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突撃!僕らのJタウン
  • 悲願のJ1復帰と新スタジアム。岐路に立つ京都サンガF.C.。
  • 紫魂を伝播。歴史の街からサッカーの街へ。
  • 前編はこちら

突撃!僕らのJタウン 京都サンガF.C.

京都サンガF.C.・ホームタウン京都。<後編>

さて、京都の魅力的なスポットを紹介してきましたが、いよいよ京都サンガF.C.のお話を聞きにクラブハウスにやってきました!歴史ある京の街で、いったいどのように地域の人々と結びついているんでしょうか。

今回は、京都サンガF.C.ブランドアンバサダーの安藤淳さんにお話をお伺いしていきます。

取材・文:関戸ナオヒロ/写真・動画:木村華子/編集・構成:納谷ロマン

安藤 淳(あんどう じゅん)

大学在学中の2006年シーズンに特別指定選手としてサンガに加入。2007年からプロ選手としてサンガを中心に活躍。2020年シーズンに現役を引退した後、サンガのブランドイメージ向上とファン層の拡大を図るべく、ブランドアンバサダーとして幅広く活動している。

悲願のJ1復帰と新スタジアム。
岐路に立つ京都サンガF.C.。

柿次郎
いろいろと聞きたい話はあるのですが、まずはJ1昇格おめでとうございます!
安藤
ありがとうございます!今の京都サンガF.C.の前身を含めるとちょうど100周年になる今年に再びJ1の舞台に戻ってこれたのはとても感慨深いです。
柿次郎
100周年!ちなみに、サンガの成り立ちからお伺いできますでしょうか。
安藤
もともとは「京都紫光クラブ」というサッカーチームで、Jリーグに加入するためのチームづくりを行い「京都パープルサンガ」に。それからしばらくして「京都サンガF.C.」になりました。今でも紫のチームカラーを引き継いで活動しています。
柿次郎
「サンガ」っていう言葉にはどういう意味があるのでしょうか?
安藤
サンスクリット語で“仲間”っていう意味があって。それと山紫水明の京都をイメージさせる山河の響きと掛けあわせて名づけられました。
柿次郎
ズバリ、J1に上がれた要因っていうのはなんだったんでしょうか?
安藤
いろんな要素があるとは思うんですけど、まずはチームがすばらしかったですね。昨シーズンから曺貴裁(チョウ キジェ)監督に変わって、J1に上がるのが目標じゃなくて、J1でも戦い抜けるチーム作りをしていました。選手がヘトヘトになるくらい高い強度の練習が1年間積み重なった結果だと思います。もちろん、そのスタイルはJ1でも全然崩れないと思いますね。

J1昇格時にホームスタジアムで撮影された、記念写真。

柿次郎
ちなみに、サンガのサッカーはどんなスタイルなんでしょうか?
安藤
良い意味で日本らしくない、ヨーロッパのような力強いスタイルでとにかくゴールに直結したプレイをするスタイルです。攻撃も守備もガンガン前から当たっていくからスピーディーで、見ている人もすごいワクワクすると思いますよ。あと、個人的に思うのは日本屈指のすばらしいホームスタジアムができたことですかね。
柿次郎
ほうほう。具体的にはどんなところがすばらしいと思うんですか?
安藤
ピッチと観客席の距離が日本でも1、2を争うくらい近いんです。なので、選手の息遣いや試合中の声がすごく聞こえるので、ウチのスタジアムで観戦した時の臨場感は間違いないです。
柿次郎
そんなに近いんですか!

スタンド最前列からピッチまではわずか7.5m!
大きく張り出した大屋根は、
雨の日でも快適に観戦できる。

安藤
こけら落としの試合のときはスタジアムいっぱいにお客さんが来てくれて。実際に僕はそのときプレイしていたんですが、あの臨場感はこのスタジアムができる前までは京都じゃ味わえなかったものなので感動しました。観ているお客さんもあの会場の雰囲気を体験しちゃったら絶対にハマると思います。

こけら落としの際は、スタジアムが超満員に。

柿次郎
ますます行ってみたくなってきた。アクセスも最寄り駅から徒歩約3分でスタジアムって、めっちゃ駅近でいいですね。
安藤
実は京都駅からスタジアムまで30分くらいで来れちゃうんですよ。亀岡っていう場所もすばらしくて、綺麗な川が流れていたり、京都の自然の良さがすごく残っている土地なんです。

スタジアム周辺は自然豊かな京都の原風景が色濃く残る。

柿次郎
京都は歴史の街といったイメージがどうしてもありますけど、自然が豊かな京都っていう魅力を知ってもらうにはとてもいいですね。
安藤
京野菜の7割が亀岡で育てられているんですよ。今後、地域の農家さんとクラブが連携して京野菜を作れたら面白いかもって思ってます。場所的にもちょうど京都府の真ん中くらいに亀岡市は位置しているので、ホームタウン全体との関係性をカバーするっていう意味でもすごいいい場所です。
柿次郎
「京野菜を食べて強くなろう!」みたいなのもいいかもですね。

紫魂を伝播。
歴史の街からサッカーの街へ。

柿次郎
さきほど、少し話に出たホームタウンについてお伺いしてもよろしいでしょうか。
安藤
ウチは全部で14市町がホームタウンとして活動しています。まだ京都全域とは行かないまでも徐々に拡大していて、地域と連携して活性化に貢献していきたいと考えています。
柿次郎
活動の内容的には、例えばどのようなことをされているんでしょうか?
安藤
選手やコーチが学校にいってサッカーの魅力を伝えるスポーツアカデミーや、シニア世代に向けての健康体操教室を行ったり。試合のハーフタイムにホームタウンの小学校のブラスバンドのパフォーマンスなど、地域社会の発展のために、行政、企業、地域の方々と連携してさまざまな取組みを行っています。

ハーフタイムには、マーチングバンドによるパフォーマンスも。

柿次郎
サンガは選手育成にも力を入れていて学校法人立命館様 、京セラ様と提携して世界水準の選手を育成する「スカラーアスリートプロジェクト」を行っています。久保裕也選手を筆頭にこれまで数多くのプロサッカー選手を輩出してきました。教育とサッカーのサポートっていうところだと、Jクラブではサンガ以上に行っているところはなかなか見れないと思います。
安藤
すばらしいスタジアム、チームの調子も好調……。でもなんとなくですけど、京都ってスポーツと結びついているイメージがあまりないんですよね……。
柿次郎
確かに「京都=歴史の街」っていうイメージが強いですからね。京都っていう世界でも有数の都市で、この街にはこの街の文化があります。その文化を無視しないで、地元の人に愛されるようになれば必ずこの街にもサッカーが根付くと思ってます。

アンバサダーとして、地域のお店や住民とのコミュニケーションも積極的に。

柿次郎
川崎フロンターレ、松本山雅FCとお話を聞いてきたんですけど、地域との関係性の作り方って本当に土地によって変わりますよね。全国を行脚している僕にとって、とても興味深いです。
安藤
まずはスタジアムに足を運んでもらいたいですね。新スタジアムになったのとJ1に上がったことで、今がすごいチャンスだと思っています。ルールとかよくわからなくても、会場で味わえる雰囲気は格別なので。
柿次郎
個人的に、日本ってスポーツ観戦に対してちょっと腰が重たいイメージがあるんですよね。
安藤
そうですね。海外に比べると少しハードルが高いというか。僕らはスポーツを楽しむ場所っていうイメージから、もっと軽い気持ちで週末のエンタメとしてサンガを見に来るっていうカジュアルな場所を作りたいんです。それもあって、スタジアムにはマルシェや飲食店、コワーキングスペース、バスケコートなど地域の人々の日常に溶け込めるような設備を備えています。

ホームゲームでは、スタジアム周辺でさまざまなイベントを実施。

柿次郎
都市部から少し外れた自然溢れる場所で、週末にイイ刺激をもらえたり、自然に触れて少し自分達の生活を見つめ直したりできるってすごい良いですよね。
安藤
徐々にですけどサンガが浸透してる手応えはあるので。僕たちが街に潤いを与えたいし、京都の人全員が「サンガは俺たちのクラブだ!」っていう誇りを持ってもらえるように、行政や企業さんと力をあわせて頑張っています。なかなか難しいことも多いですが、京都をさらに盛り上げたいっていう思いは一緒なので。
柿次郎
歴史と観光の京都、そこにサッカーまで入ってきたら京都がエラいことになりますね。いや、長い時間お話いただきありがとうございました!これからの京都の動きがとても楽しみです!
安藤
こちらこそありがとうございました!これだけの地元企業や地域の方々に背中を押してもらえている状態なので、もっと頑張って京都を盛り上げていきたいです。柿次郎さん、手配しておくので、もしよかったら明日スタジアムを見ていってください!
柿次郎
うわあ、いいんですか!よろしくお願いします!

と、いうわけで!次の日、急遽「サンガスタジアム by KYOCERA」を見学させてもらいました!想像していたよりもピッチと席の距離が近い!目と鼻の先に選手たちの躍動を想像すると……こりゃあ、ものすごい臨場感がありそうだ!試合が見たいぞ!

こんな至近距離でプレーが観れるのか……。
臨場感がすごそうだ……!

いかがでしたか?京都サンガF.C.のホームタウンのオススメスポット探訪にはじまり、クラブと街のかかわりをしっかりとご紹介できたのではないでしょうか。そして、僕自身がJクラブのホームタウンに行くたびに、どんどんサッカーが好きになっている!きっと、次回の訪問先もすばらしいJタウンなんだろうなあ。それでは、次回の『突撃!僕らのJタウン」も、お楽しみに!

今回紹介したお店はコチラ!

前編はこちら

Profile

徳谷 柿次郎
(とくたに かきじろう)

編集者 / Huuuu inc.代表取締役。『ジモコロ』編集長として全国47都道府県行脚。ヒップホップ、民俗学、郷土玩具に熱心で「やってこ!」の概念を提唱中。そのほかに、豊かな未来のきっかけを届けるメディア『Yahoo! JAPAN SDGs』、長野県の移住総合メディア『SuuHaa』など、数多のWEBメディアを手掛ける。全国で見つけた面白い価値を共有するリアルショップ『シンカイ』や雑誌『ソトコト』連載の連載も行なう。

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