第76回定時総代会質疑応答内容

<総代からあらかじめ書面により申し出のあった質問、意見等>

「ChatGPT」について、現段階での活用状況や成果、セキュリティ管理体制等を説明してほしい。

A.ChatGPT等の生成AIは、世の中を大きく変える可能性がある革新的な技術と認識しています。
当社においても、全社横断的な検討の枠組みとしてプロジェクトチームを設置のうえ、実証実験を開始しています。具体的には、テキストの生成だけでなくプログラムの作成や業務改善のアイデアの創出等、活用事例を幅広く検討・収集しています。
一方、一般に公開されているChatGPTは、入力情報の外部への漏洩やアウトプットの信頼性、知的財産権等に十分な留意が必要と認識しています。
そのため当社では、個人情報の入力や生成物の取扱いに関するルールを整備するとともに、専用のセキュアな環境を構築して対応を図っています。

明治安田生命ビルと明治生命館が、東京都から地球温暖化対策にかかる「トップレベル事業所」に継続認定されたとのことだが、具体的な取組みについて、説明してほしい。

A.明治安田生命ビル・明治生命館は、CO2排出量の削減対策がきわめて優れたビルとして制度創設当初(2010年度)から「トップレベル事業所」の認定を受けています。
ご入居のテナントとCO2排出量の状況や電力使用量の推移等を共有したうえで、出社人数等に応じた照明設定や空調運転等についてご協力いただくなど、各事業所単位で省エネにお取り組みいただいています。
なお、明治安田生命ビルを中心とした当社の保有ビルでは、環境対策に加え、地域への貢献の一環として「地元のひとが元気になる空間」をコンセプトとした「明治安田ヴィレッジ」を展開します。ビル内のホール等を活用し、寄席や音楽会、地域物産展等を開催し、地域に元気をお届けしてまいります。

政府が推進するPFS(成果連動型民間委託契約方式)による事業への取組状況や対応方針について、説明してほしい。

A.PFS事業は、行政が民間事業者に委託する事業のうち成果指標が設定されるものであり、その目標の達成状況に応じて、委託費の金額が変動する契約形態と認識しています。
当社では、「地元の元気プロジェクト」で包括連携協定を締結している自治体において、お客さまに対し、乳がん検診の助成に関する行政サービスのご案内や、健康増進アプリのご紹介等の情報提供を行なっていますが、これらはPFS事業には該当しません。
今後は、自治体からPFS事業を受託している企業と協業した取組みを、試験展開していく予定です。
同事業については、グループ会社のシンクタンクである明治安田総合研究所において、引き続き調査・研究を進めてまいります。

海外保険事業が拡大するなか、近年高まっている地政学リスクへの懸念について、説明してほしい。

A.ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や、北朝鮮による度重なるミサイル発射等、地政学リスクは以前より高まっている状況と認識しています。
一方、当社では、安定的に収益が期待できる米国をはじめとした先進国を中心にポートフォリオを構築しているため、地政学リスクは十分に抑制されている状況です。
また、当社はウクライナの隣国であるポーランドのオイロパ社・ワルタ社に出資をしていますが、出資額は全体の6%程度と限定的であることに加え、現在のところウクライナ情勢による2社の収益へのマイナスの影響はなく、同国事業は順調に推移しています。
なお、当社の資産運用においては、地政学リスクによるマーケットの変動に対して、アクションプランをあらかじめ策定するなど、機動的に対応できるよう備えています。
今後も引き続き、地政学リスクについて、その影響も含めて注視してまいります。

MYリンクコーディネーター制度がスタートしてから1年が経つが、改正の効果は現れているか。また、MYリンクコーディネーターが安心して永く活躍できる職場づくりに向けて、どのような取組みを考えているか、説明してほしい。

MYリンクコーディネーター制度がスタートしてから1年が経つが、改正の効果は現れているか。また、MYリンクコーディネーターが安心して永く活躍できる職場づくりに向けて、どのような取組みを考えているか、説明してほしい。
A.2022年度にスタートした「MYリンクコーディネーター制度」では、毎月変動していた給与を年間固定化したうえで、営業成績やアフターフォロー等の基本活動の取組みに応じた処遇の引き上げを実施しました。また、品格・活動・業績において、所定の水準を長期的かつ高いレベルで実践する営業職員を「アドバンスMYリンクコーディネーター」に認定し、処遇の大幅な引き上げを実施しました。
一方、処遇面以外の対策としては、女性の健康支援策の拡充や、オフィス環境の整備等を実施しているほか、従業員のエンゲージメント状況をリアルタイムで把握する「パルスサーベイ」を新たに導入し、組織内の課題の早期把握に努めています。
こうした対策は、MYリンクコーディネーターに好意的に受け止められており、在籍状況や生産性の向上につながるなど、対策の効果は着実に現れています。
今後も、従業員が長期にわたり安心して活躍できる制度・職場づくりを進めてまいります。

MYリンクコーディネーターがお客さまに寄り添った「Shoulder to Shoulder」を実践するために、どのような教育や対策を行なっているのか、説明してほしい。

A.当社は、お客さまへの新たな寄り添い方として、対面を前提とした「Face to Face」から、対面とデジタルを融合した「Shoulder to Shoulder」への進化を図っており、“私たちの想い”と“考え方”を定めています。
こうしたコンセプトは、4月以降、社内教材や動画等を通じて、さまざまな場面でMYリンクコーディネーター向けに教育しており、「Shoulder to Shoulder」のお客さま対応の実践に向けた理解・浸透を図っています。
また、「Shoulder to Shoulder」のお客さま対応を行なう仕組みも導入しています。例えば、お客さまのご要望や状況に応じて、難易度の高いご請求手続き等はMYリンクコーディネーターに加えて「事務サービス・コンシェルジュ」がフォローする、また、相続・税務に関するご相談等は「税理士等の専門家」がリモートでサポートする体制を整備しています。なお、ご契約の状況等に基づき、適切なタイミングでお客さまへの情報提供を促す活動支援システムも導入しています。

インターネットで保険販売を行なう生命保険会社が増えるなか、当社における今後の展開の可能性について、説明してほしい。

A.当社は、お客さま一人ひとりに最適な保障・サービスをご提供する観点から、デジタルを活用しつつ、MYリンクコーディネーターによるコンサルティングとご加入後のアフターフォローを前提に、生命保険商品等を提供しています。
また、情報収集の手段がインターネット中心となっている昨今の状況もふまえ、デジタルマーケティングを強化しており、Web広告から資料請求いただいたお客さまをMYリンクコーディネーターや当社ほけんショップによる対面のコンサルティングにご案内する取組みも行なっています。
なお、外部機関による直近の調査では、生命保険の加入チャネルは「生命保険会社の営業職員」が全体の56%と最も多く、「インターネット」は4%になっていますが、インターネットを通じた保険販売についても、引き続き研究してまいります。

人口の減少や物価の上昇をふまえ、保険料の引き上げを検討しているか、説明してほしい。

A.働き手の減少や物価の上昇は、システム開発費や人件費等、事業費の増加につながることになります。
一方で、インフレ時は金利が上昇することも多く、利息及び配当金等収入が増加するなど、会社収益にプラスの影響もあります。
従って、今後の状況に注視は必要ですが、業務効率化による事業費の削減等にも努めており、現時点では保険料の引き上げについては検討していません。

金融機関の窓口で販売する「ecoシリーズ」は、デジタル化等で削減できたコストを、受取率の向上として契約者に還元する魅力的な商品と考えるが、今後も商品ラインアップの拡充を図ってほしい。

A.「ecoシリーズ」は、地球環境に配慮し、手続きのデジタル化やペーパーレス化を進めることで、CO2排出量の削減に貢献するとともに、削減したコストを受取率の向上等を通じてご契約者に還元するという、新たなコンセプトを掲げた商品です。
2023年4月に、第1弾の商品を発売し、現在、提携金融機関を通じて販売を推進しています。
この商品のシステムは、既存の商品開発・契約管理システムから切り離した、パブリッククラウド上の第2開発ラインとして構築しており、今後は金融環境やお客さまニーズの変化に応じて、より柔軟に商品開発を進める予定です。なお、現在、新たな商品の開発に向けて、検討を進めています。

2022年4月以降に発売した新商品・新特約の販売状況について、説明してほしい。

A.2022年4月以降に発売した4つの新商品・新特約については、それぞれ発売時期や対象層は異なりますが、いずれも販売状況は好調です。
「かんたん告知終身医療保険」と「明治安田のしっかりそなえるがん終身保険」はシニア層のお客さまに大変ご好評いただいており、計画を大きく上回る販売件数となっています。
また、「がん検診支援給付金付女性がん保障特約」と「特定自費診療がん薬物治療保障特約」についても同様に、計画を大きく上回る付加率であり、大変ご好評いただいています。
今後も、お客さまの多様なニーズをふまえ、商品ラインアップの拡充を検討してまいります。

がんは2人に1人はかかる病気といわれているが、がんの罹患率やがん保険の給付状況について、説明してほしい。

A.ご指摘のとおり、がんは2人に1人がかかる病気といわれていますが、これは生涯でがんに羅患する確率を指していると思われます。
1年間にどのくらいの確率でがんに罹患するかを年齢別に見ますと、60歳を超えるころから急激に罹患率が高くなり、最大で男性では4%、女性では2%程度となる特徴があります。
この罹患率の上昇にあわせて保険料を変えると、高齢の方の保険料が高くなってしまうため、当社ではシニア層のお客さまに一生涯がんに安心して備えていただけるよう、保険料が生涯変わらない、終身型のがん保険を2022年11月から発売しています。
なお、2022年度はがん給付金を約340億円お支払いしていますが、その水準は保険料を算定する際に想定した範囲内となっています。

豪ドルで運用する外貨建商品の取扱いについて、説明してほしい。

A.豪ドルは、米ドルと比較して、為替等の情報に接する機会が少なく、一定の投資経験が必要と認識しています。
このため、当社の豪ドル商品は、投資経験が豊富なお客さまが多い、金融機関の窓口において販売しています。
具体的には、豪ドルで運用する一時払商品として、お客さまの資産の使い道に応じて「増やす」「受け取る」「贈る」の3つのタイプからお選びいただくことができる「えらべる外貨建一時払終身」や、運用と相続のニーズに合わせて2つのタイプからお選びいただくことができる「外貨建・エブリバディプラス」を用意しています。

高齢のお客さまや、認知症が疑われるお客さまに対するアフターフォロー活動について、説明してほしい。

A.当社は、ご高齢のお客さま等のご不便を解消するための各種制度を用意しており、日頃のアフターフォロー活動を通じて制度のご利用案内を行なっています。
具体的には、ご連絡を確実にするために、あらかじめ第二連絡先をご登録いただく「MY安心ファミリー登録制度」や、視力・聴力の低下等によりご自身でのお手続きが難しいお客さまには、職員による「代筆」や専用デスクでサポートする「MYアシスト
+」(マイアシストプラス)制度をご案内しています。
2023年6月からは、認知症等によりお手続きができなくなる場合に備え、あらかじめご指定いただいた代理人がご契約者に代わって所定の手続きを行なえる「契約者手続サポート制度」のご案内を開始しました。
これらに加え、各種お手続きの際には事務サービス・コンシェルジュが同行したり、認知症が疑われるような場合には、意思の確認を特に丁寧に行なうなどしています。
また、認知症発症予防効果が高いとされる塗り絵を活用した「明治安田生命大人の塗り絵コンクール」や、健活イベントのご案内等も行なっており、引き続きお客さまに寄り添った対応を心がけてまいります。

他社・異業種と連携した新たな健康支援サービスについて、説明してほしい。

A.当社はみんなの健活プロジェクトを通じて、一人ひとりのお客さまに応じた将来のリスク予測と改善アドバイスを中心に、未病から治療・予後の領域までの幅広いヘルスケアサービスを提供しています。
ベストスタイル等にご加入のお客さまには、ヘルスケア企業とデータを連携のうえ、「疾病リスク予測」等を掲載した「MY健活レポート」をお届けしています。
今後とも、産官学との幅広い連携を通じて、お客さまの健康増進をサポートするサービスを検討し、担当のMYリンクコーディネーターを通じて適宜ご案内してまいります。

社会貢献活動として、中学・高校生に対する保険教育を行なってはどうか。

A.当社は、小学校の高学年から高校生を対象に、保険やお金に関する出張授業として「金融・保険教育」を全国各地で開催しています。
文部科学省の「土曜学習応援団」にも登録しており、2022年度は、のべ859校で開催しました。
なお、団体保険のお取扱いを通じて良好な関係にある教育委員会にも推薦文書を発信いただくなど、ご協力いただいています。
この取組みは、参加者からお礼の手紙をいただくなど、大変好評であるため、2023年度も引き続き積極的に開催してまいります。

多くの人にAEDの使い方を広める活動について、説明してほしい。

A.「AEDの使い方」については、Jリーグが進める普及啓蒙活動「命つなぐアクション」とタイアップする形で、2021年度にJリーグ選手と一緒に学ぶYouTube動画を制作し、お客さまや地域のみなさまからご好評いただきました。
現在、この動画は非公開としていますが、ご意見をふまえ、9月9日の「救急の日」等、一般生活者の関心が高まる時期を中心に、当社公式YouTubeを通じて再活用してまいります。

マイナンバーカードを利用したサービスを提供していくにあたって、口座情報の漏洩防止等のセキュリティ対策について、説明してほしい。

A.当社では、各種お手続きの利便性向上を目的として、マイナンバーカードを使った新たな事務サービスを検討しています。
検討にあたって、セキュリティ対策は前提としており、例えば、MYリンクコーディネーターのタブレット端末や営業用スマホには、マイナンバーを含むお客さま情報は保存しておりません。また、本社のサーバーについても外部からの不正アクセス遮断措置やアクセス履歴のモニタリング等、適切な管理態勢を構築し、漏洩防止策を行なっています。
なお、現在マイナンバーカードで銀行口座情報を取得することはできず、口座情報を漏洩する心配はございませんが、今後も、セキュリティ対策を万全に行ない、お客さまに安心してご利用いただける事務サービスの提供に努めてまいります。

戸籍上の婚姻関係を結ばない、事実婚のパートナーを受取人に設定できるのか、説明してほしい。

A.社会に暮らす人々の多様性が拡がるなか、当社は、さまざまなお客さまにあわせたルール作りを推進しています。
戸籍上の婚姻関係にないパートナーであっても、同居かつ生計を一にしている等の所定の条件を満たしていれば、死亡保険金等の受取人にご指定いただくことができます。
また、パートナーが同性の場合は、自治体が発行するパートナーシップ証明書等の「結婚に相当する関係を認める証明書」を提出いただく方法等でも、受取人にご指定いただくことができます。
今後も、社会の変化にあわせて柔軟にルールの見直しを行なってまいります。

国内の少子化が進むなか、200万人を超える在留外国人を対象とした保険販売について、当社の考えを説明してほしい。

A.現時点においても、当社は外国籍のお客さまから3万件を超える生命保険のご加入をいただいており、在留外国人や外国人労働者のみなさまへの対応は重要な視点と認識しています。
当社では、金融包摂の取組みとして、「みんなにやさしい保険アクセス」を推進しており、外国籍のお客さまにもご不便をおかけすることなくお手続きいただけるよう、利便性の向上を図っています。
具体的には、5ヵ国語に対応した専用のフリーダイヤルを設置するとともに、担当のMYリンクコーディネーターとの会話を逐次通訳するサービスを導入しています。また、ご契約時等にご留意いただきたいことを記載したご説明資料についても、多言語でご用意しています。
今後も、在留外国人や外国人労働者が増加する見込みであることをふまえ、引き続き、利便性向上にむけた対応等について検討してまいります。

事務サービス・コンシェルジュの業務量や活動内容の管理をどのように行なっているのか、説明してほしい。

A.全国約2,000名の事務サービス・コンシェルジュによるお客さま訪問活動は、全件、支社の管理者に訪問先や活動内容を報告するルールとしており、活動内容に対して個別指導を行なっています。この活動は、従来の定型事務のデジタル化等により創出した時間を使って行なっていますが、一時的に業務負荷が過大となった場合には支援を行なうなど、業務量のコントロールも行なっています。
また、事務サービス・コンシェルジュと支社の管理者との間で年3回の定期面談を実施しており、仕事に関する相談の機会を設けています。
本社においても残業状況を毎月モニタリングし、また年1回、業務内容と業務量の全体調査を行なうなど、適切な業務管理に努めています。
今後も業務管理に留意のうえ、お客さまに寄り添った事務・サービスの提供に取り組んでまいります。

昨年、金銭の不正取得の事案があったが、類似案件の有無や再発防止策の有効性など、当社のその後の確認状況について、説明してほしい。

A.2022年に、当社の元営業職員が、契約者貸付に関する無断手続きや、お預かりした保険料の着服等により、金銭を不正に取得した事案については、2022年6月に公表し、翌7月の定時総代会で、再発防止策をご報告しました。本事案のお客さまならびに関係者のみなさまに、多大なご迷惑とご心配をおかけしたことを、改めてお詫び申しあげます。
2022年にご報告しました再発防止策、具体的には、完全キャッシュレス化や、契約者貸付手続き完了時のショートメッセージサービスによる通知等については、遅滞なく実施済みです。
2022年の公表以降、類似案件の発生は、現時点において認められていませんが、再発防止策の有効性を引き続き検証するとともに、コンプライアンスの徹底を図ってまいります。

不正事案ゼロ・撲滅の取組みとして、営業職員のさらなるコンプライアンス強化への取組みについて、説明してほしい。

A.1つ目は、新契約時の査定と引受後のスクリーニングの強化です。具体的には、過去の不適正事象をふまえ、リスクが高いと判断される契約もしくは手続きについて、お客さまへの確認等を実施しています。
2つ目は、システムインフラの整備です。例としては、不適正事象の未然防止のために、申込手続画面での注意喚起情報の表示を2023年9月から、契約者貸付手続き時の本人確認強化を2023年10月から実施します。
3つ目は、MYリンクコーディネーターの活動管理に係る取組みです。2023年度から、個人ごとの活動状況をスコアリングし、日常のリスク予兆の把握等に活用しています。
引き続き、従業員への教育を通じたコンプライアンス風土の醸成に取り組んでまいります。

一部企業ではESGへの取組みを社員の賞与等に反映する動きがあるが、当社の取組みについて、説明してほしい。

A.当社は、各組織の毎年の評価に、健康寿命の延伸、地方創生の推進等、ESGへの取組みを評価する項目も設定し、賞与等に反映しています。
加えて、2024年度には、社会的・経済的価値の向上に資する中長期的な取組みを評価する処遇制度として、給与・賞与とは別に「価値創造報酬制度」を新設します。
本制度は3ヵ年の中期経営計画期間中における従業員の取組みを総合的に評価し、特別手当として支給するものです。役員については、「中長期業績連動報酬」として役員報酬の一部に導入済みであり、従業員への本制度導入により、全役職員が同じベクトルに立って価値創造に取り組むことを企図しています。
この新たな処遇制度を通じて、従業員が長期的な視点で価値創造や持続的成長の推進に取り組むことを促し、ご契約者の利益、従業員のエンゲージメント向上を追求してまいります。
なお、「価値創造報酬制度」については、詳細が決まり次第、リリース等でお知らせします。

IT人財の需要が高まり、要員の確保がますます厳しくなってきているなか、人財確保の取組みや育成面の取組みについて、説明してほしい。

A.当社では、新卒採用において「IT・データサイエンティストコース」を設け、DX推進を担うIT専門人財の確保に取り組んでいます。2023年4月には15名が入社、2024年4月においても、すでに27名に採用内定を予定しています。
「専門人財育成プログラム」に基づき、専門スキル・知識の習得に向けた分野内でのローテーションや、社外でのさまざまな研修・研鑽の機会の提供等を通じて、IT・データサイエンティストを含む専門人財の内部育成に取り組んでいます。
現在、明治安田グループ全体では、約1,500名のIT人財を有していますが、技術革新が加速するなか、長期にわたり安定した専門人財を確保するため、IT関連の業務協力会社との関係強化にも取り組んでいます。
また、全従業員のITリテラシーの底上げも必要不可欠と認識しており、自発的な学習を促す教育基盤である企業内大学「MYユニバーシティ」を通じて、IT教育にも力を入れています。

従業員の副業について、当社の方針を説明してほしい。

A.当社では、「副業」に関する社内ルールを定めており、例外的に認めるケースもありますが、原則社外での「副業」を禁止としています。
これは、お客さまに真摯に向きあう必要があること、お客さまの個人情報の目的外利用の懸念があること、労務管理が十分にできないこと等が主な理由であり、「副業」への従事状況については、定期的な自己申告をもとに管理を行ない、社内ルールの遵守に向けて指導を行なっています。
一方、2023年度から当社独自の社内における複業制度として、「ワークプラス」をスタートしました。
「複」という文字を使用したのは、自発的に「複」数のキャリアを描き、自己成長につなげることを企図したもので、一定の報酬を支給します。
現在は約200名が本制度を活用して担当以外の業務に従事しており、従業員の受け止めも非常に好評のため、今後も継続してまいります。

男性職員の育児休業取得率100%を維持するための取組みについて、説明してほしい。

A.当社では、所属長教育の強化、取得対象者への個別勧奨、取得状況の組織評価への反映等の取組みにより、男性職員の育児休業取得率は3年連続で100%を達成しています。
一方で、男性職員の育児休業の平均取得日数は約7日間にとどまっているのが現状です。従業員一人ひとりが多様性を認め合い、自己成長を実現する風土醸成を目的に、毎年6月に開催している「ダイバーシティ・フォーラム」でも、育児休業の長期間取得に向けた環境整備を望む声が寄せられ、さらなる取組みが必要と認識しています。
これを受け、2024年度から、男性職員も出産前に取得可能な「産前パパ育休」や、育児休業の取得可能期間を2歳から3歳まで延長するなど、当社独自の対策をさらに進めていく予定です。
今後も、従業員のエンゲージメント向上にむけ、継続的に対策を実施してまいります。

女性の役員・管理職への登用拡大に向けた課題認識、および今後の対応について、説明してほしい。

A.当社は、従業員のおよそ9割が女性であるという特性もあり、これまでも女性の活躍促進に向け、積極的に取り組んでまいりました。
この結果、部長・支社長・法人部長等の経営管理職に登用された女性11名をはじめ、管理職に占める女性の割合は34.9%と、2013年に定めた目標である30%を達成し、この10年間で約10倍まで拡大しています。
一方で、社内役員は1名、社外役員は2名と、女性役員数は計3名、16の国内グループ会社・財団においても計6名にとどまっている状況であり、取組みを強化していく必要があると認識しています。
具体的には、能力・意欲のある幹部候補者の人財育成プーリング制度「L‐NEXT」の拡充・強化、さらには年功的要素に左右されない人事制度への刷新や、役員候補ポストである部長等経営管理職への女性登用の拡大等、内部育成を基本とし、実効性のある取組みを進めてまいります。

3年に及んだコロナ禍の総括をしてほしい。また、コロナ禍の経験から得られたものについて、説明してほしい。

A.当社は、2020年4月から最高レベルの危機管理体制を敷き、社長を本部長とする特別対策本部を設置し、新型コロナウイルスへの対応を行なってまいりました。
そして、感染拡大に伴う経営環境の変化をふまえ、3ヵ年プログラム「MY Mutual Way Ⅰ期」の開始を一年延期し、コロナ禍に対応した特別計画を急遽策定・推進しました。
この特別計画では、保険金・給付金のお支払いをはじめとする基幹業務を着実に遂行するとともに、お客さまへのアフターフォローを最優先とし、保険料のお払込みが困難なお客さまへの特別取扱いのご案内や、非対面での手続き、テレワーク環境の整備等を進めました。
また、お客さまと従業員の安全確保を最優先に、マスクの着用等の「基本的な感染対策の徹底」と、積極的なPCR検査・抗原検査の実施等、「感染拡大防止の徹底」に取り組みました。加えて、緊急事態宣言の発令等による行動制限もふまえ、対面と非対面を組み合わせた活動等を展開しました。
さらに、感染拡大により病床がひっ迫したことから、宿泊施設や自宅等での療養を「入院」と同等とみなして給付金等をお支払いする特別取扱いを行ないました。一時、請求件数の急増によりお支払いが遅延することもありましたが、要員の増強等により、早期に解消しました。
新型コロナウイルスに関する保険金・給付金として、2020年度から2022年度の3ヵ年累計で793億円をお支払いさせていただき、生命保険会社としての使命を果たすことができたものと考えています。
このコロナ禍においては、「対面と非対面を組み合わせた活動」を高度化することにより、お客さまへのアクセス数が飛躍的に拡大し、よりお客さまのニーズに合ったサービスの提供が実現できました。また、保険金・給付金のお支払いに関しても、システムによる一部業務の自動化やお支払い工程の見直し等により、より効率的・効果的な態勢構築ができたものと考えています。
この3年間の経験をもとに、新たなパンデミックが起きた際にも適切に対応できるよう、いかなる状況でも保険金・給付金を正確かつ迅速にお支払いできる態勢を整備すること、また、健全性を確保し十分な支払余力を持つことが経営の大前提であると、強く認識しました。今後も「確かな安心を、いつまでも」お届けするため、不断の取組みを進めてまいります。

<出席総代から席上において出された質問>

若年層の離職率が高まっているといわれているが、当社職員の離職率の現状と、その対策について、説明してほしい。

A.若年層を中心とした就労意識の変化や転職志向の高まりについては認識していますが、当社における入社3年以内の内勤職員の離職率は、国内の主要企業の平均と比較して低位となっています。
これは、相互会社としての長期的な視点での経営スタンスや、企業理念である「明治安田フィロソフィー」、内部育成を基本とした人財育成等に対して、理解と共感が得られていることが要因と認識しています。
他方、離職率自体が高まっている状況は当社においても同様の傾向であり、従業員エンゲージメントの向上に、いっそう取り組む必要があると認識しています。
こうした状況をふまえ、当社では、毎年実施している従業員意識調査に加えて、2023年度から従業員のエンゲージメント状況をリアルタイムで把握する「パルスサーベイ」を導入し、働きやすい職場環境づくりに努めています。また、事情があって当社を退職した職員の再雇用(リライト採用)にも力を入れています。

地元の元気プロジェクトのさらなる発展に向けて、例えば、全国の地域貢献活動や、当該活動を行なうさまざまな団体を当社が表彰することを、検討してはどうか。

A.当社では、従業員のボトムアップによる小集団活動のKizuna運動において、全国各地のさまざまな団体と協働した地域貢献活動に取り組んでおり、特筆すべき活動を「地域貢献表彰」として表彰しています。
当該表彰には、こどもの健全育成や環境保全の分野等、1,800を超える応募があり、社外審査員も交えた審査会にて優秀な取組みを選定しています。
受賞結果は、協働先の団体へお伝えするとともに社内で共有しています。また、全国の自治体等に提案することで横展開も図っています。
ご意見もふまえ、当該表彰の対象拡充や公表の充実に向けて、引き続き検討してまいります。

第94回都市対抗野球大会に、当社が東京第一代表として4年ぶり7回目の出場を果たしたとのことだが、これをよい機会として社内外にPRしてはどうか。

A.都市対抗野球大会は、全国の各都市を代表する32の社会人野球チームが参加する、「日本選手権」と並ぶ2大大会の一つであり、2023年度、当社は東京地区の予選をトップで突破しました。
本大会への出場に向けては、実力のある選手の採用に努めるとともに、元プロ野球選手をコーチとして招聘しマネジメントを強化するなど、チーム力の強化に取り組みました。
7月16日に東京ドームで行なわれる初戦には、明治安田グループとお客さまからなる総勢2万名を超える大応援団が結集し、1982年の「ベスト4」を超える「優勝」に向けて、一丸となって勝利を後押しする予定です。
この機会を活かし、従業員の一体感の醸成や、エンゲージメントの向上という点も含め、社内外にPRしてまいります。