※本記事は、2025年8月時点の内容です
「資産形成」への関心が高まるなかで、周囲でNISAやiDeCoをはじめたという声をよく聞くようになった方も多いのではないでしょうか。どちらも国の税制優遇制度ですが、実は目的や仕組みが大きく異なります。
「名前は知っているけれど、実際はどんな制度なのかわからない」「NISAとiDeCoの違いを知りたい」……そんな方に向けて、本記事では両者の違いを徹底比較!自分にあった制度を選ぶポイントについて、ファイナンシャル・プランナーの山中伸枝さんに伺いました。
どちらも税制上の優遇を受けられるNISAとiDeCoですが、目的や特徴に大きな違いがあります。それぞれの特徴をつかんでから、違いを比較してみましょう。
NISAは「少額投資非課税制度」といい、毎年一定額まで投資で得られた利益に税金がかからない制度です。通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えばこの税金がゼロに。利益がそのまま手元に残るため、より効率的に資産を増やすことにつながります。
NISAでは二つの枠が利用可能です。「つみたて投資枠」は毎月一定額をコツコツ積み立てられ、少額からはじめやすいのが特徴。投資対象商品は、金融庁が定める要件を満たした長期・積立・分散に適した投資信託に限定されています。
「成長投資枠」はつみたて投資枠では対象外となっている投資信託や株式など幅広い金融商品へまとまった資金を投資できます。
いずれの枠であっても購入した商品はいつでも売却でき、資金を引き出すことが可能です。
iDeCoは「個人型確定拠出年金」といい、老後の資金づくりを目的とした私的年金制度です。iDeCoのポイントは3つの税制優遇です。
毎月の掛金が所得控除の対象となり、所得税や住民税を減らせます。
通常は約20%課税される運用益が、iDeCo口座なら非課税で再投資できます。
60歳以降に加入期間を満たし、一時金で受け取る場合は退職所得控除、年金形式で受け取る場合は公的年金等控除を利用でき、将来の税負担を抑えられます。
ただし、原則60歳まで資金を引き出せないなど、流動性に制約がある点に注意が必要です。また、掛金の上限は職業や会社の制度によって異なります。
それぞれの特徴を理解したら、今度は表に整理した両者の違いを見てみましょう。自分がどちら向きなのか見えてくるはずです。
安定的な資産形成
主に老後資金
NISAは安定的な資産形成を支援するため、目的に制限はなく、使い道は自由です。一方、iDeCoは主に老後の資金づくりを目的とした私的年金制度となっています。
日本国内に住む
18歳以上の人
原則20歳以上
65歳未満の
公的年金の被保険者
NISAは日本に住む18歳以上であれば誰でも利用できます。一方、iDeCoの加入対象者は、原則20歳以上65歳未満の公的年金の被保険者です。ただし、被保険者でもiDeCoの老齢給付金を受給している方や受給したことのある方、老齢基礎年金または老齢厚生年金を繰り上げ受給※している方は加入ができません。
- ※ 公的年金の繰り上げにおいては、原則として老齢基礎年金と老齢厚生年金は同時に繰り上げられます
120万円
240万円
24万円~81.6万円
- ※職業や企業年金の
有無により異なる
NISAはつみたて投資枠と成長投資枠をあわせて年間最大360万円まで利用できます。一方、iDeCoの年間拠出上限は、加入者の職業や勤務先の企業年金の有無によって異なります。自営業者などは81万6,000円、会社員や公務員は24万円~27万6,000円、専業主婦(夫)は27万6,000円までとなっており、NISAの方が1年間に投資できる金額が大きいことがわかります。
1,800万円
1,200万円(内数)
なし
NISAの非課税保有限度額は1,800万円、そのうち成長投資枠は限度額が1,200万円です。ただし、投資していた商品を売却すればその分の枠が空き、翌年以降に年間投資枠を上限としながら空いた枠を再度利用することができます。一方、iDeCoには、非課税保有限度額の定めがありません。
iDeCoでは老齢給付金の受給を開始するまで(最長75歳まで)は、口座内で投資商品を自由に売買できますが、原則として60歳になるまで途中解約はできません。
長期・積立・分散投資に
適した一定の投資信託
- ※金融庁が定める要件を満たした投資信託に限定
上場株式
投資信託など
定期預金
保険商品
投資信託
NISAのつみたて投資枠で投資できる商品は、長期・積立・分散投資に適しているとして金融庁が定める要件を満たす投資信託に限定されています。基本的に、手数料が安く初心者が選びやすい商品が多いのが特徴です。成長投資枠では、投資信託に加えて、株式やETF※1、REIT※2などが購入できます。こちらもリスクが高すぎる商品や長期の資産形成に向かない商品は除外されるなど、NISAの目的である「安定的な資産形成を行なう」ために一定の要件が設けられています。
一方、iDeCoの運用商品は定期預金や保険商品など元本が確保されている「元本確保型商品」と、「投資信託」の二つに分類されます。iDeCoは、金融機関ごとに3~35種類の運用商品を取り扱っており、その商品ラインナップは大きく異なるため、金融機関を選ぶ際は比較検討することが必要です。
- ※1 ETF(上場投資信託):株や債券などにまとめて投資でき、株式のように取引所で売買可能
- ※2 REIT(不動産投資信託):オフィスビルやマンションなどの不動産に投資できる投資信託
いつでも可
原則60歳以降
NISAはいつでも引き出すことができます。
一方、iDeCoは60歳から75歳の間で受取開始年齢や受取方法を選びます。また、60歳でiDeCoを受け取る場合は、それまでにiDeCoに加入していた期間(掛金を拠出していた期間)が10年以上必要です。10年に満たない場合は、受給可能となる年齢が最大65歳まで繰り下げられるため注意が必要です。
口座管理手数料なし
加入手数料(初回のみ):
2,829円
掛金納付手数料:
105円/月
還付手数料(その都度):
1,048円
- ※そのほか移換時手数料や運営管理機関に
支払う費用など金融機関によって異なる
NISAは口座の開設や維持などの手数料はかかりません。
一方iDeCoは、加入時・運用時・受取時にそれぞれ手数料がかかります。特に注意したいのは、定期預金など「元本が減らない商品」を選んだ場合、手数料が運用で得られる利益よりも大きくなる「手数料負け」が起きる可能性があります。特に所得控除が少ない場合などは、その分資産が減ってしまうこともあります。そのため、iDeCoを利用する際は、手数料の安い金融機関を選んだり、投資信託と組み合わせたりと長期的に資産を増やす工夫が必要です。
また、NISAとiDeCo、どちらも購入する投資商品によっては信託報酬や信託財産留保額などのコストが発生します。またNISAの成長投資枠対象商品には、購入時手数料がかかるものもあります。
運用益が非課税
- ①運用益が非課税
- ②掛金が全額所得控除
- ③受取時に控除の対象
どちらも運用益が非課税になる点は共通していますが、iDeCoはさらに積立時の掛金が全額所得控除の対象となり、受取時にも大きな控除があるなど、iDeCoの方が税制面で優遇されています。
両者の違いがわかったところで、今度は資産形成にどう取り入れるかを考えてみましょう。それぞれの特徴をふまえて、どのような運用目的に適しているのかを整理します。
子どもの教育費や住宅購入の頭金など、10年前後で必要となる資金を準備するなら、NISAが向いています。iDeCoは原則60歳まで引き出せないため、こうしたライフイベントの資金には不向きです。
ただし、NISAは銀行の預金のように、元本が保証されているわけではありません。投資した金額より増えることもあれば、減ってしまうこともあります。5年以内に利用したいなど、短期で使う予定のある資金には適しません。10年以上の長期運用を前提に、リスクを理解したうえで活用すると良いでしょう。
ボーナスや退職金といったまとまった資金を運用したい場合には、NISAの「成長投資枠」を利用すると良いでしょう。iDeCoは毎月の掛金に上限があるため一括投資には対応していません。
ただし、NISAで株式など値動きの大きい商品を選ぶと、短期的には損失が出ることもあります。投資の基本は「長期・分散投資」。時間をかけて複数の商品に分けることでリスク回避することが大切です。また、NISAは損失が出ても損益通算※ができない点に注意しましょう。
- ※ 損益通算とは、同一年に投資で得た利益と損失を相殺して、課税される利益を減らす制度です
老後の生活に向けて計画的に資金を積み立てたい人には、iDeCoが向いています。掛金は毎月自動的に拠出されるため、無理なくコツコツ貯められるのが特徴です。
iDeCoは老後資金を積み立てることを目的とした制度で、原則60歳まで引き出せません。そのため、確実に老後資金を準備したい人や、貯蓄が苦手で強制的に貯めたい人に適しています。
iDeCoの掛金は全額が所得控除となり、税制上の優遇を受けながら老後資金を準備できます。特に40~50代は収入が高く、税率も上がりやすい時期のため、控除によるメリットが大きくなります。ライフイベントの支出が落ち着いてきたら、iDeCoを積極的に活用すると良いでしょう。
注意点として、将来の受け取り方によっては税金がかかる場合があります。退職金やほかの年金との兼ね合いで控除の範囲を超えると課税対象になるケースもあるため、受取方法を含めて計画しておくことが大切です。
NISAとiDeCoは「どちらか一方しか利用できない」制度ではありません。実は、幅広い目的やライフプランにあわせて併用することで、それぞれの強みを同時に活かしながら利用することができます。
例えば、10年後に「子どもの大学進学の教育費が必要」という場合、中長期で使う資金としてNISAが活用できます。毎月3万円をNISAで積み立てると、利回り4%で運用できた場合、10年後には約440万円に増える試算です。
一方、老後資金にはiDeCoを活用。40歳から月2万円を20年間積み立てると、利回り4%で約728万円に。加えて、掛金は全額所得控除となるため、所得税率10%、住民税率10%の人の場合、年間4万8,000円、20年で96万円の税負担を軽減できます。
このようにニーズにあわせて使い分ければ、途中で資金が必要になっても慌てることなく運用を続けられます。さらに、NISAは「運用益が非課税」、iDeCoは「掛金が全額所得控除」と税制優遇の内容が異なるため、両方を利用することでそれぞれの税制優遇を最大限に活かすことが可能です。
NISAとiDeCoの違いやメリット・デメリットを理解したら、次はいよいよ実践です。口座開設の基本的な流れは両者とも同じですが、制度ごとに注意点や初心者がつまずきやすいポイントが異なります。ここでは、NISAとiDeCoのはじめ方と気を付けるポイントをお伝えします。
NISAをはじめるには、金融機関にNISA口座を開設する必要があります。口座開設に費用はかかりません。申込方法は金融機関によって異なりますが、おもにWEBサイトや郵送、店頭などで手続きができます。
- NISA口座はひとり1口座のみ。すでに口座を持っていると他社で開設することはできません。金融機関を途中で変更したい場合は、「金融機関変更届」の提出など、所定の手続きが必要です。
- 上場株式、ETF、REITなど一部の商品は銀行では取り扱っていません。これらに投資したい場合は、証券会社でNISA口座を開設する必要があります。
本人確認書類やマイナンバーの提出が必要です。必要書類をあらかじめ準備しておきましょう。
- 入力ミスや不備があると審査が遅れることがあります。余裕をもって開設の手続きを行ないましょう。
金融機関が税務署に審査を申請し、問題がなければ数日~数週間で口座が開設されます。
- 一部の金融機関では「仮開設」の状態で投資をはじめられる場合があります。ただし、もしほかの金融機関ですでにNISA口座を持っていると、二重に口座を持っていると判定され、NISAで投資したつもりが通常の課税口座での取引になってしまうことがあります。結果的に税金がかかってしまうため、他社で開設している可能性がある方は、正式な口座開設の通知が来るまで待つ方が安心です。
投資信託や株式など、投資したい商品を選んで購入します。毎月一定額を投資する「つみたて投資枠」、一括で投資する「成長投資枠」の二つから選択します。
- 配当金を非課税で受け取るには「株式数比例配分方式※」を選択する必要があります。銀行振込やゆうちょ銀行での受け取りを選ぶと課税されるため注意が必要です。
※ 株式数比例配分方式:証券会社の口座で直接配当金を受け取る方法
まずは、金融機関(証券会社・銀行など)を選び、申し込みをします。
- 金融機関ごとに取り扱う商品や手数料が異なるため、金融機関のWEBサイトなどで必ず比較しましょう。普段利用している銀行など、自分にとってはじめやすい金融機関というのも選択肢の一つとなります。
毎月の掛金を決め、投資信託や定期預金、保険商品から運用する商品を選びます。
- 掛金の金額は年に1回しか変更できません。最初から無理のない金額の範囲で設定することが大切です。
- きちんと引き落としがされているか、翌月に口座をチェックしましょう。
本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)、基礎年金番号などが必要です。
- iDeCoは特に申し込みが複雑です。わからない場合は、金融機関のフリーダイヤルを利用するなどして確認しながら進めていくと安心です。
提出した書類は、まず国民年金基金連合会に送られ、加入資格の確認や内容の審査が行なわれます。内容に問題がなければiDeCoの口座を開設できます。
- 審査には1~2ヵ月かかることもあります。はじめたい時期を見越して早めに手続きをしましょう。
iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象になります。控除を受けるには、年末調整や確定申告の手続きを行なう必要があります。ただし、会社員で掛金を給与天引きで拠出する場合には、都度税金処理が行なわれるため、年末調整における必要書類の提出などは不要です。また、原則として控除証明書も届きません。
- 控除証明書は毎年秋ごろに国民年金基金連合会から送付されます。郵送物をなくさないよう保管しておきましょう。
NISAとiDeCoはどちらも税制優遇のある制度ですが、目的や仕組みが異なります。ライフステージや運用目的によって活用方法がそれぞれ変わってきます。制度の特徴を理解し、自分にあった資産形成をしていきましょう。
監修
山中伸枝
監修山中伸枝
心とお財布を幸せにする専門家、ファイナンシャル・プランナー(CFP®)、株式会社アセット・アドバンテージ代表取締役。1993年米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業後メーカーに勤務。これからは一人ひとりが、自らの知識と信念で自分の人生を切り開いていく時代と痛感し、お金のアドバイザーであるファイナンシャル・プランナー(FP)として2002年に独立。年金と資産運用、特に確定拠出年金やNISAの講演、ライフプラン相談を多数手掛ける。
- ※本記事は、2025年8月時点の内容です。
- ※本記事は、当社が山中伸枝様に監修を依頼して掲載しています。
- ※本記事は、監修者の知識や経験を踏まえて執筆しています。
- ※NISA・iDeCoに関する記載は2025年8月現在の制度に基づくものであり、将来変更される可能性があります。
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