

※本記事は、2024年10月時点の内容です

「肥満は万病のもと」と言われるように、肥満はさまざまな病気を引き起こします。糖尿病や高血圧、痛風といった身近な生活習慣病だけでなく、ときには心筋梗塞や脳梗塞、がんなどの大きな病気を招くことも……※。自分が肥満かを判断する指標の一つが「BMI」です。そこで今回は、ダイエット治療専門の工藤孝文先生に、BMIの基礎知識や肥満の定義について、さらにBMIを下げるための「すぐ実践できる」6つの新習慣についても伺いました。
- ※ 出典:日本肥満学会編『肥満症診療ガイドライン2022』(ライフサイエンス出版)

健康診断や人間ドックでおなじみの「BMI」。「Body Mass Index」の略語で、体重と身長から算出される体格(「肥満」や「やせ」)を表す指数のことです。ベルギーの統計学者により1835年に提唱され、現在も国際的な肥満判定の指標として広く用いられています。BMIは、次の計算式で簡単に求めることができます。

体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))=BMI(kg/㎡:キログラムパー平方メートル)
(例)身長170cm、体重75kgの人の場合
75(kg)÷(1.70(m)×1.70(m))=BMI 25.95(kg/㎡)

日本では、肥満とは「脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数(BMI)25以上」と定義されます※1。一方で、BMIが18.5より低いと「低体重(やせ)」と判定されます※1。
下の表は、厚生労働省が示す「目標とするBMIの範囲(18歳以上)」です。
目標とするBMIの範囲(18歳以上)
年齢(歳) | 目標とするBMI(kg/㎡) |
---|---|
18~49 | 18.5~24.9 |
50~64 | 20.0~24.9 |
65~74 | 21.5~24.9 |
75以上 | 21.5~24.9 |
出典:厚生労働省『「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書』
一般的に加齢とともに筋肉量が低下することからフレイル※2の予防を考慮し、65歳以上の人の目標とするBMIの下限は21.5に設定され、やせすぎないようにすることが促されています。
- ※1 出典:日本肥満学会編『肥満症診療ガイドライン2022』(ライフサイエンス出版)
- ※2 フレイル:加齢により心身が老いて衰えた状態

BMIは身長と体重から計算した数値のため、脂肪が多いのか筋肉質なのかを判別することはできません。BMIが25未満でも、筋肉や骨と比べて脂肪が多い状態にある可能性があるので注意が必要です。特に気を付けたいのが、「内臓脂肪型肥満」。脂肪は蓄えられる場所によって名称や特徴が異なりますが、皮膚のすぐ下にたまる「皮下脂肪」は、付きにくく、落ちにくいのが特徴です。一方、腸などの内臓の周りに付く「内臓脂肪」は、付きやすく落ちやすい性質があります。
自身のBMI数値をチェックしつつ
万一への備えをプラス
自らの健康状態を知ることが、病気を遠ざける第一歩。BMIの数値を把握するのも、その一つです。普段から健康に気を付けつつ、さらなる「備え」のために保険を検討しましょう。明治安田では、ライフステージの変化や、将来のニーズの変化なども幅広くカバーする医療保険商品が揃っています。何かあったときにも、安心して治療に専念できます。

体重の増加や内臓脂肪の蓄積には、食事や運動など日々の習慣が関連しています。そこで、BMIを下げるために三日坊主になりにくく、続けやすい「新習慣」を6つご紹介。これらを習慣化することで、BMIを下げ、健康維持・増進につなげることが期待できます。
-
体重とおなか周りを「毎日チェック」する
BMIを下げるために大切なのは、体重やおなか周りのサイズなど、自分の身体の状態と向き合うこと。体重は入浴前など、毎日、なるべく決まったタイミングで量りましょう。体重計や体組成計のなかにはBMIを計測できる製品もあり、気軽に日々チェックすることができます。
また、毎日メジャーを使って腹囲を計測するのは、手間に感じる人も多いのでは?そこで、毎朝の身支度をするときにズボンやスカートのウエストがきつく感じないかどうかや、ベルトを通す穴の位置に変化がないかどうか、自分のおなか周りの状態を常にチェックする習慣を付けましょう。 -
食事中、意識的に箸を置いて「早食い」を防ぐ
食べすぎを防ぐには、食事に時間をかけることが大切です。そこで効果的なのが、食事中に「強制的に箸を置く」という行動を取り入れること。食べている途中に箸を置くことは、実際にやってみると難しく感じるものです。けれども、箸を置くという行動によって、「なんとなく箸を使って食べ物を口に入れる」といった惰性的な行動を防ぐことができます。
また、箸から手を離すことで、早く空腹感を満たそうとする衝動をコントロールできます。1口食べるごとに箸を置くのが理想ですが、まずは食事中に5回~10回程度箸を置くことを心がけましょう。 -
夜遅い時間の食べすぎは「分食」で防ぐ
夜遅い時間に食事をすると、食べた量が昼間と同じでも、より多く脂肪が蓄えられてしまいます。それは、糖を脂肪に合成する「B-MAL1(ビーマルワン)」というたんぱく質の働きのためです(下の図参照)。夜遅い時間の食べすぎを防ぐために、なるべく早めの時間に夕食を済ませ、22時以降の食事はできるだけ控えましょう。
糖を脂肪に合成するたんぱく質
「B-MAL1(ビーマルワン)」の1日の変化- ※ B-MAL1には朝、目が覚めてしばらく経つと空腹になり、夜になると眠くなるという体内時計をコントロールする働きがある。B-MAL1の量は時間によって増減し、深夜2時くらいが最も多くつくられるピークとなり、10時~18時の間に少なくなる
出典:工藤孝文著『10万人がやせた 今日からできる神やせ習慣』(主婦と生活社) 掲載のグラフから当社作成
また、仕事などで夕食が遅い時間になってしまうときは、分食するのがおすすめです。
分食とは、食事を一度に食べずに小分けにして食べること。例えば、17時~18時くらいに主食(ごはんやパン、麺など糖質)となるものを先に摂っておきます。仕事が終わっても空腹を感じる場合は、主菜(肉や魚、大豆、卵などたんぱく質をメインとした料理)や副菜(野菜やきのこ、海藻などを使った料理)を適度に摂る、といった食事の仕方も効果的です。 -
食べた物をノートに書くだけ!
食生活を「見える化」しようBMIを下げるには、自分が食べた物を客観的に把握することが大切です。おすすめは、ノートに食事した内容を記録して食べた物を「見える化」すること。そうすることで、自分が何をどのくらい食べているのか、何を食べると体重が増えやすいかなどの傾向が見えてきます。
自分の食生活を振り返ると、「『甘い物は別腹』と食後のデザートを摂っていた」「もったいないと子どもの食べ残しをつまんでいた」など、食べ方にまつわるクセに気付くきっかけにもなります。もちろん、スマートフォンのカロリー管理アプリを利用するのでもOK。自分にあった方法で、食べた物を記録しましょう。 -
1日30分の散歩で「食べ物依存」を回避
つい食べすぎてしまう人のなかには、イライラや心配事があると食べてストレスを解消している、いわば「食べ物依存」に陥っている可能性も。そんなときは、ストレス解消を目的として身体を動かしてみましょう。運動すると、休息時に優位になる副交感神経を刺激し、活発になった交感神経の働きが抑えられます。その結果、乱れた自律神経のバランスも整います。
手軽にできる運動でおすすめなのが、30分程度の「散歩」です。外の空気や季節を感じつつ散歩することが、脳への刺激となります。また、気軽にできる「ストレッチ」を習慣化するのもいいでしょう。筋肉をゆっくり伸ばして緊張をほぐすことで、心身にリラックス効果をもたらしてくれます。 -
「NEAT(ニート)」を増やし、座る時間を減らす
「NEAT」とは、Non-Exercise Activity Thermogenesis(非運動性活動熱産生)の略称で、「日常動作によるエネルギー消費」を指します。例えば、日常的に行なっている家事や通勤、椅子の立ち座り、階段の上り下りなども、NEATに該当します。
肥満状態である人ほど、歩行なども含めた「立っている状態」での活動時間が少ないというデータもあります※。みなさんも日ごろからNEATの機会を増やし、座る時間を減らすことを心がけましょう。- 掃除や洗濯、料理、ゴミ出しなど家事をテキパキ行なう
- 近い距離であれば、車ではなく徒歩で買い物に行く
- エレベーターやエスカレーターの代わりに階段を使う
- 目的地の手前から歩く(電車なら一駅分、バスなら一停留所分)
- 犬の散歩をする
- 仕事の休憩時間に少し遠くのトイレまで行く
- ※ 出典:Eric Ravussin. “A NEAT Way to Control Weight?”. Science, 2005, Vol307, Issue5709, pp.530-531.

BMIを下げるには、ご紹介した6つの習慣をすべて実践できるとより効果的ですが、まずは一つだけでも取り組んでみてください。「でも、付き合いで食べないといけないから……」「だって、運動してもやせないし……」などと言い訳をしてしまう場合は、「とりあえず、食事の途中で箸を置こう!」「とりあえず、散歩してみよう!」など、意識して前向きな言葉を使うことが、よい習慣の実践へのきっかけになります。
さらに、BMIを減らすための最大の秘訣は「気付くこと」。「脂っこい食事や甘い飲み物を摂りすぎている」「間食が多い」「やけ食いや早食いをしている」「体重を測っていない」など、これらの日々の積み重ねが、BMIの数値に反映されます。
だからこそ改めて日常生活を振り返り、体重の増加につながる習慣や考え方に気付くことが大切。焦らず一歩ずつよい習慣を続けていくことが、BMIを下げることにつながります。めざすは、それぞれの年齢に応じた目標BMIを維持すること!肥満の予防・改善だけでなく、肥満がかかわるさまざまな病気を未然に防ぎましょう。

監修
工藤孝文
監修工藤孝文
工藤内科(福岡県みやま市)院長・内科医。大学病院や地域の基幹病院での勤務を経て、工藤内科にて地域医療に力を注いでいる。日本糖尿病学会・日本高血圧学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢学会・日本女性医学学会・小児慢性疾病指定医。糖尿病、東洋医学・漢方治療、ダイエット治療を専門とし、メディアへの出演や著書も多数。監修を務めた『今さら聞けない人体の超基本』(朝日新聞出版)はベストセラーとなっている。
- ※本記事は、2024年10月時点の内容です。
- ※本記事は、当社が工藤孝文様に監修を依頼して掲載しています。
- ※本記事は、監修者の知識や経験を踏まえて執筆しています。
自身のBMI数値をチェックしつつ
万一への備えをプラス
自らの健康状態を知ることが、病気を遠ざける第一歩。BMIの数値を把握するのも、その一つです。普段から健康に気を付けつつ、さらなる「備え」のために保険を検討しましょう。明治安田では、ライフステージの変化や、将来のニーズの変化なども幅広くカバーする医療保険商品が揃っています。何かあったときにも、安心して治療に専念できます。
募Ⅱ2402384ダイマ推
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