意が必要なのは、主に以下の二つです。

  • 為替リスクがある
  • 為替手数料が発生する

払い込んだ保険料が米ドルなどの外貨で運用されるため、常に為替変動による影響を受けます。円換算での保険金が、払い込んだ保険料を上回る可能性もありますが、下回る可能性もある点に注意が必要です。

また、外貨建保険では、日本円を外貨と交換するための為替手数料がかかります。円入金特約・円支払特約をつけて円で払い込んだり円で受け取ったりする場合、特約が適用される際のレートに為替手数料が含まれています。あらかじめ商品パンフレットなどで為替手数料やその他費用をしっかり把握しましょう。

一方、外貨建保険には以下の特徴もあります。

  • 一般的に日本円より高い利率での運用が期待できる
  • 同じ保障内容の場合、円建保険に比べて保険料が割安な傾向がある

日本は長く低金利時代が続いているため、円建保険と比べて高い利率が期待できる点が特徴です。また、保険料も割安な傾向にあります。

為替の仕組みを理解し、リスクを許容できる人には、外貨建保険も選択肢の一つとなるでしょう。

明治安田生命の外貨建生命
保険の例

明治安田生命では、主に4つの外貨建生命保険を取り扱っています。

  • つみたてドル建終身
  • 期間がえらべる外貨建一時払終身保険
  • 贈与がかんたん外貨建一時払終身保険
  • 米ドル建・一時払養老保険

それぞれの特徴を以下で紹介するので、参考にしてください。

※保険商品をご検討いただく際には、「契約締結前交付書面(契約概要・注意喚起情報)」を必ずご確認ください。

※外貨建保険商品にご契約の際は、必ず外貨建保険販売資格をもつ生命保険募集人にご相談ください。

つみたてドル建終身

「つみたてドル建終身」は、一生涯にわたる保障と将来の資金準備を兼ね備えた米ドル建ての終身保険です。

保険料の払込満了後は、米ドル建てで一生涯の保障が用意できます。また、解約して自身で解約返戻金を受け取ることも可能です。

※この生命保険は米ドル建て商品のため、以下の点にご留意ください。
・お客さまにご負担いただく費用として、保険契約にかかる費用(「保険契約関係費用」「解約控除」)および外貨の取扱いにかかる費用(「お払込時にかかる手数料」「お受取時にかかる手数料」)などがあります。
・為替レートの変動により、積立金額が毎回の保険料(円)をご契約時の当社所定の為替レートで試算した金額を下回ったり、お受け取りになる円換算後の保険金額や解約返戻金額などが、ご契約時の当社所定の為替レートで円換算した金額を下回るおそれがあります。さらに、円でお払込みいただいた保険料の累計額を下回り、損失が生じるおそれもあります。

※この保険はご契約後一定期間内に解約された場合の解約返戻金を低く設定しています。そのため、この期間内に解約された場合の返戻金額は積立金額を下回ります。特にこの期間内に解約返戻金を円でお受け取りいただく場合の金額は、為替レートの変動により、円でお払込みいただいた保険料の累計額を大きく下回り、損失が生じるおそれがあります。

詳しくは契約締結前交付書面(契約概要・注意喚起情報)をご確認ください。

期間がえらべる外貨建一時払終身保険

「期間がえらべる外貨建一時払終身保険」は、第1保険期間を5年・7年・10年から選び運用することで、資産を増やすことができる米ドル建ての一時払終身保険です。

第1保険期間中の死亡保障等を抑えることで、第2保険期間の米ドル建てでの解約返戻金が大きく増加する点が特徴です。

※この生命保険は米ドル建て商品のため、以下の点にご留意ください。
・お客さまにご負担いただく費用として、保険契約にかかる費用(「保険契約関係費用」「解約控除」保険金額や解約返戻金など)および外貨の取扱いにかかる費用(「お払込時にかかる手数料」「お受取時にかかる手数料」)などがあります。
・為替レートの変動により、お受け取りになる円換算後の保険金額や解約返戻金額などが、ご契約時の当社所定の為替レートで円換算した金額を下回るおそれがあります。さらにご契約時の一時払保険料(円)を下回り、損失が生じるおそれもあります。

詳しくは契約締結前交付書面(契約概要・注意喚起情報)をご確認ください。

贈与がかんたん外貨建一時払終身保険

「贈与がかんたん外貨建一時払終身保険」は、かんたん・計画的に生前贈与できる米ドル建ての一時払終身保険です。

「贈与契約書」を作成することなく生前贈与が行なえるのと同時に、一生涯の死亡保障も準備できます。

※この生命保険は米ドル建て商品のため、以下の点にご留意ください。
・お客さまにご負担いただく費用として、保険契約にかかる費用(「契約初期費用」「保険契約関係費用」)および外貨の取扱いにかかる費用(「お払込時にかかる手数料」「お受取時にかかる手数料」)などがあります。
・為替レートの変動により、お受け取りになる円換算後の死亡保険金・生存給付金・解約返戻金などの合計額が、ご契約時の当社所定の為替レートで円換算した金額を下回るおそれがあります。さらに、ご契約時の一時払保険料(円)を下回り、損失が生じるおそれもあります。また、生存給付金の円換算額が、ご契約時の当社所定の為替レートで円換算した金額を上回り、贈与税額が大きくなる場合があります。

詳しくは契約締結前交付書面(契約概要・注意喚起情報)をご確認ください。

米ドル建・一時払養老保険

「米ドル建・一時払養老保険」は、米ドル建ての保険期間10年の養老保険です。

保険期間中の死亡保険金額を基本保険金額にまで抑え、満期保険金額を大きくしています。満期後は、米ドルで最長10年間の据え置きが可能です。

※この生命保険は米ドル建て商品のため、以下の点にご留意ください。
・お客さまにご負担いただく費用として、保険契約にかかる費用(「契約初期費用」「保険契約関係費用」)および外貨の取扱いにかかる費用(「お払込時にかかる手数料」「お受取時にかかる手数料」)などがあります。
・為替レートの変動により、お受け取りになる円換算後の保険金額や解約返戻金額などが、ご契約時の当社所定の為替レートで円換算した金額を下回るおそれがあります。さらに、ご契約時の一時払保険料を下回り、損失が生じるおそれもあります。

詳しくは契約締結前交付書面(契約概要・注意喚起情報)をご確認ください。

まとめ

外貨建保険の保険金などにかかる税金の取扱いは、基本的に円建保険と同じです。外貨で払い込んだ場合や受け取った場合は、円に換算してから円建保険と同じように確定申告・納税を行ないます。難しく感じるかもしれませんが、保険会社から届く案内をみながら手続きをすれば問題ありません。

外貨建保険には、為替リスクがある、為替手数料がかかる点には注意が必要ですが、円より高い利率での運用が期待できる、円建の保険と比べて保険料が安い傾向にあるなどの良い点もあります。

注意点を踏まえ、為替リスクを許容できる人は、外貨建保険での運用を検討してみてください。

募Ⅱ2201899営企

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