約690万人/要介護(要支援)
認定者数
厚生労働省が公表した『介護保険事業状況報告』によると、2021年度末時点で介護サービスの利用が必要とされる要介護(要支援)認定者数は全国で約690万人。前年よりも約8万人(1.1%)増加しており、過去最多を記録する状況となっています。
監修者のコメント
5年1ヵ月/介護にかかる
平均期間
生命保険文化センターが行なった『2021年度 生命保険に関する全国実態調査』によると、介護者が介護に要する期間は平均61.1ヵ月(5年1ヵ月)。約5割の人が4年以上を介護に費やしている状況です。
参照:(公財)生命保険文化センター『2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査』より
監修者のコメント
介護期間が年々延びている理由の一つとしては、医療の発達が挙げられます。通常人間は物を食べられなくなったら死を迎えますが、固形ではなく液体で栄養を摂取できる栄養剤なども登場しています。治療法や薬もさまざまなものが出てきています。介護期間が延びることによって家族の負担も大きくなります。
8.3万円/月々の介護にかかる
平均費用
生命保険文化センターの調査によると、1ヵ月あたりの介護費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は平均8.3万円。また、厚生労働省が公表した『介護給付費等実態統計』によれば、2022年度の介護費用(介護給付費と自己負担)の総額は11兆1,912億円にのぼり、過去最高を更新しています。
参照:(公財)生命保険文化センター『2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査』より
監修者のコメント
費用の8割は、デイサービスや訪問介護ヘルパー、入所施設の利用料といった介護サービス利用料で、残りの2割はおむつやパッドなどの衛生用品の購入費などです。ただ、要介護状態の方は病気を患っていることも多く、病院へかかる機会も発生しがち。そうなると通院費や移動にかかる費用は別途発生します。自治体の補助金制度などを利用して、できるだけ費用負担軽減に役立てたり、民間の介護保険に加入して万一のときに備えたりすることも必要です。
約25.3万人/入所待ちの
高齢者数(要介護3)
2022年度の調査※によると、特別養護老人ホームの入所待ちの高齢者(要介護3)の人数は25.3万人。一方、厚生労働省の調査では、2023年は約233万人、2025年には約243万人、2040年には約280万人の介護職員を確保する必要があると推計されています。今も介護職員数が足りていないにもかかわらず、今後もますます介護難民(介護が必要なのに介護サービスを受けられない人)が増えると予測されます。
※出典:厚生労働省『特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和4年度)』
監修者のコメント
今日、ひとり暮らしの高齢者の方が非常に増えています。介護費用を支払えない、金銭的に問題がなくても待機待ちで施設に入所できない、面倒を見てくれる家族がいないなど、理由はさまざまです。国としても特別養護老人ホームを増やす方針を掲げたり、民間の有料老人ホームも増えたりはしていますが、職員が集まらず、開所前に倒産してしまう施設も。介護業界の人材不足も深刻な状況です。ただ、都内の施設は待機待ちでも、地方の施設は入りやすいという現状があります。遠方の施設でも、職員との相性が良ければ介護される本人も馴染むことができますし、介護状態が深刻化する前に適切な施設への入所を検討してみるのがおすすめです。
約11万人/介護離職者数
総務省が公表した『就業構造基本調査』によれば、介護・看護のために過去1年間に仕事を辞めざるを得なかった、いわゆる介護離職者は年間10万6,000人。5年前の調査結果に比べ、7,000人の増加が見られます。
監修者のコメント
介護離職者数は年間10万人を超え、年々増加しています。介護離職をしてしまうと、経済的にも精神的にも追い込まれてしまうこともあります。「家族が介護してあげるのが一番」という思い込みを持っている人も多いですが、要介護1以上になったら、やはり何かしらの介護サービスを利用した方が安心です。仕事に行っている間の数時間、親が自宅で倒れていたなんていうこともあるので、日中はヘルパーさんにお世話を頼んだり、デイサービスに通わせたりするなどして、誰かしらが見守る環境を整えると良いでしょう。第三者が介入することで、スムーズに介護が行なえることも多いです。介護者と被介護者が共存するためにはどんな方法が良いのかを検討してみてください。
約462万人/認知症高齢者数
内閣府の調査によると、2012年の65歳以上の認知症高齢者は462万人。これは、65歳以上の高齢者の約7人にひとりが認知症という割合です。また、認知症予備軍のMCI(軽度認知障害)の状態の高齢者は約400万人いるとも言われています。
監修者のコメント
近年の厚生労働省の『国民生活基礎調査』では脳血管疾患を抜いて、認知症が介護のきっかけとなった主な原因の1位になりました。さらに内閣府の調査では、高齢化が進んだ2025年には65歳以上の約5人にひとりが認知症になるという予想も出ています。迷子だけではなく、冷蔵庫に保管したままの傷んだ食べ物を口にして体調を崩してしまうなど、身体機能は普通でも認知に支障があるという状態は非常に危険です。普段の生活における本人の変化が発症のサインとなることもあるので、周囲の人がその変化を見逃さないようにすることが大切です。地域包括支援センターなどが出している基本チェックリストを使って、日常生活になんらかの支障が出ていないかを確認することもできます。基本チェックリストで所定の状態に該当した場合、介護サービスを受けることも可能になります。もし心配なことがあったら、居住地にある地域包括支援センターにも相談してみましょう。
介護負担は思っているよりも大きいものです。利用できるサービスなどの情報を知らずにいると、ケアを担う家族の負担が大きくなってしまうかもしれません。だからこそ、家族や自分が介護を必要とする機会が訪れるときに備えるなら、介護の実態だけでなく、どんな介護サービスを利用できるのかを知っておくことも大切です。ここからは、介護が必要になったらまず受けられる公的介護保険制度について紹介していきます。
公的介護保険制度で受けられる
介護サービスは、訪問、通所、宿泊の3タイプ
公的介護保険制度は、介護が必要になったときに1割から3割の自己負担で公的な介護サービスを受けられる、国や地方自治体が運営する介護保険制度です。この制度を利用できるようにするために、日本では40歳になると被保険者として加入し、介護保険料を納めることが義務付けられています。また、介護サービスを受けられるのは原則65歳以上で要介護(要支援)状態だと認定された人のみ。40歳から64歳までの方は、特定の加齢に起因する疾病を原因として介護状態になった場合以外は受けることができません。
公的介護保険制度で受けられる介護サービスには、大きく分けて訪問、通所、宿泊の3タイプがあります。訪問はヘルパーさんや看護師さんなどが自宅に来て、介護や家事支援、看護などをしてくれるサービス。通所は、自宅からデイサービスなどの介護施設へ通って入浴や食事などの提供を受けるサービス。そして宿泊は、家族がどうしても家を空けなければならないときなどに、被介護者が介護施設に宿泊して介護を受けられるサービスです。
通所は複数人の利用者に対して介護職員が対応するため、ほかのサービスよりも比較的費用が安くなる傾向があります。ですが、もし介護される方が人とあまり会いたくないということであれば、割高でも1対1で介護をしてくれる訪問介護を選ぶ方が良いということもあります。最近は定額でいろいろな介護サービスを選べるサブスクリプション型の複合型サービスもあるので、費用面や生活面なども考慮しながら、本人や介護者にとって何が一番良いかを考えて、ケアマネジャーとも相談しながら決めていくのが良いでしょう。
公的介護保険と民間介護保険の
違いは?
<公的介護保険と民間介護保険の違い>
公的介護保険 | 民間介護保険 | |
---|---|---|
加入条件 | 40歳以上は自動的に加入 | 任意
※40歳未満でも加入可 |
対象者 | 要介護(要支援)の認定者 | 被保険者 |
給付方法 | 現物給付 | 現金給付 |
給付条件 | 65歳以上で要介護(要支援)状態になった場合
※40歳から64歳は特定疾患で要介護(要支援)状態になった場合 |
保険会社の給付条件
※給付条件や給付額は保険会社との契約内容による |
公的介護保険のほかに、介護保険制度には保険会社が提供する民間介護保険があります。民間介護保険は年齢制限や加入義務がなく、加入条件を満たせば誰でも入ることができます。公的介護保険と民間介護保険の大きな違いは、提供される介護サービスが現物給付であるか現金給付であるかという点。公的介護保険は介護サービスそのものが給付される「現物給付」です。支給限度額を超えた分や、給付の対象にならないサービスについては自己負担となります。そうした公的介護保険でまかなうことができない部分をカバーするのが、民間介護保険と考えておくと良いでしょう。
介護は精神的・身体的、そして経済的負担がかかります。だからこそ、介護はひとりで抱え込もうとせず、チームで行なうことが重要です。介護負担の大きさに自分で気付くには、自分の生活を保てているかどうかや、言葉遣いに注目してみましょう。介護される人に対して、以前は使わなかったような厳しい言葉を使うようになっていたらキャパオーバーのサイン。介護サービスを取り入れたり増やしたりするなど、負担を減らすための対策を検討してみてください。また、居住地の介護事業所の有無を確認したり、民間介護保険を検討してみるなど、今からできる備えをしておくことも大切です。
介護の実態を知った今、これからできる介護の備えをぜひはじめてみてはいかがでしょうか。
監修
河北美紀
監修河北美紀
株式会社アテンド代表取締役。2013年に高齢者リハビリデイサービス「あしすとデイサービス」を開所。8年間父の介護をした経験をもとに「介護する人・される人双方が安心して暮らせる介護ノウハウの提供と環境づくり」の提供を行なっている。
- ※本記事は、2023年11月時点の内容です。
- ※本記事は、当社が河北様に監修を依頼して掲載しています。
民間の介護保険を上手に利用して、
将来の介護不安を少しでも減らしませんか?
明治安田では、将来介護が必要になったときに経済的負担を軽減するための保険をご用意しています。認知症などで被保険者ご自身からのご請求が困難な場合でも、ご家族などの代理請求人が保険金を請求することが可能です。
万一介護が必要になった際の負担を減らすためにも、保険を上手に利用して備えることで少しでも老後の不安を減らしましょう。
3つの特徴
- 第1保険期間の死亡保険金を基本保険金額に抑えることで、介護保険金を大きくご準備いただけます
- 死亡保障がご契約から10年後に増加します
- 米ドル建ての解約返戻金がご契約から10年後(第2保険期間開始時)に増加します
※この保険は、為替レート、解約時の市場金利の変動やお客さまにご負担いただく諸費用により、損失が生じるおそれがあります
募Ⅱ2302431ダイマ推
高齢化に伴い、要介護(要支援)認定者数は年々増加傾向にあります。65歳以上の高齢者数は2025年に約3,677万人と日本の人口の30%を超える見込みで、日本の高齢者人口がピークを迎えるとされる2040年まではこの傾向は続くと予測されています。また、一般的に男性の平均寿命は女性よりも短いため、介護サービスを使う期間も男性の方が数年短い傾向にあります。