今から老後に差をつける 確定拠出年金の運用

企業型DCとiDeCo 35年後の予測額には〇万円の差? 企業型DCとiDeCoの違いは? タイプ別で運用方法を解説!

※本記事は、2024年5月時点の内容です

加入したままになっていない? 今から差を付ける確定拠出年金の運用

2001年に制定された確定拠出年金は、時代にあわせて改正されながら多くの人に活用されています。企業型確定拠出年金(企業型DC)導入企業が増えたことや、個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入範囲が広がったことで、確定拠出年金に加入した人もいるのではないでしょうか?

ただ、加入したことで安心してしまい、加入した状態のままにしていませんか?また、よくわからない状態で加入し、確定拠出年金で運用できることを知らない人もいるかもしれません。

以下の人はもっと活用できる可能性があります。

  • 運用先を何にしているか覚えていない
  • 加入時から運用先を見直したことがない
  • 加入時に説明を受けたが、実はよくわからないまま運用先を選択した

この記事では、制度について改めて解説するとともに、効果的に運用するポイントを解説します。

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制度について再確認!確定拠出年金とは?

確定拠出年金は、一言で説明すると「毎月決まった額を拠出し、加入者の運用によってつくる年金」です。国民年金や厚生年金といった公的な年金制度を補います。なお、目的は老後の資金準備であるため、引き出せるのは基本的に60歳以降という制約があります。

確定拠出年金は、個人で加入する「個人型確定拠出年金(iDeCo)」と、勤め先の企業が福利厚生の一つとして準備する「企業型確定拠出年金(企業型DC)」の二つの制度があります。二つの制度に共通する特徴は、運用時の利益に税金がかからないという点です。税金を納める必要がない分、効率的に資産をつくることができます。

確定拠出年金は運用商品によって、運用利益に大きく差が出ることがあります。例えば、35年間毎月1万円ずつ拠出した場合、商品によって次のような違いがあります。なお、実際に選べる運用商品は、金融機関によって異なります。

運用商品の例と運用予測額 運用商品の例 1.定期預金(年利0.2%)2.リスクが低めの投資信託(年利3%)※ 3.リスクが高めの投資信託(年利6%)※ 35年後の予測額 1.約443万円  2.約742万円 3.約1,425万円

執筆者作成

この章では、個人型確定拠出年金(iDeCo)と企業型確定拠出年金(企業型DC)の違い、確定拠出年金の商品の特徴について解説します。

リスクが低めの投資信託は利回り3%、リスクが高めの投資信託は利回り6%で運用した場合を想定しています。投資信託は運用結果によって、拠出額よりも資産が減る可能性もあります。

「個人型確定拠出年金(iDeCo)」と「企業型確定拠出年金(企業型DC)」。大きな違いは拠出金の負担者

加入者から見て、個人型確定拠出年金(iDeCo)と企業型確定拠出年金(企業型DC)の大きな違いは、拠出金の負担者です。個人型は加入者自身が負担し、企業型は勤務先の企業が負担します。

加入者から見た両者の特徴を表にまとめると次のようになります。

個人型確定拠出年金(iDeCo)と企業型確定拠出年金(企業型DC)の特徴 個人型確定拠出年金(iDeCo)拠出金負担者:加入者自身 特徴:掛金は全額所得控除の対象になる。※1 運用時の利益に税金がかからない。 注意点:運用手数料※2がかかる。 企業型確定拠出年金(企業型DC) 拠出金負担者:勤務先の企業 特徴:加入者に拠出金の負担がない。 運用時の利益に税金がかからない。 加入者に運用手数料の負担がない。 注意点:60歳前に退職した場合は、転職先の確定拠出年金や個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入する必要がある※3。
  1. 個人型確定拠出年金(iDeCo)は、拠出金の全額を小規模企業共済等掛金控除にできます。その結果、納税額の負担を軽減する効果があります。
  2. 確定拠出年金は、加入している期間、運用手数料がかかります。企業型確定拠出年金(企業型DC)は企業が負担しますので加入者の負担はありませんが、個人型確定拠出年金(iDeCo)は加入者本人が負担します。
  3. 企業型確定拠出年金(企業型DC)は、退職と同時に自動的に脱退することになります。しかし、60歳までは引き出すことができませんので、60歳前に退職した場合は、個人型確定拠出年金(iDeCo)や転職先の制度などに資産を移す「移換手続き」が必要になります。

運用商品は定期預金、保険、投資信託の3種類

確定拠出年金の運用商品は、大きく分けて定期預金、保険、投資信託の3種類です。定期預金と保険は拠出した金額が確保される「元本確保型」の商品です。投資信託は拠出した金額が確保されませんが、元本確保型の商品よりも一般的に利回りが高いのが特徴です。

利回りとは、資金がどれだけ増えたかを割合で表したものです。例えば、100万円の資金で1年間に10万円の利益が出た場合、10%の利回りと表現します。投資商品の資料に目標利回りが書かれています。

加入者から見たそれぞれの特徴は次のようになります。

確定拠出年金で運用できる商品 定期預金 特徴:元本確保がある。拠出時の利率で満期まで運用される。定期預金が満期になると、自動更新される。 向いている人:運用で利益を得ることよりも、元本確保されることを重要視する人 保険 特徴:元本確保がある。確定拠出年金専用の商品。満期になる前にほかの商品に切り替えると、途中解約の扱いになり、手数料が発生する。 向いている人:運用で利益を得ることよりも、元本確保されることを重要視する人 購入済みの保険を保持し続ける予定の人 投資信託 特徴:元本確保がない。 投資先は、国内債券・国内株式・REIT・海外債券・海外株式。 実際の運用はプロが行なう。 商品ごとに運用方針や目標とする利回りがあり、リスクに差がある。 向いている人:リスクを取りながら、積極的に運用したい人

なお、一般的に定期預金よりも保険商品の方が利回りが高いので、長い期間保持し続けると、定期預金より保険商品の方が利益が多くなる可能性があります。ただ、保険商品は運用商品の変更等のために解約すると手数料がかかる場合があります。この手数料は保険で積み立てた金額から引かれますので、手数料の金額によっては、予想より少ない金額しか受け取れない場合もあるので注意が必要です。

また、投資信託は「国内債券のみ」のように一つの種類で運用する商品や、複数の種類に投資する商品があります。国内外の債券や株式など、一つの商品内でバランスを取っている「バランス型」という商品もあります。

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自分にあった運用方法を考えよう

資産運用を趣味として楽しむ人がいる一方で、自分で運用することに不安を感じる人や、運用を面倒だと感じる人もいます。しかし、運用先によって想定される運用利益に大きく差が出ることもあるため、自分にあった運用方法を見つけることが重要です。

自分にあった運用方法を決めるときは、特に次の3点を意識するようにしましょう。

ポイント1 リスクの取り方

運用次第では資産が増える可能性も減る可能性もあります。そのため、「どのくらい増やしたいか」と同じくらい「どのくらい減っても問題ないか」という視点が大切です。一般的に大きく増える可能性のある商品は、大きく減る可能性もあります。資産が減っては困るという人は、大きく増える商品を避ける方が無難です。

なお、投資では、資産の変化の幅を「リスク」と呼びます。大きく増える可能性も、大きく減ってしまう可能性もある商品を「リスクが高い」、増減が小さい商品を「リスクが低い」と表現します。リスクの高い・低いは相対的に表現されるため、どのくらい増減があればリスクが高いと呼ぶというようなルールはありません。一般的には、国内で投資する場合、3%未満の利回りがリスク低め、6%以上の利回りがリスク高めの目安と考えられています。リスクの感じ方は人によって変わりますので、参考値としてください。

確定拠出年金は、退職後に向けた資産形成のため、比較的リスクが低い商品が主流です。特に、運用先を分けることでリスクを抑え、長い時間をかけて資産をつくる、長期分散型といわれる運用方法にあった商品が多くあります。

ポイント2 運用にかける手間

確定拠出年金の運用期間は長期にわたるため、どのくらいの手間をかけて運用するかという視点も大切です。

例えば、加入時に利回りが高い商品に投資をしたとしても、数年・数十年経つと加入当時ほど効果が見込めないかもしれません。もし、このような変化に対応し、そのときどきで最も効果が高い方法で資産をつくりたい方は、定期的な見直しを行ない、手間をかけて運用先を見直しする方法が向いています。

一方、できるだけ手間をかけたくない方は、長期分散型の商品を利用し、毎月の拠出金でコツコツと資産をつくっていく方法が向いています。

長期分散型とは、複数の運用先に資産を分け、長い時間をかけて資産をつくる運用方法のことです。

ポイント3 資産分配の方法

リスクを下げるには、資産を分けて投資するのも一つの方法です。確定拠出年金では、元本確保の商品、リスクが高めの商品、リスクが低めの商品がありますので、これらのバランスを考えるという方法です。

例えば、「資産を少しは増やしたいが、できるだけ資産が減らないようにしたい」という人は、元本確保の商品とリスクが低めの商品の組み合わせが向いているでしょうし、「資産を大きく増やす可能性にかけたい」という人はリスクが高めの商品の組み合わせが向いているでしょう。

また、株式や債券など、複数の運用先に資産を分けるとリスクを下げる効果があるといわれています。預貯金や不動産・外貨などの資産をお持ちでしたら、確定拠出年金の運用先とこれらの資産全体で分散するのも効果的です。

はじめてでも安心。
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老後資産を増やしませんか?

リスクを下げるために、なるべく運用先を分けて資産を増やしていきたい。そんな方は、確定拠出年金の運用のほかに、保険での資産運用もおすすめ。貯蓄型保険であれば、保障を受けながら、しっかりと老後に備えることができます。

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タイプ別資産運用の例

自分に向いている運用方法が見つかった後は、具体的な運用商品を選びます。

なお、確定拠出年金で運用する場合は、年金として受け取るときに資産を減らさないことも大切です。そのため、若いうちは多少のリスクを取り、高齢になったら資産を守るためにリスクの低い商品を増やすなど、年齢によって運用商品を見直すのも一つの方法です。

ここでは、3種類のタイプに分けて、タイプごとに向いている運用方法を紹介します。

手間をかけてしっかり運用タイプ

このタイプは、社会情勢にあわせて効率の良い運用先選んで運用したいタイプです。資産を増やすことを重視するため、利回りの高い投資信託等リスクの高い商品を選ぶ傾向があります。ただし、退職後の資産を守るには、年齢が上がるに従い、利回りの低い投資信託等リスクの低い商品や、定期預金や保険といった元本確保の商品を組み入れることも大切です。

手間をかけずに手軽に運用タイプ

このタイプは、なるべく手間をかけずに、資産をつくりたいタイプです。加入時に分散投資できる仕組みをつくっておく方法が向いています。例えば、種類の異なる複数の商品で運用する方法や、バランス型の投資信託に投資する方法です。退職後の資産を守るために、時期を見て定期預金や保険といった元本確保の商品を組み込むというのも一案です。

安全重視のリスク回避運用タイプ

このタイプは、資産が減ってしまうことにストレスを感じるタイプです。資産を守ることを重要視するため、定期預金や保険といった元本確保の商品が好まれる傾向にあります。一般的に定期預金より保険の方が比較的利率が高いので、長期間運用すると保険の方が利益を多く受け取れる可能性があります。ただ、元本確保の商品は資産を増やす効果は少ないため、年齢が若い場合は、資産形成のためにバランス型の投資信託を組み入れるのも一つの方法です。

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老後の備えは無理なくじっくりが大切!

確定拠出年金は、基本的に60歳まで運用を続けますので、加入時期によっては長期にわたって利用することになります。自分が許容できるリスク、かけられる手間などを考慮し、自分にあった投資方法で、じっくり運用することが大切です。効果的な資産運用で無理なく老後に備えましょう。

執筆
黒川 一美

執筆 黒川 一美

日本FP協会 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分にあったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPをめざして活動中。

  • ※本記事は、2024年5月時点の内容です
  • ※本記事は、当社が黒川一美様に執筆を依頼して掲載しています

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長い期間をかけて、世界経済の成長にあわせて資産を増やす長期投資。そして運用先をなるべく複数に分ける分散投資。さらに、少額から払込みが可能な積立投資。リスクを抑えるためには、この3点を意識して資産運用をすると良いとされています。明治安田では、低リスクで長期間にわたり運用することができる積立型の貯蓄型保険をご用意しています。保険を活用して、じっくり資産を増やしていきませんか?

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  • ※2 保険商品をご検討いただく際には、「契約締結前交付書面(契約概要・注意喚起情報)」を必ずご確認ください
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