
女性特有の悩みや不調について、相談や検査、治療を行なう婦人科※。月経やデリケートゾーン(女性器およびその周囲)にまつわる悩みやトラブル、妊娠・出産にかかわること、更年期のことなど、婦人科で取り扱う分野は多岐にわたっています。でも、「こんなことで受診して大丈夫かな……?」などと、受診のタイミングがよくわからない人もいるのでは?そこで、婦人科を受診するタイミングについて教えていただきました。
※「婦人科」のほか、「産婦人科」「産科・婦人科」「女性外科」「レディースクリニック」など、医療機関によって掲げている診療科名が異なります。

女性特有の不調や病気は、我慢や放置をしていると、日常生活に大きく支障をきたしたり、悪化したりすることも。次のチェックリストのような症状があるときは、何らかの不調や病気のサインの可能性があります。一つでも当てはまる項目がある場合は、ためらわず、なるべく早めに婦人科を受診してください。

- 月経時以外に月経のような出血(不正出血)がある
- 月経周期が安定しない(月経不順)
- 月経量が多い
※ 目安としては「2時間に1回程度ナプキンを交換する必要がある」「日中でも夜用のナプキンを使用している」など
- 月経痛が年々重くなってきている
- 月経前に気分の浮き沈みが激しくなる
- おりものの色やにおいが普段と異なる
- デリケートゾーンにかゆみがある
- 性交時や排便時に痛みがある
- 子どもを望んでいるのに妊娠に至らない状態が続いている
- 疲れが取れない状態が続いている、倦怠感が増している

不正出血は、出血量が多い場合もあれば、少ない場合もあります。また、色が茶色っぽかったり鮮やかな赤色だったりする場合や、おりものに血液が混じっている場合などさまざまです。さらに、月経周期が安定していない場合、月経か不正出血かの区別が付きにくいことがあります。
そのため、「少量の出血だから……」「月経が長引いているだけだから……」などの自己判断は禁物!不正出血があったら、婦人科を受診してください。

例えば、次のような機会が婦人科にかかるきっかけとなります。
小学校6年生~高校1年生のあいだに
小学校6年生~高校1年生相当の女子を対象に、「HPVワクチン」の定期接種が行なわれています。HPV(ヒトパピローマウイルス)のなかには、子宮頸がんを起こしやすい種類があり、HPVワクチンはこのうちの一部の感染を防ぐのに有効です※。お住まいの自治体から、案内や接種券が送付されます。費用は対象年齢の女性であれば、原則、公費(無料)で受けることができます。
※ 出典:厚生労働省「HPVワクチンに関するQ&A」
20歳を迎えたら
20歳以上の女性を対象に、2年に1回の間隔で子宮頸がん検診を受けることが推奨されています。子宮頸がん検診は、お住まいの自治体が対象者に案内や、受診券または無料クーポン券を送付したり、受診の申し込みの受け付けをしています。費用は各自治体で異なり、無料で受けられる場合や、一部自己負担(数百円~数千円程度)が必要な場合もあります。詳しくはお住まいの自治体のホームページや広報誌などで確認しましょう。
性交渉がはじまったら
性交渉がはじまったら、性感染症の検査※1を受けることをおすすめします。性感染症とは、性器クラミジア感染症や性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、梅毒など、性的接触を介して感染する病気で、口や性器などの粘膜や皮膚から感染します※2。パートナーが代わるごとに検査を受けることが、自分の体や相手の体を守ることにつながります。
- ※1 症状がなく検査を希望する場合は自費(全額自己負担)となります。何らかの症状があって受診した場合は、保険証を持参していれば基本的に健康保険が適用されます。検査に伴う費用は医療機関によって異なるため、医療機関のホームページで確認や問い合わせを。
- ※2 出典:厚生労働省「性感染症」
自覚症状がない場合、婦人科へ行く必要性を感じない人もいるかもしれません。けれども、女性特有の病気のなかには、自覚症状がないまま進行していくものもあります。そうした病気を見逃さず、早期発見・治療につなげるためには、気軽に相談できる婦人科があると安心です。ぜひお住まいの近くなど身近な婦人科を受診してみてください。
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女性の体は、一生を通じて女性ホルモンの影響を受け、さまざまな変化が訪れます。どのような変化をしていくのかや、特に30代・40代が気を付けたい女性特有の病気について教えていただきました。

女性のライフステージは、小児期を経て、思春期、性成熟期、更年期、老年期の4つのステージに分けられます。女性ホルモンの分泌は、一般的に思春期に高まり、性成熟期に安定し、更年期や老年期になると急激に低下していきます。ライフステージによって女性特有の健康課題は、次のように異なります。

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思春期
月経が開始する時期です。子宮の入り口がまだ狭く、排卵も定期的に起こっていないことなどが影響して月経痛や月経不順に悩まされることが多くあります。また、スポーツやダイエットなどに伴う月経トラブルが起こることがあります。
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性成熟期
性交渉を持つ機会に伴い、性感染症や妊娠・出産などがかかわってくる時期です。また、月経がかかわる子宮の病気が顕在化してくることや、女性特有のがんの発症に注意が必要になってきます。
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更年期
更年期とは、閉経を挟んだ前後5年間を指します。閉経の時期には個人差がありますが、一般的に45歳から55歳ごろが更年期になります。月経不順や月経量の変化(急激に増えたり減ったりする)が現れます。また、イライラ感や不安感、集中力の低下、ホットフラッシュ、関節痛など、心身にさまざまな不調が起こりやすくなります。
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老年期
60歳くらいになると、膣の萎縮が起こるようになります。また、筋力の低下に伴い、臓器が下がり、子宮脱が起こることも。頻尿や尿漏れなど尿トラブルが起こりやすくなります。

30代から40代の女性が特に気を付けたい病気としては、下記のようなものがあります。
PMS(月経前症候群)
月経が開始する3日~10日ほど前から、腹部膨満感や頭痛、肩こり、むくみ、イライラ感、集中力の低下など、心身にさまざまな不快な症状が現れ、月経がはじまると症状が軽快・消失します。
月経にかかわる子宮の病気
子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症などがあります。子宮内膜症では、強い月経痛や下腹部痛、性交痛、排便痛などの症状が現れます。子宮筋腫や子宮腺筋症では、経血量の増加や強い月経痛、貧血などの症状が現れます。
女性特有のがん
子宮頸がんや子宮体がん、卵巣がん、乳がんなどがあります。一般的に、がんは加齢に伴って発症リスクが高まるとされています。しかし、子宮頸がんは近年20代後半から30代の発症率が増加傾向です※。また、乳がんは30代から増加して40代後半が発症のピークです※。
※ 出典:厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト「女性特有のがん」

はじめて婦人科を受診する場合、気になることや気がかりなことがあるのでは?そこで、事前に知っておくとよいことを教えていただきました。

医療機関によって異なりますが、婦人科を受診する際は、一般的に事前に電話やWEBなどで予約が必要です。また、診察や検査の内容によっては、月経中でも受けられる場合と、月経中を避けたほうがよい場合があるので、予約時など事前に確認しましょう。月経不順の人や妊娠を希望している人は、基礎体温表に1ヵ月分の基礎体温を記録して持参すると、診察がよりスムーズです。

婦人科の診察では、「内診」を行なう場合があります。内診では、下着を脱いで内診台に上がり、診察を行ないます。内診のときは、必要に応じて下半身にバスタオルをかけるので、服装はスカートでもズボンでも差し支えありません。ただし、オールインワンなどつなぎのタイプの服装は全部脱ぐ必要があり、Tシャツなどインナーを着ていない場合は上半身が露出してしまうことがあるので、避けたほうがよいでしょう。また、内診の際には、靴を脱ぐ必要があるため、着脱に時間がかかる靴は避けたほうが無難です。特に冬場は、ブーツやタイツを避けたほうがスムーズに診察が進みます。

婦人科の問診では、次のようなことを確認します。受診前にあらかじめメモなどをしておき、問診票に記入するとよいでしょう。特に、月経については普段から月経開始日などを手帳やアプリなどに記録しておきましょう。

- 受診の理由(自覚している不調や症状・気付いた時期、相談内容など)
- 初潮年齢、月経周期、最終月経(一番最後に起こった月経)の開始日、閉経年齢
- 性交経験の有無
- 妊娠歴、出産歴、中絶歴、流産歴
- 現在、治療中の病気の有無
- 過去にかかったことがある病気の有無や手術の有無
- 現在、使用している薬の有無、使用中の薬の名前(サプリメントなども含む)
- 薬などでアレルギーや副作用の経験の有無
- 生活習慣(喫煙や飲酒の有無など)
など

婦人科は、女性が生涯を通して健康を維持していくための強い味方となってくれます。けれども、不安や恥ずかしさなどから、婦人科へ行くことをためらってしまう人も多いのではないでしょうか。医療機関によっては女性医師が在籍していたり、プライバシーに配慮した環境が整っていたりなど、受診しやすいさまざまな工夫がなされています。まずは、お住まいや職場など身近な婦人科についてホームページなどで調べてみましょう。ほかにも、友人や知人が受診している婦人科を教えてもらうことも、婦人科を見つけるきっかけになります。
また、あなたの健康をサポートしてくれる「かかりつけの婦人科」を持っていると、ささいな体の悩みや不調でも気軽に相談でき、いざというときにも安心です。そして、普段から月経やおりものの状態など、自分の体の状態をチェックすることを習慣にし、健やかな毎日をめざしましょう。
- ※本記事は、2024年10月時点の内容です。
- ※本記事は、当社が尾西芳子様に監修を依頼して掲載しています。
- ※本記事は、尾西芳子様の知識や経験を踏まえて執筆しています。
定期的ながん検診とあわせて、
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