
個人年金保険を解約する際の
注意点を解説!適切な
タイミングや対処法も紹介
個人年金保険は、老後の生活資金を準備するための保険です。保険期間は20年や30年と長期になるケースが多いため、途中で解約を検討することもあるでしょう。
しかし、個人年金保険は途中で解約すると解約返戻金が払い込んだ保険料を下回るケースが多いです。
この記事では、個人年金保険を解約する際の注意点やタイミング、解約する前に検討すべきポイントなどをご紹介します。個人年金保険の解約を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

個人年金保険の仕組み
まずは、個人年金保険の仕組みを把握しておきましょう。個人年金保険とは、老後の生活資金を準備するために、保険料を積み立てる貯蓄型保険です。
保険料・受取開始年齢・受取期間・受取金額は契約時に確定しているため、老後資金の計画が立てやすくなります。保険料の支払いが厳しくなった場合は途中解約も可能ですが、解約返戻金は払込保険料総額より少ないケースがほとんどなので、注意が必要です。
被保険者に万一のことがあった場合は、一般的に既払込保険料相当額が遺族に支払われるため、掛け捨てにはなりません。
契約内容によっては払込保険料の総額を上回る年金を受け取れるため、将来への備えとして人気のある保険商品の1つです。
個人年金保険を解約する際の注意点
個人年金保険は最後まで継続してこそ、メリットを発揮する貯蓄型保険です。そのため、解約時にはいくつか注意点があります。
途中解約すると解約返戻金が払い込んだ保険料を下回る可能性が高い
一つ目の注意点は、途中解約すると解約返戻金が払い込んだ保険料を下回る可能性が高い点です。個人年金保険などの貯蓄型保険では解約した場合に解約返戻金を受け取れますが、払込保険料の総額より少ないケースがほとんどです。
保険会社や商品により解約時の受取率(※)は異なりますが、契約期間が長いほど解約返戻金も多くなります。
解約返戻金が払い込んだ保険料を下回らないためには、無理のない保険料を設定して払込満了まで継続することが重要です。
※受取率とは、払込保険料の累計額に対する満期までの受取総額の割合をいいます。
解約返戻金に税金がかかる場合がある
解約返戻金には税金がかかる場合があります。解約返戻金を一時金として受け取る場合は、一時所得として扱われます。
払込保険料総額よりも解約返戻金の方が多くなる場合は、所得税(一時所得)の対象です。ただし、5年以内に満期となる金融類似商品や契約から5年以内に解約した場合は源泉分離課税となります。
一時所得は、同じ年のほかの一時所得と合算した金額で計算します。一時所得には50万円の特別控除があるため、算出された金額がプラスの場合のみ、所得税がかかります。計算式は以下のとおりです。
{(一時所得の金額-払い込んだ保険料)-50万円}×1/2
実際に例を挙げて計算してみましょう。
- A:払込保険料総額240万円・解約返戻金234万円
- B:払込保険料総額240万円・解約返戻金300万円
Aの場合「234万円−240万円」差額は−6万円のため、所得税の対象にはなりません。
Bの場合「300万円−240万円」差額は60万円のため、所得税の対象になります。
Bの課税所得額は{(300万円−240万円)−50万円}×1/2=5万円です。この5万円に税率をかけた金額が課税される金額となります。
なお、途中解約など、解約返戻金が払い込んだ保険料を下回る場合は所得税の対象になりません。
また、年金開始時に年金として受け取る場合は、一時所得ではなく雑所得として扱われます。保険料を支払っている人と年金の受取人が異なる場合は、年金開始時に年金を受け取る権利(年金受給権)が贈与税の対象になります。受け取り方によって課税される税金の種類が異なる点にも注意しましょう。
※税金制度に関する記載は2022年9月現在の制度に基づくものであり、将来変更される可能性があります。
個人年金保険料税制適格特約を付加している場合、減額時の解約(減額)返戻金は受け取れない
個人年金保険料税制適格特約を付加している契約の場合、減額したときに返戻金がある場合でも返戻金は受け取れません。個人年金保険料税制適格特約とは、個人年金保険料控除を受けるために付加する特約のことです。
所得税や住民税が軽減される枠が広がるため、個人年金保険に契約している多くの人が付加している特約です。
個人年金保険料税制適格特約を付加していない契約を減額したときに返戻金がある場合は、すぐに返戻金が受け取れます。しかし、個人年金保険料税制適格特約を付加している契約ではすぐには返戻金は受け取れません。返戻金に該当するお金は、保険会社が積み立てておき、年金開始時に増額年金の買増しにあてられます。
お金が必要で減額を検討している人は注意が必要です。
契約者貸付の残高が残っている場合は年金受取額から借入残高と利息が差し引かれる
契約者貸付とは、解約返戻金の一定の範囲内で保険会社からお金を借りられる制度のことです。
保険契約を解約せずにお金が借りられるうえ、保障も続く便利な制度です。しかし、契約者貸付を利用し残高が残っている場合は、年金受取額から利用金額と利息が差し引かれてしまいます。
契約者貸付を利用する際は利息もかかるため、借入残高が残っている場合は早めの返済を心がけましょう。
入り直す場合は条件が悪くなる可能性がある
個人年金保険を解約後、再度入り直す場合には条件が悪くなる可能性があります。
年齢が上がると一般的に保険料は高くなり、年齢によっては個人年金保険を契約できない可能性もでてきます。
以上の理由から、まずは、解約以外の対処法を検討してみることをおすすめします。
個人年金保険を解約する前に検討すべき4つの対処法
個人年金保険を途中で解約すると、解約返戻金が払い込んだ保険料を下回る可能性が高くなります。ここでは、解約を回避するために、検討すべき対処法をご紹介します
払済年金保険にする
払済年金保険とは、その時点での解約返戻金を一時払保険料に充当し、保険料の払い込みを中止する方法です。年金額は下がってしまいますが、保険料の払い込みを中止することができ、保障は継続することができます。

今すぐお金の必要はないけれど、保険料の支払いが厳しい人におすすめの方法です。ただし、個人年金保険料税制適格特約を付加している場合、契約から10年間は払済年金保険にできないので注意しましょう。
減額する
減額とは、保障額を減らして保険料を下げる方法。将来受け取る年金額は少なくなりますが、保険料の負担が軽減されます。
また、個人年金保険料税制適格特約を付加していない契約の場合は、減額した分の返戻金も受け取れます。保険料の支払いの継続が厳しい人や、ある程度のお金がすぐに必要な人におすすめの方法です。
契約者貸付を利用する
契約者貸付とは、解約返戻金の一定の範囲内で保険会社からお金を借りられる制度です(※)。
保険を解約せずにお金が用意でき、保障も続きますが、お金を借りている期間は利息が発生するので注意が必要です。一時的にまとまったお金が必要な人におすすめの方法です。
※商品によっては契約者貸付の取扱いがない場合もあります。
自動振替貸付を利用する
自動振替貸付とは、払込猶予期間を過ぎても保険料が支払えない場合に、保険会社が解約返戻金の範囲内で保険料を自動的に立て替える制度です(※)。
保障は続きますが、立て替え期間中は利息が発生します。また、貸付額が解約返戻金額を上回ると契約が失効してしまうため、注意しましょう。
一時的に保険料の支払いが厳しい人におすすめの方法です。
※商品によっては自動振替貸付の取扱いがない場合もあります。
個人年金保険を解約する適切なタイミングは?
解約は避けたいけれど、やむを得ない事情でどうしても解約が必要な場合もあるでしょう。ここでは、適切と考えられる解約のタイミングをご紹介します。
払込保険料総額と解約返戻金の差額が最も少ないタイミング
保険会社に問い合わせをすることで、現段階から今後の払込保険料総額と解約返戻金の推移が確認できます。わかりやすいように一例をみてみましょう。
経過年数 | 払込保険料総額 | 解約返戻金 | 差額 | 解約時の受取率 |
---|---|---|---|---|
3年 | 72万円 | 67.79万円 | −4.21万円 | 94.1% |
5年 | 120万円 | 114.76万円 | −5.24万円 | 95.6% |
8年 | 192万円 | 186.18万円 | −5.82万円 | 96.9% |
10年 | 240万円 | 234.44万円 | −5.56万円 | 97.6% |
年数が経過するごとに解約時の受取率は高くなりますが、同時に払込保険料総額も大きくなるため、差額が大きくなってしまうことがわかります。
一般的に解約時の受取率と実際の差額は比例しないケースが多いので、差額が少ないタイミングを見極めることが重要です。
解約時の受取率が高いタイミング
今すぐに途中解約をする必要がないのであれば、できるだけ解約時の受取率が高いタイミングで解約することをおすすめします。
保険会社や商品により異なりますが、解約時の受取率が100%になる目安は契約から20年前後です。解約を検討している時期が残り数年で100%になる段階であれば、可能な限り解約のタイミングを遅らせましょう。
具体的な解約時の受取率は、保険会社に問い合わせをすることでわかります。
「明治安田生命じぶんの積立」なら100%以上の受取率
保険を解約せずに継続するためには、無理のない保険料の設定が重要です。個人年金保険の利用を検討しているけれど、保険料の払込みを続けられるか不安な方は、保険料の負担が少ない保険も検討してみましょう。
「明治安田生命じぶんの積立」は個人年金保険ではありませんが、月々5,000円から積み立てでき、将来のさまざまな資金に備えることができます。
保険料のお払込みは5年間で終了するため、気軽に始めることができます(保険期間は10年間)。
万一、途中解約しても解約時の返戻率は100%以上のため、安心して積み立てられます。
まとめ
個人年金保険は、年金開始時期まで継続することで、受取額が払込保険料総額を上回る貯蓄型保険です。無理のない範囲で保険料を設定し、途中解約しないようにすることが重要です。
保険料のお支払いに余裕がある場合は、解約返戻金が払い込んだ保険料を下回らない商品や受取率の高い商品を追加契約すれば、解約リスクを抑えながら効率良くさまざまな資金を準備できるでしょう。
※保険商品をご検討・ご契約いただく際には、「ご案内ブックレット」を必ずご確認ください。
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