
光熱費は、基本的に毎月支払わねばならないお金。なんとなくで支払いをしている人も多いかもしれません。しかし、総務省の「2022年度 家計調査」によると、1ヵ月にかかる光熱費の平均は、単身世帯で約1万円※、2人以上世帯で約18,000円※。
月に1~2万円の出費は、年間で見れば10万円以上に。家計のなかでも決して小さな存在ではないからこそ、節約を意識している家庭とそうでない家庭とでは、大きな違いが生まれやすいのです。
- ※ 出典:総務省統計局/家計調査報告(家計収支編)
2022年(令和4年)

電気代・ガス代の節約法は、多くの人の関心ごと。最近はテレビや雑誌だけでなく、SNS等でも発信されています。ただ、そのなかには実は効果が薄かったり、逆効果になってしまったりするものも。
例えば下記の「節約法」、みなさんはどう思いますか?
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部屋を出るときは、エアコンを毎回消す
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浴槽にお湯を張らず、なるべくシャワーで済ませる
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家電のプラグをこまめにコンセントから抜く
これ、実は場合によっては逆効果になってしまう可能性があります。
例えばエアコンは、室温と設定温度を近づけるときに電力を使うため、一度消してしまうと再度付けるときに多くの電力が必要になります。そのため、場合によってはつけっばなしの方が良いことも。
またシャワーは、1分間で12Lの水が流れます。浴槽一杯に必要な水量は200Lで、これは単純計算でシャワー16分間分の水量に該当します。ひとりあたり最低でも5分程度はシャワーを使うと考えると、複数人の家族であれば浴槽にお湯を張ったほうが節約になることもあると分かります。
また、ほかには、家電のプラグをコンセントから抜く、という節約方法も取り上げられることがありますが、こちらもほとんど効果がありません。というのも、家庭における待機時消費電力で最も高い割合を占めているのは、コンセントに接続している機器ではない「ガス給湯器」であり、実質待機電力をなくすことが不可能なのです。
また最近の家電は待機消費電力量も限りなくゼロに近くなっています。長期間使用しない家電は安全面なども考慮しコンセントから抜いておくことは必要ですが、日常的に使用する家電のプラグを抜く必要はあまりないといえます。
このように、一見正しいと思われる節約法が間違っていることも。本当に効果のある節約を実行するためには正しい知識を身に付けることが大切です。

とはいえ。こまめに電気を消す以外に具体的に何をすればいいのかわからない、という人も多いはず。そこで、効果的な節約のコツを、今日から実践できる具体的な節約法とあわせ、4つのポイントに分けて紹介していきます。
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まずは電気・ガス料金を「見える化」
光熱費の節約でまずやるべきことは、使用量の「見える化」。自分が1ヵ月にどれくらい電気やガスを使用しているか、把握するようにしましょう。
最近では自分の使用量をアプリやWebサイト上で確認できる会社も増えています。使用量は季節によっても変動するので、過去の同時期の使用量と比べれば比較しやすくなります。また、会社によっては、契約者の平均使用量を確認できるので、平均とどの程度離れているかを知れば、節約を行なうモチベーションにもなります。 -
節約は「3大家電」の見直しから
電気代については、消費電力と消費電力量の違いを把握することが大切です。
消費電力:瞬間的にかかるエネルギーのこと
消費電力量:家電を実際に使用する(した)時間を掛けたもの
消費電力:瞬間的にかかるエネルギーのこと
消費電力量:
家電を実際に使用する(した)時間を掛けたもの
節約となると、ついつい消費電力が高いドライヤーや電子レンジなどの家電に目が行きがちですが、気をつけたいのは、消費電力は高くなくても長時間使用する照明器具・冷蔵庫・エアコンなどの家電。この3つだけでも、家庭の消費電力量の5割以上(冬季・夏季に限定すると6~7割)を占めるので、節約の大きなポイントとなります。
これらの家電は、日常的な使用方法を見直すほかに、より省エネを意識したものへの買い替えも効果を発揮します。環境省の「しんきゅうさん」というサイトでは、製品のランニングコストをシミュレーションすることができます。今使っている家電を買い替えた場合どれくらいお得になるのか、ぜひシミュレーションしてみてください。-
照明器具の電気代は、LEDなら蛍光灯と比べて半分、白熱電球と比べると約1/10になります。また、省エネ性能に優れているだけでなく電球自体の寿命も長いため、電球交換の手間や費用が抑えられますよ。
- ほぼ同じ明るさの一般電球と電球型LEDランプとの比較
環境庁「しんきゅうさん」参照
- ほぼ同じ明るさの一般電球と電球型LEDランプとの比較
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冷蔵庫は基本的に年中稼働しているもの。こまめに消したり止めたりして、極力使わないという一般的な節約法が実行できないからこそ、冷蔵庫自体の性能が電気代に大きく影響します。最近の冷蔵庫は省エネ効果が高く、10年前のものと比べると年間約5,000円以上の節約効果が期待できるのです。
- 定格内容積401~450Lの10年前の冷蔵庫と最新冷蔵庫の比較
環境庁「しんきゅうさん」参照
- 定格内容積401~450Lの10年前の冷蔵庫と最新冷蔵庫の比較
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エアコンを起動後、設定温度に達したあとで「寒いな」「暑いな」と感じたときは、すぐに消すのではなく、設定温度を変えることで室温を調整するのが良いでしょう。
外気温度6℃の際、エアコン(2.2kW)の暖房設定温度を21℃から20℃にした場合(使用時間:9時間/日)、年間で電気53.08kWhの省エネとなり、約1,650円 の節約となります。- 経済産業省「省エネポータルサイト」参照
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プラグ挿しっぱなし……な
保温家電に要注意冬の電気代で注意すべきなのは、熱を発生させる家電。保温機能がある電気ポットや炊飯器の家電、温水便座などがあげられます。これらは、消費電力はそれほど高くありませんが、長時間使用することで気づかないうちに電気代が高くなってしまいます。
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使わないときはなるべくプラグを抜き、必要があれば再沸騰させるようにしましょう。電気ポットに満タンの水2.2Lを入れ沸騰させ、1.2Lを使用してから6時間保温状態にした場合と、プラグを抜いて保温しないで再沸騰させて使用した場合を比較すると、年間で電気107.45kWhの省エネとなり、約3,330円の節約になります。
- 経済産業省「省エネポータルサイト」参照
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ガス代の節約は、「入浴のとき」が肝心
ガス代の節約において、特に気をつけたいのは「給湯」です。もちろん調理にもガスを使いますが、水をお湯に変えるには電気やガスなどのエネルギーが必要になり、家庭のエネルギー全体の使用量で見ると給湯が約3割を占めるのです。ガス給湯器を使用しているならば、ガス使用量のおよそ8割は給湯器と言われていますので、ガス代の節約は給湯の節約が最も重要になります。同じ水量でも、温水は冷水の3倍ほどのコストがかかるため、ガス代を節約したい場合は、とにかく「温水を節約する」ことを意識すると良いでしょう。
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複数人でお風呂を使用する場合は、間隔を空けずに入浴するようにしましょう。浴槽の蓋を必ず閉めるだけでなく、お風呂の熱を逃さないための保温シートをあわせて使用するのも効果的です。2時間の放置により4.5℃低下した湯(200L)を追い焚きする場合(1回/日)、年間約6,190円の費用がかかります。1日1回追い焚きを減らしただけでも、大きな節約効果が期待できるのです。
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先ほども説明したとおり、シャワーを1分間使用すると12Lのお湯が流れます。45℃の湯を流す時間を1分間短縮した場合、年間でガス12.78㎥の省エネ、水道4.38㎥の節水となり、約3,210円の節約になります。
- 経済産業省「省エネポータルサイト」参照
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日々節約を心がけることに対して、少々煩わしく感じる人もいるかもしれません。
しかし、ご紹介した方法をすべて実行するだけでも、年間2万円以上の節約になります。節約の目的は使うお金を減らすことではなく、お金をかけたいところにしっかりと出費できるように、不必要な支出をなるべく抑えること。
資産形成に大切なのは、毎月、少しずつでも良いからお金を積み立てていく姿勢です。節約で浮いたお金を貯蓄や投資に回して無駄なく資産形成を行い、さらに出費を楽しめるようにしたいですね。

監修
和田由貴
監修和田由貴
消費生活アドバイザー、家電製品アドバイザー、食生活アドバイザーなど、幅広く暮らしや家事の専門家として多方面で活動。また、環境カウンセラーや省エネ・脱炭素エキスパートでもあり、2007年には環境大臣より「容器包装廃棄物排出抑制推進員(3R 推進マイスター)」に委嘱されるなど、環境問題にも精通する。私生活では2人の子を持つ母で現役の節約主婦でもあり、日常生活に密着したアドバイスを得意とする。
「節約は、無理をしないで楽しく!」がモットーで、耐える節約ではなく快適と節約を両立したスマートで賢い節約生活を提唱している。
- ※本記事は、2023年8月時点の内容です。
- ※本記事は、当社が和田由貴様に監修を依頼し、掲載しています。
明治安田では、資産形成に
おすすめの保険をご用意しています!
光熱費の節約を意識するなど、日常的な支出を抑えることももちろん大事ですが、加えて、資産運用を行なうことも効果的です。
明治安田では貯蓄型の保険を各種ご用意しています。資産形成だけでなく、いざというときは保障を受けられるので、より磐石な人生設計を立てられます。
これらの保険を賢く利用することで、資産運用を行ない、将来に向けた安定した経済的な保障を築いていきましょう。
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