第三者意見

青山学院大学 ビジネスデザイン研究科 教授 池田 耕一氏

青山学院大学
経営学部 教授

芳賀 康浩氏

昨年の報告を拝見して、そこで始動が宣言されていた健康増進プログラムがどのような形で具現化されるのかが楽しみだという意見を述べました。今年の報告の中心は、まさにこれが「みんなの健活プロジェクト」として本格展開されたことであり、その内容は期待以上のものでした。まさに、明治安田生命が2017年にスタートした3ヵ年プログラム「MYイノベーション2020」の最終年度を締めくくるのにふさわしい取組みとなっています。
この「みんなの健活プロジェクト」は、「病気になったときの備え」に加え、「病気にならないための活動支援」という新しい価値を提供する取組みですが、今年スタートしたその具体的な内容は次の2点で優れていると言えるでしょう。
一つは健康増進のための努力の難しさを私たち生活の目線で捉えてプログラムを構成している点です。私も幾度となく経験していますが、食生活の改善や運動習慣を身につけることの重要性は分かっていてもなかなか実行・継続できません。ちょっとした努力や我慢が苦手なのは人間の本性かもしれません。このような生活者の性質を前提として、闇雲に「がんばりましょう」「我慢しましょう」と掛け声をかけるのではなく、むしろ無理なく、楽しく、前向きに健康増進に取り組めるよう、健康を「知る」「つくる」「続ける」というプロセスで参加者を動機づけるようにプログラムが設計されています。生活者に寄り添い、背中を少し押すようなこのアプローチがこのプロジェクトの実効性を高めていると言えるでしょう。
もう一つは、このプロジェクトが顧客、地域社会、従業員のすべてを対象としているということです。「みんなの健活プロジェクト」の中核となっているのが、健康増進型保険「ベストスタイル 健康キャッシュバック」という画期的な商品です。明治安田生命の顧客視点の商品開発力については毎年のように言及してきましたが、顧客の健康増進という従来の保険とは全く異なる価値を具現化するこの商品は同社が継続してきた「お客さま志向」の賜物でしょう。
地域社会との絆づくりのために行なってきたJリーグとのパートナーシップも「明治安田生命Jリーグウォーキング」や「みんなの健活体操 with Jリーグ」という形で、「みんなの健活プロジェクト」の重要な構成要素となっています。これまでの取組みがこのような形で実を結ぶとは想像もできませんでした。
また、従業員の健康増進の取組みも強化されていますが、顧客や地域社会と直接向き合う従業員の健康リテラシーの向上や健康状態の維持・向上は、「みんなの健活プロジェクト」の基礎と言えるでしょう。
このように、健康増進プロセスを縦糸に、対象となるステークホルダーを横糸にして体系的に組み立てられることによって、「みんなの健活プロジェクト」導入のねらいである、健康寿命の延伸や社会保障費の抑制という社会的課題の解決に向けた取組みが着実に実行されています。この意味で「みんなの健活プロジェクト」は明治安田生命のSDGsの柱にもなっています。昨年から本報告で言及されるようになったSDGsですが、今年は同社の優先課題として13の重点領域が識別されています。「統合報告書」で紹介されているさまざまな取組みに、対応するSDGs目標のアイコンが示され、同社の取組みと社会的課題の関係やねらいが分かるようになっています。この点については、まだ関連性や重要性が若干曖昧な点も見られますが、これまでも論理的かつ体系的にCSRに取り組んできた明治安田生命ですから、今後着実に明確化されていくものと思います。個人的には、PRI(国連責任投資原則)に署名し、ESG(環境・社会・ガバナンス)投融資を推進する姿勢をさらに明確にした点に注目しています。ESG投資を通じて「よい会社」の育成・発展に貢献することは、サステイナブルな社会づくりに金融機関が果たすべき重要な役割だと思います。そのような役割を積極的に果たすことを通じて、明治安田生命がますますよい会社になることを期待しています。

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