家計の支出は、「固定費」と「変動費」の二つに分けることができます。固定費とは、毎月や毎年など定期的に一定額の出費がある費用のことです。スマホ代などの通信費、動画や音楽配信などのサブスク利用料、住宅ローンや家賃といった住居費などが該当します。それに対し、変動費とは、日々の行動や必要に応じて支払う費用のことです。食費、日用品費、衣類代、医療費などが該当します。
固定費は生活に欠かせない費目が多いため「変えられない支出」だと思いがちですが、実は「見直すことができる支出」です。多くは契約に基づいて月々引き落とされるので、一度手続きさえすれば自動的に毎月の支出を減らすことができます。我慢せずに節約でき、節約効果が大きいのが魅力です。
現在のあなたの家計に見直せる固定費がないかを次のチェックリストで確認してみましょう。
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スマホの利用頻度と現在の契約プランがあっ
ているか考えたことがない -
加入中のサブスクをすべて把握しているか自
信がない -
住宅ローンが10年以上残っているが、見直し
たことがない - 電気・ガス会社を変えたことがない
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自動車保険の更新案内が来たら、そのまま更
新している -
「子どもの塾代はある程度かかるのは仕方
ない」と思っている
あなたはチェックリストにいくつ当てはまったでしょうか。結果を確認しましょう。
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0~2個
節約意識は高め。ただし、固定費は定期的な見直しが重要。年1回の見直しを習慣化しましょう。
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3~5個
固定費見直しの余地あり。節約のチャンスととらえ、見直しにチャレンジを!
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6個
家計管理は赤信号。固定費が家計の負担になっている可能性が大いにあります。今すぐ見直しを!
いかがでしたか?チェックリストの結果からも分かるように、固定費のムダが多い人はもちろんのこと、上手に管理できている人でも、定期的に見直すことが重要です。
ムダな固定費に気付けたら、次は見直しをしてみましょう。ここからは各固定費の見直しポイントと、具体的な見直し方法をご紹介します。少し見直すだけでも、トータル年間10万円など、大きな額の節約を見込めます。
| 固定費 | 節約額の目安(年間) |
|---|---|
| 通信費 | 9万6,000円~16万8,000円 |
| サブスク利用料 | 1万2,000円~3万6,000円 |
| 住居費 | 約1万1,300円 |
| 自動車関連費 | 約7万5,000円 |
| 光熱費 | 2万4,000円~3万6,000円 |
| 教育費 | 12万円~24万円 |
※夫婦ふたりでスマホをデータ容量の少ないプランに乗り換えた場合の節約額の目安
家計のなかでも存在感が強い固定費ですが、この通信費こそ最初に見直したい費目。新しいプランが次々と出されていることに加え、契約変更手続きが比較的簡単だからです。見直す際のポイントは、スマホとインターネット回線(Wi-Fi)の使い方の「バランス」。スマホとインターネット回線の利用スタイルは人それぞれです。見直しの際も自分の両者の使い方を考えて適したプランを選ぶことが大切です。
例えば、以下のような見直し方法があります。
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自宅でパソコンをほとんど使用しない
スマホはデータ容量無制限のプランに、
インターネット回線は解約し、
テザリングで済ませる。 -
自宅にいる時間が長い
自宅のインターネット回線を
データ無制限にし、自宅にいる間は
スマホもWi-Fiにつないで利用する。
スマホはデータ容量の少ないプランに変更。
このほか、複数回線を同時契約すると適用される家族割引や、電気やガスとインターネット回線を同じ会社で契約すると適用されるセット割引なども検討するといいでしょう。
スマホ代は、3大キャリアの大容量プラン(月7,000円~8,000円程度)から、格安SIMの低容量プラン(月1,000円~3,000円程度)に変更することで月4,000円~7,000円程度節約できる可能性があります。インターネット回線は通信速度の速いプラン(月5,000円~6,000円程度)から遅いプラン(月4,000円程度)に変更することで月1,000円~2,000円程度節約できる可能性があります。
※契約内容や利用状況によってかかる金額は異なる場合があります。乗り換え時に発生する初期費用やオプション料金などもあわせて確認するようにしましょう。
※月1,000円~3,000円を節約額とした場合の目安
定額料金を支払うことで、一定期間、特定のサービスや商品を利用できるサブスクサービス。動画や音楽配信、電子書籍の読み放題、洋服や家具のレンタルなど、内容は多岐にわたります。実際に購入するよりも安価でサービスや商品を利用できるのがサブスクのメリットですが、お得感に釣られて不要なサービスに加入してしまっているケースも少なくありません。まずは利用状況を振り返り、チェックすることが見直しの第一歩。
加入しているサブスクを一度書き出し、利用していないものがないか確認してみましょう。また、動画・音楽配信、電子書籍などがまとめて利用できる複合的なサービスもあるため、加入するものを絞るのも節約には有効です。一つ解約するだけでも、月1,000円~3,000円は削減できる可能性があります。
| ジャンル | 月額料金 |
|---|---|
| 動画配信 | 500円~2,000円程度 |
| 音楽配信 | 1,000円程度 |
| 電子書籍 | 500円~1,000円程度 |
| 洋服 | 3,000円~数万円程度 |
| 家電 |
レンタルする商品によって 数百円~数千円程度 |
| スポーツジム | 3,000円~1万円程度 |
| オンライン英会話 | 3,000円~数万円程度 |
※図表は、中山様の監修のもと作成。
※住宅ローンの借り換えによる金利差が月約940円(金利差0.5%の場合)だった場合の節約額の目安
固定費のなかでも、大きな割合を占める住居費。持ち家か賃貸かで、住居費の内訳は異なり、前者であれば住宅ローン、後者であれば家賃が該当します。持ち家でも賃貸でも、住まいの形にあわせた見直しで、固定費を節約できる可能性があります。
見直し方法としては「住宅ローンの借り換え」があります。現在よりも金利の低いローンに借り換えることで、金利差分の利息が減り、総返済額を削減できます。ただし、借り換えにはさまざまな手数料・諸費用がかかります。一般的に、これらの手数料・諸費用はローン残高の3%程度といわれているため、借り換えの際は、手数料・諸費用が減額分を上回っていないか注意しなくてはなりません。
実際、借り換えによる節約効果はどのくらいあるのでしょうか。
ローン残高1,500万円・残存期間15年、ボーナス分なし、元利均等返済の場合に、当初は全期間固定金利2.5%で借り入れていた住宅ローンを、2.0%(金利差0.5%)あるいは1.8%(金利差0.7%)の全期間固定金利型のものに借り換えた際の2パターンで試算してみます。
試算の結果、金利差0.5%なら約62万円、0.7%なら約87万円の利息削減となりました。借り換えにはローン残高の3%程度の手数料・諸費用(ここでは約45万円)がかかるため、手数料・諸費用を差し引いた最終的な節約額はそれぞれ約17万円、約42万円となります。これらはローンの残存期間15年間での節約額のため、月に換算すると、金利差0.5%なら約940円、金利差0.7%なら約2,300円という結果となります。
試算条件
ローン残高1,500万円・残存期間15年、
ボーナス分なし、元利均等返済
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借り換え前 (2.5%) |
借り換え後 (2.0%) |
借り換え後 (1.8%) |
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|---|---|---|---|
| 月々の 返済額 |
100,018円 | 96,526円 | 95,151円 |
| 総返済額 | 約1,800万円 | 約1,738万円 | 約1,713万円 |
| 利息削減額 | 約62万円 | 約87万円 | |
| 手数料・諸費用 (45万円) 差し引き後の 節約額 |
約17万円 節約 |
約42万円 節約 |
※図表は、中山様の監修のもと作成。
※本試算はあくまで概算であり、実際の借入条件や金利、手数料等によって節約額は異なる場合があります。
住宅ローンの借り換えは、金利差が大きいほど、ローン残高が多いほど、残りの返済期間が長いほど、節約効果は高まります。
目安として、以下3つの条件が揃った場合に借り換えを検討するといいでしょう。
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金利差0.5%以上
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残存期間10年以上
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ローン残高1,000万円以上
賃貸の場合、見直し方法は引っ越しが効果的です。子どもが大学生や社会人になっている場合には今よりも狭い物件や部屋数が少ない物件でも問題ないかもしれません。引っ越しにかかるコストや生活に困らない立地条件も考慮し、検討してみましょう。
※任意保険の保険料が月4,000円(年間約5万円の節約とした場合)、車検代が年2万5,000円(2年ごとに5万円の節約とした場合)と想定した場合の節約額の目安
自動車税、自動車保険、駐車場代、車検、燃料費、自動車ローンなど、自動車関連の固定費にはさまざまな費目がありますが、見直しやすく効果が高いのが自動車保険の任意保険と車検代です。
自動車保険には、法律で加入が義務づけられている「自賠責保険」と任意で加入する「任意保険」の2種類があります。自賠責保険は、対人賠償のみを補償する保険で、車種や契約期間によって保険料が決まります。強制加入のため、保険料の節約はできません。それに対し、任意保険は、対人賠償のほか、対物賠償、人身傷害、搭乗者傷害、車両保険など幅広い補償のなかから選択でき、補償を見直すことで保険料の節約が可能です。
任意保険の場合、具体的には、ディーラーや車販売店経由ではなくネット保険に加入する、補償範囲や特約を必要なもののみに絞る、免責金額を設定するなどの方法があります。
なかでも、運転免許を取得して間もない子どもがいる方に検討してほしいのが、「運転者年齢」と「運転者範囲」の見直し。任意保険では、保険が適用される運転者の年齢と範囲が定められています。保険会社によって違いはありますが、いずれも補償の対象が広くなるほど、保険料が高くなります。例えば、これまで補償対象が50代の親だけだったのを21歳未満の子どもまで対象とすると、保険料が急激に高くなります。子どもがあまり車を利用しないのであれば、子どもは自家用車ではなく、カーシェアリングやレンタカーを活用することで、年間数万円~10万円程度の節約も可能です。
車検代は、自家用車の場合、新車なら3年、その後は2年ごとに必要となる固定費です。見直し方法としては、正規ディーラーではなく車検専門店やガソリンスタンドなどを利用する、複数の業者に見積もりを取って比較する、早期予約特典を利用する、といった工夫で節約できることも。なお、見積もりを比較する際には、各業者の説明をしっかり聞き、不要な整備や部品交換が含まれていないか確認し、必要がなければきちんと断ることも大切です。車検代は車種によって大きく異なりますが、ディーラー車検の場合、軽自動車で8万円~、普通車で10万円~が相場です。それを車検専門店で実施した場合、半額程度に費用を抑えられる可能性があります。
※月2,000円~3,000円を節約額とした場合の目安
電気・ガス会社を見直したことがない場合、供給会社を変更することで節約できる可能性があります。また、契約プランも自分の使用状況にあった内容になっているかを確認し、ライフスタイルにあった組み合わせを探すのがポイントです。
まずは過去1年分の電気・ガス使用量を検針票やアプリで確認してみましょう。プランを選ぶ際は、夜型か昼型か、家族人数、在宅時間などを考慮し、解約手数料や契約期間の縛りなどの注意点も確認することが大切です。
また、契約プランの見直しについては、特定の時間帯の電気代が割安になるプラン、電気とガス、さらにはインターネット回線とセットで契約すると割引になるプランなどがあります。例えば、共働きで夜に家事をまとめて行なう4人家族の家庭なら夜間料金が安いプランに。また、日中家にいることが多く、エアコンなど電気使用が多い家庭であれば、一日中料金が変わらないプランがおすすめです。
家族構成などによって節約効果は異なりますが、4人家族の場合、供給会社の変更により、電気代は月1,000円~2,000円程度、ガス代は月1,000円程度の節約が期待できます。
※月1万円~2万円(対面授業を一部映像授業に切り替えた場合)を節約額とした場合の目安
学校に支払う費用は、公的な支援金や奨学金などがなければなかなか削減は難しいですが、習い事や塾代など、学校以外にかかる教育費には見直しの余地があります。
最近は、対面式の学習塾でも、パソコンやスマホで自宅学習ができる映像授業を取り入れているところが増えています。対面授業の一部を映像授業に切り替えることで、費用を抑えることができます。授業数やコースに応じて費用は異なりますが、対面式の塾に通っている高校生であれば月5万円以上支払うケースも多いです。それを一部、映像授業に切り替えることで月1万円~2万円は費用を抑えられるでしょう。
また、通信教育という選択肢もあります。学習塾の映像授業と同様、パソコン・スマホなどで自宅学習ができるサービスです。教科数やコースに応じて月2,000円~2万円程度で受講できます。
ただし、今の勉強方法が適したものであるかは、まず子ども自身に考えてもらうことが大切です。通信教育には無料体験期間を設けているものがあるので、子どもが興味を持てば試してみるのもいいでしょう。また、計画的に勉強できる子なら問題ありませんが、進捗管理が必要な場合は親のサポートが鍵になります。いずれにせよ、子どもの気持ちを尊重することが大切です。
手続きをしてから後悔しないために、見直しの際の注意点もしっかり押さえておきましょう。
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変更手続きの前に必ず確認したいのが、違約金です。特に、インターネットや電気・ガス会社の変更については、最低利用期間内の解約や、更新月以外の解約に違約金がかかることがあります。
また、新契約後に、「電波が悪い」「前のプランの方がよかった」などの理由で解約したいケースが出てくるかもしれません。クーリングオフを利用できる場合もありますが、失敗をしないためにも、違約金や新しい事業者についての情報収集は、事前にしっかりと行なう必要があります。
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固定費のプラン見直しは、家族にもかかわることです。もし、事前に知らせず勝手に進めてしまうと、「なぜ急に変えたのか」といったクレームがくるかもしれません。家族との事前の情報共有をしっかりと行なったうえで変更手続きを行ないましょう。
節約というと「我慢」や「手間」を連想してしまいがちです。しかし、固定費の見直しについては、契約の変更など最初こそ手間はかかるものの、一度手続きさえしてしまえば、その後は節約効果が継続します。その効果は年間10万円になることもありますから、浮いたお金を将来に役立てることができます。つまり、固定費の節約は効率のよい未来に備えた貯蓄につながるともいえるでしょう。あなたも、身近な固定費から見直してみてはいかがでしょうか。
監修
中山弘恵
監修中山弘恵
国内大手損害保険会社にて代理店の支援業務、都市銀行にて資産運用アドバイス・住宅ローン審査業務を経て、FPとして独立。現在は大阪を拠点に、企業向け・生活者向けセミナー講師、FP相談業務、執筆業務に従事。ファイナンシャル・プランナー(CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士)、定年力アドバイザー、相続手続カウンセラー。
- ※本記事は、2025年7月時点の内容です。
- ※本記事は、当社が中山弘恵様に監修を依頼して掲載しています。
- ※本記事は、監修者の知識や経験を踏まえて執筆しています。