第三者意見

青山学院大学 ビジネスデザイン研究科 教授 池田 耕一氏

青山学院大学
経営学部 教授

芳賀 康浩氏

2020年7月上旬に受け取った今年のCSRレポートの原稿を拝見して驚いたのは、すでにポスト・コロナへの対応が中期計画に組み込まれていたことです。奇しくも2020年は明治安田生命の新10年計画「MY Mutual Way 2030」が始動する年。大きな変化が起こることを前提に策定された新長期経営計画だったからこそ、柔軟に新型コロナ対応が可能だったものと思われます。実際に今回の報告の随所に「フェーズチェンジ」という言葉が使われています。この先の10年はこれまでの延長線上にはないという認識を示す言葉です。激変する経営環境の中で、大きな飛躍を目指す決意を感じました。
その新10年計画で目指されている姿が「『人に健康を、まちに元気を。』最も身近なリーディング生保へ」というスローガンで示されています。ここには、社会的価値と経済的価値の両立を意味するCSV(Creating Shared Value;共通価値の創造)の考え方が反映されています。
社会的価値の創出に、同社は以前から中長期的な視点にたって戦略的に取り組んできました。今年は「健康寿命の延伸」と「地方創生の推進」という2つの課題に優先的に注力することが明示され、これに対応する形でSDGsの優先課題も選ばれています。健康寿命の延伸については、昨年本格導入された「みんなの健活プロジェクト」に新商品「認知症ケア MCIプラス」を加えて充実が図られています。地方創生の推進については「地元の元気プロジェクト」をスタートしましたが、ここではこれまでに築き上げてきた地方自治体やJリーグなどとのパートナーシップが活かされています。これまでの取り組みのひとつひとつが将来の活動の発展の布石になっている点に同社の戦略の確かさを感じます。
一方の経済的価値の向上が強調されている点も新10年計画の特徴です。ここでは「業界のリーディングカンパニー」を目指すことがはっきりと示されています。そして、その理由は30年・40年にも及ぶ超長期の契約を結ぶ保険という商品だからこそ、どのような環境変化があっても経営が安定していることは、自分の将来を託す顧客にとって最も重要なことなのだと言います。ここにも同社の徹底した「お客さま志向」が見えます。
また、現在のような先行きが見通せない状況だからこそ、経営の舵取りにはステークホルダーの注目が集まります。今回の報告ではガバナンスの実効性評価に多くの紙幅が割かれています。取締役会での議論や課題認識、取られた対応について公開することで、経営への信頼を確保しようとする試みではないでしょうか。契約者をはじめとするステークホルダーに安心感を与える報告になっていると思います。
コロナ禍によって新中期経営計画「MY Mutual Way Ⅰ期」のスタートこそ1年延期となりましたが、代わって導入された「とことん!アフターフォロー特別計画」にも注目しています。特に、生活の様々な局面でオンライン・非接触が当たり前になっていく中で、「究極の」アフターフォローとしての対面へのこだわりは、同社の顧客理解、顧客サポートへのこだわりそのものだと思います。新たなアフターフォローがどのような形で実現するのか、とても興味深いです。
上で触れた「人に健康を、まちに元気を。」というスローガンからも、明治安田生命が顧客を「生身の人間」として捉えていることを感じます。多くの人が指摘するように、これから大きな変化(フェーズチェンジ)が起こるでしょう。それによって私たちの生活も劇的に変わり、私たちのニーズも変わります。その変化を素早くつかみ、機敏に反応するためにも、生身の顧客に寄り添うことは重要でしょう。
新型コロナウイルスの問題だけでなく、自然災害も頻発しており、不安な毎日が続きそうです。こんな時だからこそ、人々の不安を取り除くことができる商品を提供する保険会社の真価が問われるのだと思います。このような環境の中で、明治安田生命が顧客と社会の信頼を集め、業界のリーディングカンパニーという目標に着実に近づいていくことを期待しています。

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