出産費用に保険は適用され
る?適用外のケースや利用
できる公的制度を紹介

出産時にはまとまった費用が必要となるため、経済面での不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。正常分娩では公的医療保険制度が適用されず、出産費用は基本的に全額自己負担となります。

本記事では、公的医療保険制度適用・適用外のケースや出産時に利用できる公的制度をまとめました。出産費用はもちろん、出産後も育児や教育など大きなお金が必要となります。出産を控えている人は、ぜひ参考にしてください。

※公的医療保険制度に関する記載、公的制度の記載、税務上の取扱いについては、2022年12月現在の制度に基づくものであり、将来変更される可能性があります。

出産に必要な費用はどれくらい?

厚生労働省によると、2021年度の平均出産費用は、462,902円(室料差額を含まない)でした。

※異常分娩を含む全体の平均

また、出産費用の内訳はそれぞれ以下のとおりでした。

入院料 115,776円
分娩料 276,927円
新生児管理保育料 50,058円
検査・薬剤料 14,419円
処置・手当料 16,135円
室料差額 17,255円
産科医療補償制度 15,203円
その他 32,491円
合計 538,263円

※「令和4年 出産育児一時金について」(厚生労働省)をもとに作成

出産には50万円ほどの大きなお金が必要なことが分かります。なお、上記は正常分娩の場合の内訳です。異常分娩の場合は、医師等による介助その他の費用が該当する「分娩介助料」がかかる場合もあります。

また、調査結果によると、出産費用はこの9年間、毎年約1%前後増加しています。 このように、出産の費用負担は決して小さいとは言えません。

出産費用に保険は適用される?

出産費用には、基本的に公的医療保険制度が適用されません。ただし、異常分娩で出産した場合は適用されます。適用される場合とそうでない場合について、以下で詳しく解説します。

正常分娩の場合は保険適用外

正常分娩とは、帝王切開などの医療行為ではなく、自然の流れに沿って行なう分娩方法を指します。

正常分娩で出産した場合は、基本的に公的医療保険制度が適用されず全額自己負担となります。正常分娩による出産は、病気やケガには該当しないためです。

また、民間の医療保険でも多くの場合、正常分娩での出産は保障の対象となりません。

つまり、正常な状態で分娩した場合、公的医療保険制度の適用、民間の医療保険等の保障のいずれも受けられません。

異常分娩の場合は保険適用

異常分娩とは、分娩で異常が発生し、鉗子娩出術、吸引娩出術、帝王切開術などの処置が行なわれる分娩を指します。

帝王切開や吸引分娩などの異常分娩で出産した場合は公的医療保険制度が適用されるため、一般的に自己負担割合は3割となります。

また、異常分娩の場合は民間の医療保険の保障も対象になります。

妊娠・出産時に利用できる
公的制度

出産には50万円程度の大きな費用がかかりますが、負担を軽減できる公的制度があります。妊娠・出産時に利用できる主な公的制度は、以下のとおりです。

  • 妊婦健康診査(妊婦健診)費用の助成
  • 出産育児一時金
  • 高額療養費制度
  • 出産手当金・傷病手当金
  • 医療費控除

出典:「知るぽると:妊娠・出産にかかる費用と負担軽減のための主な制度(金融広報中央委員会)」

それぞれの制度を詳しく解説します。

妊婦健康診査(妊婦健診)費用の助成

妊娠中にかかる妊婦健診費用は、基本的に全額自己負担です。ただし、多くの自治体では、妊婦健診費用の一部の助成を行なっています。

一般的には、自治体の窓口などで妊娠の届出をした際に母子手帳と一緒に補助券が交付されます。金額は自治体によって異なります。

補助券は14回程度に分けて使えるようになっており、基本的に健診1回につき1枚が利用可能です。そのため、1枚ごとの助成金額を超えた部分は自己負担となります。

補助券は主に交付を受けてからのみ利用が可能です。交付されるまでの費用は自己負担となるため、妊娠がわかったらなるべく早く自治体に妊娠届を出しましょう。

出産育児一時金

出産育児一時金は、出産したときに一児につき42万円が支給される制度です。産科医療補償制度(※)に加入されていない医療機関等で出産された場合は、一児につき40.8万円(2021年12月31日以前の出産は40.4万円)です。

12週以上の妊娠が支給対象であり、早産、死産、流産、人工妊娠中絶なども含まれます。

出産育児一時金は一律で42万円支給されるため、仮に出産費用が50万円だとすると、実際に負担する金額は8万円となります。

また、出産育児一時金が直接医療機関に支払われる「直接支払制度」を利用すれば、出産育児一時金を上回った金額のみを医療機関の窓口で支払うことになり、高額な出産費用を用意する必要はありません。

多くの医療機関が直接支払制度に対応していますが、念のため事前に確認しましょう。直接支払制度が利用できない場合は、出産育児一時金が支給されるのは後日となるため、一時的にまとまった出産費用を負担する必要があります。

※産科医療補償制度:分娩を取り扱う医療機関が加入する制度で、分娩に関連して重度脳性麻痺となった赤ちゃんと家族の経済的負担を補償する制度

高額療養費制度

高額療養費制度は、1ヵ月間に支払った医療費が高額になった場合に、自己負担の限度額を超える分について払い戻しが受けられる制度です。自己負担の限度額は、年齢と所得に応じて決められています。

通常は、自己負担額を超えた分が後から払い戻されますが、事前に申請のうえで「限度額適用認定証」を提示すれば、窓口での支払いは自己負担限度額までの金額となります。

公的医療保険制度が適用される帝王切開などの出産は、高額療養費制度の対象になる場合があります。帝王切開が事前に決まっている場合は、前もって限度額適用認定証を申請しておきましょう。

なお、公的医療保険制度が適用されない正常分娩は、高額療養費制度の対象にはなりません。

出産手当金・傷病手当金

出産手当金とは、会社員が出産で会社を休むと支給される手当のことです。出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲で、会社を休み、給与の受け取りがない期間を対象に受け取れます。

1日あたりの支給金額は、以下の計算式で算出します。

支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3

出産手当金と傷病手当金の両方が受給できる場合、出産手当金のみが支給されます。傷病手当金の1日あたりの支給金額も出産手当金と同様に算出しますが、出産手当金と傷病手当金の支給開始月が異なると、支給額が異なる場合があります。出産手当金の額が傷病手当金の額よりも少ないときは、差額が受け取れます。

なお、出産手当金・傷病手当金は、健康保険の被保険者のみが対象の制度です。

医療費控除

医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までの間に、本人または扶養家族のために支払った医療費が一定額を超える場合に利用できる所得控除です。税金を計算する際に、以下の式で算出した金額(上限200万円)を所得から差し引けます。

医療費控除の金額=(1年間に支払った医療費の合計額―保険などで補填される金額)―10万円または総所得金額等の5%の金額(※)

※その年の総所得金額等が200万円未満の人の場合

高額療養費制度や出産育児一時金、生命保険から受け取った給付金などで払い戻し・支給された金額は、「保険などで補填される金額」にあたり、差し引いて控除額を計算します。

出産時にかかる以下のような費用も、医療費控除の対象です。

  • 妊婦健診費用
  • 通院費用
  • 出産で入院する際、公共交通機関の利用が困難で利用した場合のタクシー代
  • 入院中の食事など

確定申告をすれば、所得税と住民税の軽減につながります。通院費用など領収書がないものは、明確に説明できるよう記録しておきましょう。

妊娠中や出産後に検討したい
学資保険

正常分娩での出産は、公的医療保険制度の適用外となるため、基本的に保険では備えられません。しかし、教育資金であれば学資保険で備えることができます。

子どもが産まれてから学資保険を検討する人も多いですが、商品によっては妊娠中でも申込みが可能です。

出産後は育児に追われてなかなか将来のことを考える時間が取れません。そのため、じっくり考える時間がとりやすい妊娠中に学資保険を検討することをおすすめします。

学資保険について、以下で詳しくみていきましょう。

学資保険とは


学資保険とは、子どもの教育資金に備えるための貯蓄型保険です。原則として親が契約者となり、子どもの入学や進学にあわせて教育資金や満期保険金が受け取れます。

また、親(契約者)が死亡・高度障害状態になった場合は、それ以降の保険料の払込みが免除され、教育資金や満期保険金は予定どおり受け取れるのが特徴です。

学資保険のポイント

学資保険には、主に以下のポイントがあります。

  • 万一の保障が得られる
  • 計画的に貯蓄できる
  • 生命保険料控除の対象

預貯金の場合は、親に万一のことが起きた場合、それ以上教育資金を積み立てることができません。しかし、学資保険は保険料の払込みが免除になるため、親に万一のことがあった場合も教育資金を確保できます。

また、預貯金のように気軽には引き出せないため、計画的に備えられるのもポイントです。保険料を自動引き落としにすることで、より計画的に準備できます。

さらに、学資保険は一般生命保険料控除の対象です。1年間に払い込んだ保険料の金額に応じて一定額まで所得控除が受けられるため、所得税と住民税の負担軽減が期待できます。

学資保険の注意点

一方、学資保険には以下の注意点もあります。

  • 途中解約すると解約返戻金が払い込んだ保険料を下回る可能性がある
  • インフレに対応しにくい

学資保険を途中解約すると、解約返戻金を受け取れます。しかし、解約返戻金は、払い込んだ保険料より少なくなるのが一般的です。

保険料が払えなくなり解約せざるを得ない状態にならないためにも、無理のない保険料で申し込むようにしましょう。

また、インフレに対応しにくいのも注意点の一つです。インフレとは、物価が継続して上昇することです。物価が上がると相対的にお金の価値が下がってしまいます。

一般的に学資保険を含む貯蓄型保険では、教育資金や満期保険金などの受取額は契約時に決まっています。インフレで物価が上がったとしても教育資金や満期保険金などの受取額は変わりません。

教育資金や満期保険金を受け取る際に、今より物価がどのように変化しているのか予想するのは難しいですが、インフレに対応しにくい点は理解しておく必要があります。

学資保険は「明治安田生命つみたて学資」がおすすめ

学資保険を検討するなら、「明治安田生命つみたて学資」がおすすめです。

明治安田生命つみたて学資では、費用がかさむ大学などの時期にあわせて教育資金を確実に受け取れます。

出産予定日の140日前からお申込みいただけるため、早めに備えておくことも可能です。

また、保険料の払込みは子どもの年齢が最長15歳までとなっており、費用がかさみやすい時期までに払込みを終えられるのも特徴です。

ご契約者が万一のときには、保険料の払込みが免除され、保障内容はそのまま継続します。

※保険商品をご検討・ご契約いただく際には、「ご案内ブックレット」を必ずご確認ください。

まとめ

出産には、50万円程度の費用がかかります。出産育児一時金などの公的制度は利用できますが、負担が少ないとは言えません。

また、妊婦健康診査費用や出産後の育児にかかる費用など、お金が必要となるのは出産時だけではありません。

正常分娩での出産費用に保険で備えることはできませんが、教育費への備えなら始められます。妊娠中の比較的時間が取れる時期に、学資保険での備えを検討しましょう。

募Ⅱ2201892営企

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