- ※本記事は、2025年11月現在の内容です
12月が近づくと、気になるのが恒例行事の年末調整。書類の準備等もありやや面倒に感じますよね。でも年末調整は、税金を支払いすぎていた場合に、それらを正しく戻してもらうための大切な作業。損をすることのない年末調整を行なうためのポイントと、具体的な家族構成をもとにした控除額の例を紹介します。
- ※所得税には復興特別所得税(東日本大震災からの復興に用いられる税金。所得税の2.1%)も付加されますが、コラム内では省略しています。
- ※控除とは、「一定の金額を差し引く」という意味。税金について使われる場合、課税対象となる所得金額や納付すべき税金の額から一定の金額を引く制度を指します。
- ※税務上の取り扱いについては2025年11月現在の税制に基づくものであり、今後、税制の変更に伴い取り扱いが変わる場合があります。個別の取り扱いにつきましては、所轄の税務署等にご確認ください。
会社から給与をもらっている人は、毎月の給与等から所得税が天引き(源泉徴収)されているかと思います。会社では源泉徴収した税金を、社員の代わりに納税する仕組みになっています。
この天引きされている税額はあくまでも概算で、国税庁の「源泉徴収税額表」※に基づいて求められています。
最終的な納税額は、1年間(1月~12月)に支給された給与・賞与から各種控除などを引いて確定します。ここで、実際の納税額と天引きされた税額は必ずしも一致せず、過不足が発生することがあり、この過不足を精算するための手続きが年末調整です。そして、年末調整の結果戻る税金を「還付金」といいます。
年末調整を行なう必要があるのは、あくまでも会社に所属している人のみであり、フリーランスなど会社に所属していない人は、納税者本人が税額を確定する、確定申告を行なう必要があります。
※「源泉徴収税額表」は令和8年1月より変更されます。
年末調整の対象者となるのは、主に次のような方です。
- 会社などに1年を通じて勤務している人
- 年の途中で就職し年末まで勤務している人
ここには、パート・アルバイトなども含まれます。ただし、給与が2,000万円を超える人など、例外となる人も。給与が2,000万円を超える人は自分で確定申告を行なう必要があります。
年末調整を行なうことで還付金を受け取れる人は、源泉徴収されていた税額よりも、年末調整後の正しい納税額の方が少なかった人であり、生命保険や地震保険に加入している、住宅ローン控除を受けているなど、後述する控除が多い人ほど戻る可能性が高くなります(源泉徴収税の範囲で)。会社に出していた「扶養控除等申告書」より、扶養親族の数が増えた場合なども還付額が増えます。
逆に、源泉徴収されていた税額よりも、年末調整後の正しい納税額の方が多かった場合は、不足分が調整されます。扶養家族が減った場合などが想定されます。
発生した過不足の調整(還付や支払い)は、12月もしくは1月の給与で行なわれます。また、年末調整により確定した所得税額は、「源泉徴収票」として1月末までに配布されるので、必ず目を通し、保管しておきましょう。
年末調整の手続きや控除証明の書類の提出が間にあわなかった…という場合は、自分で確定申告を行なうことになります。
また、医療費控除や住宅ローン控除の初年度分など、確定申告でなければ処理できない控除もあります。そういった場合も、年末調整を行なったうえで、さらに確定申告が必要です。
確定申告の申告期間は、原則として翌年の2月16日から3月15日まで。国税庁サイトのe-Taxを利用して、PCやスマートフォンで行なうこともできます。
では、年末調整で押さえておくべき控除にはどのようなものがあるでしょうか?
ここでは主な8つの控除を紹介します。控除とは所得税の計算の際に、所得から差し引いたり、なかには算出した所得税額から差し引くことができるものです。
もうすでに知っている!という人も、今一度見直してみましょう。もしかしたら、忘れていた控除がまだあるかもしれません。
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まずは必ずチェック!扶養控除
生計を一にする16歳以上の親族のうち、合計所得金額が一定額以下の場合、下記の控除を受けることができます。年齢は12月31日現在で判断します。
<控除額>
区分 対象者の
合計所得金額控除額 一般の控除対象扶養親族(16~18歳、23歳以上) 58万円(給与収入
123万円)以下38万円 特定扶養親族
(19~23歳未満)123万円(給与収入
188万円)以下※最大63万円※ 老人扶養親族
(70歳以上)58万円(給与収入
123万円)以下48万円(同居老親等:58万円) ※満額63万円の控除を受けられるのは、合計所得金額85万円(給与収入150万円)以下の場合
2025年度から「特定親族特別控除」が新設され、19~23歳未満の親族(配偶者以外)の合計所得金額が58万円を超えても、123万円以下であれば控除が受けられるようになりました。控除額は最高63万円から段階的に減っていきます。
<控除額>特定親族特別控除
合計所得金額(給与収入) 控除額 58万円超 85万円以下
(123万円超 150万円以下)63万円 85万円超 90万円以下
(150万円超 155万円以下)61万円 90万円超 95万円以下
(155万円超 160万円以下)51万円 95万円超 100万円以下
(160万円超 165万円以下)41万円 100万円超 105万円以下
(165万円超 170万円以下)31万円 105万円超 110万円以下
(170万円超 175万円以下)21万円 110万円超 115万円以下
(175万円超 180万円以下)11万円 115万円超 120万円以下
(180万円超 185万円以下)6万円 120万円超 123万円以下
(185万円超 188万円以下)3万円 (参照:国税庁サイト)
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所得額に応じて額が決まる基礎控除
「基礎控除」は、合計所得金額が2,500万円以下である場合に、所得額に応じて16~95万円が控除されます。合計所得132万円超2,350万円以下は、令和7、8年のみ加算されていますが、令和9年以降は58万円に戻る予定です。勤務先に「基礎控除申告書」を提出する必要があります。
<控除額>
納税者本人の
合計所得金額控除額 令和6年分
以前令和7年分
令和8年分令和9年分
以後132万円以下 48万円 95万円※ 95万円 132万円超
336万円以下88万円※ 58万円 336万円超
489万円以下68万円※ 489万円超
655万円以下63万円※ 655万円超
2,350万円以下58万円 2,350万円超
2,400万円以下48万円 48万円 2,400万円超
2,450万円以下32万円 32万円 32万円 2,450万円超 2,500万円以下 16万円 16万円 16万円 2,500万円超 0円 0円 0円 ※58万円にそれぞれ37万円、30万円、10万円、5万円を加算した金額。この加算は居住者のみ適用
(参照:国税庁サイト)
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本人と配偶者の所得次第で配偶者控除・配偶者特別控除
本人の合計所得金額1,000万円以下で、同一生計で合計所得金額が58万円以下※の配偶者がいる場合に受けられるのが配偶者控除です。合計所得金額が58万円超133万円以下の場合には配偶者特別控除が適用に。※内縁関係は配偶者対象になりません。
<控除額>配偶者控除
納税者本人の
合計所得金額控除額 一般の控除
対象配偶者老人控除対象
配偶者
(70歳以上)900万円以下 38万円 48万円 900万円超
950万円以下26万円 32万円 950万円超
1,000万円以下13万円 16万円 <控除額>配偶者特別控除※
控除を受ける納税者本人の
合計所得金額900万円
以下900万円超
950万円
以下950万円超
1,000万円
以下配偶者の合計所得金額 58万円超
95万円以下38万円 26万円 13万円 95万円超
100万円以下36万円 24万円 12万円 100万円超
105万円以下31万円 21万円 11万円 105万円超
110万円以下26万円 18万円 9万円 110万円超
115万円以下21万円 14万円 7万円 115万円超
120万円以下16万円 11万円 6万円 120万円超
125万円以下11万円 8万円 4万円 125万円超
130万円以下6万円 4万円 2万円 130万円超
133万円以下3万円 2万円 1万円 (参照:国税庁サイト)
※本控除は、令和7年分(2025年分)以降の所得税に適用されます。
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年間支払った全額が社会保険料控除
給与から引かれている厚生年金保険料や健康保険料、介護保険料は、年末調整時に社会保険料控除となります。自営業なら、国民年金や国民健康保険。年間に支払った社会保険料の合計額が控除の対象です。源泉所得税を算出する際にすでに加味されています。
同一生計の配偶者や子、親など親族の社会保険料を支払った場合も、社会保険料控除の対象です。<控除額>
- 社会保険料控除
- 全額
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iDeCo掛金は小規模企業共済等掛金控除
会社員でも通常、iDeCoは加入可能です。この掛金は年末調整で小規模企業共済等掛金控除として申告が必要です。全額が控除対象となります。
<控除額>
- 小規模企業共済等掛金控除
- 全額
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最高5万円の地震保険料控除
地震保険料の控除額と旧長期損害保険料の控除額をあわせて最高5万円の控除が受けられます(旧長期損害保険料のみは最高15,000円)。保険会社が発行する地震保険料控除証明書が必要です。
<控除額>
- 地震保険料控除
- 最高5万円(旧長期損害保険料のみは最高15,000円)
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「住宅ローン控除」で知られる住宅借入金等特別控除
会社員の場合、住宅借入金等特別控除を受けるには、初年度は確定申告が必要ですが、2年目以降は、年末調整で「住宅借入金等特別控除申告書」を提出します。控除額は、借入年度や借入額、物件タイプ、経過年数等で異なります。所得税額を計算し終えてから差し引く税額控除です。
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保険加入で最高12万円の生命保険料控除
生命保険や介護医療保険、個人年金保険に加入して保険料を支払うと、控除を受けられます。控除額は保険の種類や保険料、加入時期によって変わり、保険料控除証明書が必要です。保険の種類により控除の枠も異なるため、確認するようにしましょう。
なお令和8年(2026年)に限り、子育て世帯(23歳未満の子どもを扶養する世帯)は、所得税のうち「一般生命保険料控除」の上限額が4万円から6万円に引き上げられます(住民税の変更はなし)。ただし、合計の控除額は最高12万円のままです。
<控除額>
保険等の
種類※1旧契約
(平成23年まで※2)新契約
(平成24年以降※2)一般生命保険料 最高5万円 最高4万円※3 個人年金保険料 最高5万円 最高4万円 介護医療保険料 - 最高4万円 合計 最高12万円※4 (参照:国税庁サイト)
- ※1 新旧両制度の契約がある場合、控除額がより大きくなる組み合わせを選ぶことができます。一般生命保険料と個人年金保険料について、旧契約の保険料が6万円以下の際には最高4万円、6万円を超えた際には最高5万円まで控除されますが、制度全体の適用限度額は12万円です。
- ※2 各保険について、契約締結時点で、旧契約か新契約のどちらかが適用されます。
- ※3 令和8年(2026年)に限り、子育て世帯(23歳未満の子どもを扶養する世帯)は最高6万円
- ※4 旧契約のみの場合、適用限度額は10万円(一般生命保険料:5万円、個人年金保険料:5万円)となります。
あくまでも試算の範囲にとどまりますが、還付を受けられるケースを、FPのアドバイスとあわせていくつかご紹介します。試算は、特定の控除により戻るであろう金額を、税率から算出した見込み額です。所得とほかの控除との関係で、試算例のように還付を受けられないケースもありますのでご注意下さい。
- ※復興特別所得税(東日本大震災からの復興に用いられる税金。所得税の2.1%)はコラム内では省略しています。
- ※社会保険料は、40歳未満14.7%、40歳以上15%で概算。
- ※3つのケースとも、給与収入のみという前提で試算しています。
- ※給与収入の所得税の計算方法:給与収入から給与所得控除を引いて「所得金額」を算出。そこから、基礎控除や配偶者控除、社会保険料控除など各種所得控除を引いて「課税所得」を求めます。この課税所得を速算表にあてはめて(税率5%〜45%)、所得税が算出されます。さらに、住宅ローン控除など税額控除分を引いて、最終的な所得税額が決まります。

今年16歳になった子どもがいるが、扶養控除の届出を忘れていた
(試算例)

- 本人
- 44歳、年収790万円
- 配偶者
- 42歳、年収200万円、子ども2人(16歳・14歳)
- 年末調整時のそのほかの控除
- 基礎控除63万円、社会保険料控除118.5万円、配偶者控除3万円、
生命保険料控除8万円
会社に出した扶養控除等申告書に子の扶養の記載忘れていた!
今年16歳になった第1子は扶養控除38万円
所得税率が20%のこちらのケース、本来ならば、年末調整をすることで、子の扶養控除により76,000円の所得税の還付が見込まれます。しかし、この場合は確定申告が必要になります。
毎年、会社に提出する扶養控除等申告書を書く際には、12月31日現在の年齢であることに注意。16~23歳未満の子どもだけでなく、70歳以上の親を扶養する場合も扶養控除の記載を忘れずに。

妻が仕事をやめ配偶者控除の対象になった
(試算例)

- 本人
- 35歳、年収600万円
- 配偶者
- 33歳、年収0円、子ども1人(1歳)
- 年末調整時のそのほかの控除
- 基礎控除68万円、社会保険料控除88.2万円、生命保険料控除8万円
妻が育休後に職場復帰予定だったが、体調を崩して離職。
会社に出した扶養控除等申告書と異なる内容となり、配偶者控除が最高となる38万円を受けられることになりました。
所得税率が10%のこちらのケースは、年末調整をすることで、配偶者控除により38,000円の所得税の還付が見込まれます。
会社に提出してある扶養控除等申告書に変更がでた場合は、会社に扶養控除等の(異動)申告書を出すことで、給与から天引きされる税額が小さくて済み、年末調整での精算額も小さくなります。配偶者が仕事をやめ、年収が扶養の範囲になると確定した際には、忘れずに手続きをしましょう。

生命保険に加入しているため、生命保険料控除証明書を提出
(試算例)

- 本人
- 32歳、年収450万円
- 配偶者
- 28歳、年収100万円、子ども3人(6歳・4歳・2歳)
- 年末調整時のそのほかの控除
- 基礎控除88万円、社会保険料控除66.15万円、配偶者控除38万円
生命保険料控除12万円
所得税率が5%のこちらのケースは、年末調整をすることで、生命保険料控除により、
6,000円の所得税の還付が見込まれます。
10~12月ごろに届く生命保険料控除証明書をなくさないようにしましょう。保険会社のサイトからダウンロードし、年末調整の書類を提出する際にデータで添付できる場合もあります。
年末調整について、苦手意識を持っている人は多いはず。しかし、年末調整を行なうことで、不足する税金を納めるケースもありますが、多くは支払い過ぎた所得税が還付されます。会社から手続きの依頼が来たら「待ってました!」という気持ちで臨んではいかがでしょう。
自分が納めている所得税はいくらで、どんな控除を受けているのか。納税額が多い場合は、ほかにも受けられる控除はないのか。年末調整は、それらを見直す良いチャンス!知識を身に付けることで還付金を正しく受け取り、上手に税金と付きあっていきましょう。
執筆
豊田眞弓
執筆豊田眞弓
ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、相続診断士。FPラウンジ代表。個人相談のほか、講演や研修講師、マネーコラムの寄稿などを行なう。6ヵ月かけて家計を見直す「家計ブートキャンプ」も好評。大学・短大で非常勤講師も務める。「50代・家計見直し術」(実務教育出版)など著書多数。
- ※本記事は、2025年11月時点の内容です。
- ※本記事は、当社が豊田眞弓様に執筆を依頼し、掲載しています。
- ※税務上の取扱いについては、2025年11月現在の税制に基づくものであり、今後、税制の変更に伴い取扱いが変わる場合があります。個別の取扱いにつきましては、所轄の税務署等にご確認ください。
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