何が起きている?いつまで続く?家賃上昇

YouTube登録者数10.5万人!※ 住宅FPが解説 家賃上昇の4つの理由 今後も家賃は値上がりする見通し? 家賃上昇に備えて知っておくべきこと ※2025年5月時点の登録者数

※本記事は、2025年5月時点の内容です

何が起きている?いつまで続く?全国に広がる家賃上昇の波

暮らしにじわじわと影を落とす物価高。その波は、ついに家賃にも及びはじめています。家賃はなぜ上がるのか、いったいどこまで上がるのか――不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、住宅事情に詳しいFP(ファイナンシャル・プランナー)の関根克直さんに、家賃上昇の背景と今後の見通し、そして家賃上昇に備えて知っておくべきことについて解説していただきました。

全国で家賃上昇中!1年で8%UPのエリアも

1年で急騰!物価高と連動して家賃の値上げが加速

「家賃の値上がりが止まらない」――そんな声が各地で聞かれるようになってきました。物価高騰の影響が広がるなか、特に都市部では、家賃の上昇が顕著です。不動産情報サービスのアットホームの調査によると、2025年5月の全国主要都市における賃貸マンション・アパートの平均家賃は、東京都23区のシングル向きマンションで前年同月比8.4%、ファミリー向きでは8.8%の上昇となりました。地方の主要都市でも家賃は上昇傾向にあります。福岡市では、再開発による影響や観光需要の高まりによって賃貸ニーズが拡大し、シングル向きマンションが前年同月比+8.7%、ファミリー向きも+8.6%と、たった1年の間に家賃が高騰しています。

平均募集家賃  前年同月比上昇率TOP3 ※カッコ内は2025年5月の平均家賃

マンション
  • 30㎡以下 (シングル向き) 1位 千葉県 +8.8% (70,879円) 2位 福岡市 +8.7% (57,269円) 3位 東京23区 +8.4% (100,634円)
  • 30㎡〜50㎡ (カップル向き) 1位 東京23区 +9.9% (164,818円) 2位 福岡市 +6.6% (84,878円) 3位 大阪市 +6.5% (106,649円)
  • 50㎡〜70㎡ (ファミリー向き) 1位 東京23区 +8.8% (240,800円) 2位 福岡市 +8.6% (119,249円) 3位 京都市 +7.6% (123,595円)
  • 70㎡超 (大型ファミリー向き) 1位 東京都下 +7.8% (195,611円) 2位 千葉県 +6.7% (159,225円) 3位 埼玉県 +4.6% (161,661円)

※ 出典:アットホーム調べ「全国主要都市の『賃貸マンション・アパート』募集家賃動向(2025年5月)」

何が起きている?家賃上昇の4つの理由

都市部を中心に上がり続ける家賃。なぜ、ここまで家賃が値上がりしているのでしょうか。その背景には何があるのでしょうか。

  • 理由1 新築マンションの建築コストが急騰

    新築物件の建築費用は、大きく「人件費」と「建築資材費」に分かれます。近年、人手不足から建築現場の労働賃金が上昇。さらに、2021年頃からはじまったウッドショックやアイアンショックと呼ばれる木材や鉄の価格高騰を皮切りに、建築資材が値上がりし、円安が続くなか、今も高止まりが続いています。また、原油価格の高騰で輸送コストも増加し、建築費全体の負担がさらに重くなっています。マンションの建築コストが高くなる分、その価格は賃貸料にも反映されるのです。

    ※ 出典:一般財団法人 建設物価調査会 「建設物価 建設資材物価指数®」2025年6月分

  • 理由2 郊外でも賃貸物件の需要が拡大

    かつては「都心は高くても、郊外なら手が届く」という考えが一般的でした。しかし今や、郊外の物件価格も上昇しており、その前提は崩れつつあります。主な原因は、建築資材や人件費の高騰による「建築費の上昇」です。

    物件価格は、「建物費が約7割、土地代が約3割」で決まるといわれます。そのため、土地の価格が比較的抑えられる郊外でも、建築費用の上昇が価格に反映されるので、以前のように「郊外なら安い」とは言えなくなっているのが現状です。その結果、新築マンションの購入をあきらめる人が全国的に増加。都市部・郊外を問わず賃貸の需要が拡大して、家賃も値上がりし続けているのです。

  • 理由3 働き手不足でマンションの管理費も上昇中

    これまで大きな変動がなかったマンションの管理費も、じわじわと上昇しています。大きな要因は「人件費の高騰」です。例えば共用部分の清掃やごみ回収、エレベーターや水回り設備の点検など、日常的な管理業務の多くは人の手によって支えられています。人件費が上がれば、管理費に反映されるのは避けられません。

    背景には、少子高齢化による労働人口の減少があります。団塊ジュニア世代が今後リタイアを迎えることで、働き手不足が深刻化。国も最低賃金の引き上げを進めているので、人件費の上昇は今後加速する見通しです。結果として、マンションの維持管理コストが高まり、管理費の値上げにつながっているのです。

  • 理由4 海外投資家による積極的な購入も

    高騰を続ける日本の不動産は、日本人にとっては購入のハードルが高くなっています。一方、海外投資家にとっては魅力的な「割安」物件と見なされているようです。ニューヨークやロンドン、香港など世界の主要都市に比べると、日本の不動産価格は低く、投資家から見れば比較的手頃な投資先。円安の影響もあって、そうした投資家による積極的な購入が続いていることも、市場価格をますます押し上げている要因といえるでしょう。

    ※ 出典:日本不動産研究所「第24回 国際不動産価格賃料指数 (2025年4月現在)」

今後もしばらく、家賃は高止まりする見通し!

国際通貨基金(IMF)は2025年の物価上昇率を約2.4%と予測しており、物価自体の上昇は続くと見られています。こうしたことから、家賃は今後もしばらく高いまま推移していくと考えられます。

※ 出典:国際通貨基金(IMF)「2025年対日4条協議終了にあたっての声明」

監修者 関根先生のワンポイントレッスン

家賃の上昇の背景には、「ホテル建設の増加」という意外な側面もあります。
コロナ禍で落ち込んでいたインバウンド需要が回復し、現在、都市部ではホテルが建設ラッシュに。その結果、限られた建築用地をホテルと住宅で奪い合い、新築マンションの供給数が減少しています。昨年の新築マンションの建設数は前年比5.1%減。新築物件が減ることで賃貸に出回る部屋も少なくなり、家賃の上昇を後押ししています。

※ 出典:国土交通省「建築着工統計調査報告 令和6年計」

物価や家賃の上昇に備え、
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家賃上昇に備えて知っておくべきこと

家賃の値上がりは、もはや避けられそうもありません。物価は上昇傾向が続いており、当面は大きな変化が見込めない状況です。この先もしばらく賃貸住宅で暮らす予定なら、何を知っておくべきなのか、ここではそのヒントを紹介します。

  • 賃貸契約を確認! 家賃値上げには必ず応じなきゃダメ?

    まずは今結んでいる賃貸契約を確認しておきましょう。賃貸借契約書には、近隣相場の上昇などといった、家賃の値上げをする条件が記載されていることがあります。

    また普通借家契約の場合は、貸主は借主の合意なしに家賃を一方的に変更できないことになっています。そのため、家賃値上げの通知を受け取った際に、値上げを拒否することも法律的には可能です。また値上げを拒否したからといって退去を求められることはありません。とはいえ、今後も気持ちよく住み続けるためには、頑なに拒否をしたり、無視をするのは考えもの。まずは、大家さんや不動産の管理会社に連絡し、提示された値上げの根拠を確認しましょう。物価の変動のほか、地域の家賃相場が影響している可能性もあります。値上げが適正かどうかを検討し、そのまま住み続けるか、転居するかを判断しましょう。

    もし納得できなければ、仲介業者を通じて、相談・交渉するのも選択肢の一つです。ただし、最近の住宅価格の状況を考えると、値上げを完全に回避するのは難しいことも理解しておく必要があります。

  • 転居先を探すなら徒歩15分以上がねらい目! 人気のエリアを避ける

    そのまま住み続けるのが難しい場合は、転居先の検討をはじめましょう。賃貸物件の家賃は、駅からの距離やエリアの需要によって変動します。家賃を抑えるなら、ねらい目は、駅から徒歩15分以上の物件です。

    スマートフォンなどで検索する場合、たいていの人は「駅から5分以内」などの条件で探します。一方、「駅から15分以上」という条件で検索する人はあまりいないので、目につきにくい分、希望者が減り、家賃の値上がりが抑えられる傾向があります。また、図のように、駅を中心に徒歩5分圏内と15分圏内の二つの輪を描くと、その面積の差はなんと9倍!駅から遠くなるほど面積が広くなるので、供給される物件の数も増え、選択肢が広がります。

    駅からの距離と面積の関係

    ※ 取材内容をもとに編集部にて作成

    都市部では、駅近や人気の学区内は利便性が高く、今後も家賃が上昇しやすい傾向があります。転居先には、少し駅から離れた物件を検討してみましょう。

  • 家賃を抑えるなら築15年以上の物件がおすすめ

    賃貸住宅の家賃は、築年数や市場の動向によって変動します。新築や築浅物件は人気が高く、家賃も高めですが、築15年を過ぎると家賃の変動は比較的落ち着く傾向があります。そのため、家賃が抑えられ、家賃変動が少ない築15年以上の物件を選ぶと安心です。

  • 持ち家の購入も検討の余地あり?

    家賃が値上がりするなら、持ち家を購入した方がお得なのかも?と考える人もいるかもしれません。でも実のところ、どちらが得かは、「人それぞれ」。費用や自由度、将来の資産性など、比較ポイントはいくつもありますが、人生において何を重視するかによって最適な選択が変わるからです。

    将来子どもは何人くらい欲しいか、子どもたちにどんな教育をしたいか。収入の予測や趣味に費やすお金など、優先順位によって、捻出できる住宅費が変わります。持ち家か賃貸かという住まいの形ではなく、自分が「どんな暮らしを思い描いているか」を基準にした、納得のいく心地よい暮らしこそが、その人にとっての最適解なのです。

不透明な時代を生き抜くヒントは柔軟性

近年は市場の変動が激しく、未来を予測することがとても難しい時代です。住宅費は人生で最も大きな支出の一つなので、まずはライフプランをしっかり立て、定期的に見直すことが必須です。

日本人は古くから「新築」や「持ち家」に憧れを抱くことが多い傾向にあります。その選択肢が間違いというわけではありませんが、本当に自分のライフスタイルや価値観にあった選択なのかを見極める目を持ちたいもの。そのために必要なのは「マインドチェンジ」です。世間の常識に流されるのではなく、自分自身のライフプランを軸に、最適な住まいの選択をすることが、安心できる未来へとつながります。柔軟な考え方と計画的な準備で、これからの暮らしをつくっていきましょう。

監修
関根克直

監修関根克直

2004年に住宅購入相談を中心にFPとして開業。住宅購入相談、住宅ローン相談を中心にお金に関する幅広い相談を受け、累計数千件のライフプラン作成を行なう。テレビや雑誌など、メディアへの出演も多い。YouTube登録者数10.5万人(2025年5月時点)の「住宅FP関根」も運営。

  • ※本記事は、2025年5月時点の内容です。
  • ※本記事は、当社が関根克直様に監修を依頼して掲載しています。
  • ※本記事は、監修者の知識や経験を踏まえて執筆しています。

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