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突撃!僕らのJタウン
  • 北海道初のプロスポーツクラブ。
  • 広大な北の大地全域がホームタウン。
  • 前編はこちら

突撃!僕らのJタウン at 北海道コンサドーレ札幌

広大な大地でサッカーを広める工夫とは?来訪必須!札幌の人気スポットも紹介<後編>

と、ここまでは、街の魅力的なスポットを紹介してきたワケですが、北海道コンサドーレ札幌は、北海道初のプロスポーツクラブとして、街とのかかわりが密接なクラブなんだそう。というわけで、北海道コンサドーレ札幌のクラブ事務所にやってまいりました。

ここから先は、そんな地元密着型クラブの企画戦略室 室長の熱海 寿さんにお話を伺っていきます。

取材:友光だんご/文:関戸ナオヒロ/構成:納谷ロマン/写真:山元裕人

熱海 寿(あつみ ひさし)

企画戦略室 室長。北海道旭川市出身。大学を卒業後、損害保険会社に入社、東京で2年間勤務した後、株式会社北海道フットボールクラブ(現株式会社コンサドーレ)に入社。チーム広報、パートナー営業、ボランティアスタッフ担当、チケット企画など各部署を経て現職に。新規事業開発、シャレン!(Jリーグ社会連携活動)、PASS(SDGs関連事業)を担当。

北海道初のプロスポーツクラブ、北海道コンサドーレ札幌。

だんご
今日はよろしくお願いします。ちょうど到着したときに表にあるグラウンドで選手たちが練習していて。なかなか普段見ることができないので興奮しました!
熱海
間近で選手を見て楽しんでもらえるように、練習は無料公開しています。以前は練習後の選手に声をかけたり、サインや写真を撮ることもできたんですけど、コロナ禍で縮小しながらもファンと交流できる場所を作っています。

[白い恋人テーマパーク]内にある練習場。
3,000人が収容でき、高校サッカーの
大会会場にも使われる。

だんご
憧れの選手と交流できるのはサポーターにとっては堪りませんね。クラブの成り立ちについてお聞きしてもよろしいでしょうか?
熱海
もともとは神奈川県の川崎で東芝のサッカー部としてはじまりした。それから、1996年に拠点を北海道に移して、コンサドーレ札幌が誕生しました。クラブとしては、拠点を北海道に移してからがスタートっていう印象ですね。

年に一度開催されるサポーターズデーで撮影され

コレオグラフィー(人文字)の様子。

だんご
クラブが北海道にできたときは街はどんなリアクションでしたか?
熱海
コンサドーレは、北海道初のプロスポーツクラブなんですよ。なので、「まさか北海道にサッカークラブができるなんて!」と、すごく反響をいただきました。
だんご
初のプロスポーツクラブだったんですね!それは盛り上がりますね。そこから、地域に愛されるクラブになるために、当時はどんな活動を行ってきたんでしょうか?
熱海
ご存じの通り北海道はものすごく広くて、当時は212市町村もあったんです。そのすべての場所でスタッフ、OBなどを中心にサッカー教室を開催しました
だんご
212地域すべてで!ものすごい胆力のある活動ですね。

現在行われているサッカー教室の様子。
経験者、
未経験者問わず、
サッカーの魅力を伝えるために活動している。

熱海
道内でも東京と名古屋間くらいの距離がある場所もあるんですよ。クラブ発足当時は室蘭や函館など、札幌以外の地域でも試合を行って、より広い地域の人に試合を見てもらうようにしていました。
だんご
札幌から離れた場所に住んでいる人でも、試合を見にいくことができるようにしていたんですね。
熱海
現在はJリーグの規定により全試合が札幌で行われるようになったんですけど、選手の育成の分野では、旭川、釧路、室蘭などにもアカデミーを設置し、札幌一極集中にならないように幅広く活動しています。
だんご
いわゆる、ユースですね。
熱海
そうです。育成から集客まで、とにかく北海道全体から愛されるクラブにしようと、足を運んで出向く活動を意識して行ってきたことで、今のクラブの姿があると感じています。
だんご
構えて待つのではなく、自発的に動いてサポーターの心をつかむ。単純だけど一番大事で難しいことですよね。それをクラブ発足から理解して活動しているのがスゴい。

広大な北の大地全域がホームタウン。クラブのこれから。

だんご
クラブ発足から、どのような変遷を辿ってきたのでしょうか?
熱海
クラブが誕生して2年目でJリーグに昇格、そこまではものすごい盛り上がりを見せてきたんですけど、そこからリーグの昇格と降格を繰り返す時期がありまして、「エレベータークラブ※1」なんて呼ばれたこともありました。経済的にも厳しかったり、その間にプロ野球クラブが誕生して、そちらの盛り上がりがすごかったり……。

※1……降格・昇格を頻繁に繰り返すクラブのこと。

だんご
我慢の時期もあったんですね。
熱海
2016年にJ1リーグに昇格してからは降格することがなく、安定して戦えていると考えています。あの苦しかった時期があってこそ、今につながっていると思っています。
だんご
サポーターの反応としては、昇格や降格を繰り返していた時期はどうでしたか?
熱海
どうでしょう……。私の体感ですと、あまり変化はない気がしますね。もちろん、J1に上がったから応援してくれている人も多いと思うんですけど、J 2に落ちたとしても、みなさん温かく見守ってくれているように感じます。
だんご
クラブを支えるサポーターの雰囲気としては、とてもいい雰囲気ですね。
熱海
サポーターでいうと、コンサドーレはアウェイの試合の動員数が多いっていう特徴があります。
だんご
それはなぜでしょうか?
熱海
北海道の人って、進学や就職で上京する人が多いんですね。特に関東で行われる試合だと、関東在住の北海道民が応援しに来てくれるんですよ。その光景を見ると、とても愛されているクラブなんだなと嬉しくなりますね。

2019年にアウェイの東京で行われた試合では、
観客席の一角をコンサドーレ色に染め上げた。

だんご
アウェイの試合でサポーターが大勢いるっていうのは、選手の精神的にも心強いですよね。
熱海
北海道民ってクール、なんてたまに言われますけど、実は熱い思いを内に秘めていて地元愛が強い人が多いんです。本拠地となるのは札幌ですけど、北海道全域の人が応援してくれているんじゃないかなって思います。
だんご
北海道全体から愛されるクラブということで、地域への活動はどういったことをされていますか?
熱海
札幌市を中心に、北海道全域をホームタウンとしておりますが、その中でも特に、地域の課題解決にコンサドーレを活用してくれている自治体と協定を結んで活動しております。
だんご
協定ですか。
熱海
例を出すと、紋別市では我々のOBを指導者として派遣して、高校のサッカー部や、少年団の指導者として実際に紋別市に住んでもらって、スポーツ振興や若手育成を行っております。

指導者の派遣のほか、スポーツ観光の推進や総合型
地域スポーツクラブの運営、
シティープロ
モーションの協力など、協定先の環境に
合わせた活動を行う。

だんご
派遣して、なおかつその地で暮らしてもらうってすごいですね。
熱海
どうしても距離的に、通うことが不可能だったりするんですよ……。
だんご
そうか。あまりに広い北海道ならではの苦労かもしれませんね。
熱海
距離が遠くなると必然的に、時間的にもお金的にも負担は増えてしまい、やりたいことが思うようにできなかったりするんです。そこは、ほかのクラブに比べて大変かもしれません。
だんご
今後、クラブとして地域にかかわ関わって取り組んでいきたいことはありますか?
熱海
やはり、北海道コンサドーレ札幌は、地域の方々に支えられてのクラブだと思っています。ホームタウンは札幌ではなく、北海道。サッカーを通して元気を届けて、北海道の人に愛されるクラブをこれからも目指していきます!
だんご
北海道への愛がとても伝わる、いいお話がお聞きできました!長い時間、ありがとうございました!

いかがでしたか?北海道コンサドーレ札幌のホームタウンのオススメスポット探訪にはじまり、クラブと街のかかわりをしっかりとご紹介できたのではないでしょうか。Jクラブホームタウンの面白さを身をもって痛感しました。きっと、どのクラブのホームタウンもおもしろいんだろうなあ。次回の訪問先も、きっとすばらしいJタウンのはずです。今から、ワクワクしてきたぞ〜!それでは、次回の『突撃!僕らのJタウン』も、お楽しみに!

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Profile

友光だんご
(ともみつ だんご)

1989年、岡山県岡山市生まれ。大学進学とともに上京し、2012年に出版社へ入社。女性ライフスタイル誌・車中泊専門誌の編集に携わったのち、2017年2月に退社。その後、株式会社Huuuuへ所属し、2019年からHuuuuの取締役兼編集部長を務める。編集者・ライターとして、「ジモコロ」を中心にウェブと紙を行き来しながら活動。インタビューと犬とビールが好き。

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