鹿児島県のアスリート・陸上

高校から競歩を始め、U18日本記録を更新「いろんな人に見てもらえる選手に」

- 大山 藍

大山 藍

けがで走れず競歩に挑戦、いきなり優勝

大山藍選手(鹿児島女子高校3年)は、鹿児島県鹿児島市で陸上競技・競歩に取り組むアスリートです。小学校の頃はバレーボールをしていましたが、体力がついたと感じられ、それを生かしてみたいと中学から陸上部へ。中学時代は県総体800mで8位に入賞するなどの実績もあり、高校に入学してからも長距離を続け、駅伝などに取り組んでいこうと思っていました。

しかし高校に入ってすぐ、走りすぎから左脚のシンスプリントを発症してしまいます。走ることができない状態だった大山選手を見て、顧問の高山克司先生が「競歩をやってみないか?」と声をかけてくれました。「二つ上に強い先輩がいて、練習しているところも見ていたので興味はあったのですが、まさか自分がやるとは思っていませんでした」。まずは挑戦してみて、けがが治ったら走ることも両立しようと考えていました。

いざ競歩に取り組んでみると、見ていた時とは大違い。頭では理解していても、動きに落とし込むことに時間がかかったと話します。県内で開かれている競歩練習会に参加するなどして、徐々に競歩の動きに慣れていきました。

競歩独特の歩型は練習会に参加することで徐々に慣れていきました(朝日新聞社撮影)

▲競歩独特の歩型は練習会に参加することで徐々に慣れていきました(朝日新聞社撮影)

転機となったのは、高校1年生の2月に出場したU20選抜競歩大会5kmへの出場です。初めての大きな大会で緊張していたという大山選手ですが、ここでいきなりの優勝。自己ベストも更新しました。「その大会を経験してから、自分には伸びしろがあるんだと自覚できました。もっと上をめざしてやっていけるんだって、自信を持つことができました」。2022年は4月の全日本競歩輪島大会10km・U20カテゴリで優勝し、コロンビア・カリで開催されたU20世界陸上10000m競歩にも出場して2位。10月にはとちぎ国体成年女子5000m競歩で2位に入り、U18日本新記録を更新するなど、飛躍の年となりました。

世界に出て改めて感じた地元の素晴らしさ

小学校2年生の時から鹿児島県鹿児島市に住んでいる大山選手。「明るくて、優しい人が多いです。自然もいっぱいあるので、すごく落ち着きますね。夏には友達と海に行くこともあります」。食べ物のおいしさも格別です。黒豚など、お肉が好きだという大山選手。「特にしゃぶしゃぶや豚汁が好きですね」。U20世界陸上でカリに行き、戻ってきて、より鹿児島のご飯のおいしさを再認識したといいます。

明治安田の「地元アスリート応援プログラム」は、顧問の高山先生を通じて知りました。内容を調べて「自分にできることがあれば参加したい」と感じ、応募しました。地元の人から応援してもらえることは大きな励みになると話す大山選手。「今年は鹿児島で国体が開催されるので、地元の人が多く集まると思います。自分自身が頑張ることで応援してくれる人も増えるので、私の活動に共感してもらえるように、しっかり成績を残して頑張りたいと思います」

小学校2年生から鹿児島市で暮らしています(朝日新聞社撮影)

▲小学校2年生から鹿児島市で暮らしています(朝日新聞社撮影)

普段はひとりで練習
つらいときに支えてくれる家族、友人、指導者

順調に競技に取り組めているように見える大山選手ですが、自己ベストを重ねていくと伸び幅が小さくなり、どうしたら自分を超えられるか悩むようになりました。「練習の距離を増やせばいいのだろうか……とかいろいろ考えてしまい、精神的、肉体的にもきついなと思うこともあります」。競歩に取り組んでいる後輩は2人いるものの、歩くペースが異なるため、大山選手は普段学校ではひとりで練習しています。

そんなときにアドバイスをもらえるのが、鹿児島県内で競歩に取り組む高校生が集まって開かれる練習会です。大学時代も競歩選手だった曽於高校の俣川祐輝先生が指導者として来てくれ、わからないことを丁寧に教えてもらっています。俣川先生は練習後に動画を送ってくれ、「焦ってしまうことも多いと思うけど、焦らずにじっくりやっていこう」と安心できる言葉をかけてくれます。

地元・鹿児島での大会に出場した大山選手

▲地元・鹿児島での大会に出場した大山選手

また、男子選手も来ているため、彼らの練習に交じって引っ張ってもらうこともあります。「自分ひとりだと精神的にもつらいことが多いんですけど、練習会で他の選手と一緒にやることで、メンタルの部分でも力がつくと感じます」。両親も大山選手のことを常に見守ってくれ、「頑張りすぎなくてもいいんだよ」と支えてくれる大きな存在です。「本当に、周りの人に恵まれていると思います」と大山選手は笑顔で話します。

あこがれの選手のように、世界で活躍したい

大山選手の現在の5kmの自己ベストは、2022年の国体で出した22分00秒34。2023年は、夏のインターハイで5km21分台のタイムを出して優勝すること、そして秋のかごしま国体で優勝に近いタイムと順位をめざします。「今年も地元のみんなに期待してもらえるように頑張りたいです」

将来的には、世界最高峰の大会に出場できるような選手になりたいと目標を語る大山選手。岡田久美子さんや藤井菜々子さんのように、世界と戦う選手にあこがれていますが「まだまだ、全然かないません。でも将来的にはメンタル、技術を磨いて、努力を重ねてそういった選手になりたい」と話します。さらに改善、準備をして、高校日本記録の更新も狙います。

日本陸上競技連盟の「アスレティックス・アワード」で表彰された大山選手

▲日本陸上競技連盟の「アスレティックス・アワード」で表彰された大山選手

自分が競歩を始めていなかったら、家族や友人も競歩のことを知らなかったのかも、と大山選手は言います。「競歩を知らない人にもっと見てもらって、『すごい』と思ってもらえるような、いろんな人に見てもらえるような選手になりたいです」。自身の活躍が競歩の知名度向上にもつながると信じ、挑戦を続けます。

(取材・制作:4years.)

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