ゴールだけじゃなく守備や戦術の面白さをもっと伝えたい 『アイドル界屈指の観察眼でJリーグを斬る!』2020シーズンの総括とJリーグの盛り上げ方を語る ~ 日向坂46 影山優佳さん ~ 取材_牛島康之(NO-TECH) 撮影_赤澤昂宥 ヘアメイク_馬場麻子 制作_マガジンハウス

コロナ禍の影響でレギュレーションも変更され、選手も戸惑いを隠せなかった2020シーズンのJリーグ。今回は卓越した戦術眼によってサッカー番組でも存在感を発揮している日向坂46の影山優佳さんが登場。昨年のJリーグを見て感じたこと、そして未来の日本サッカーに期待することなど、ちょっと深掘りしたお話を聞くことができました。

あまりスポットが当たらない
守備の選手の動きが面白い!

最近はサッカー番組でもアイドルとして花を添えるとともに、元日本代表の解説者なども驚くような戦術眼やコメントを残している影山優佳さん。アイドル界随一のサッカー眼で、徐々にその活動の幅を広げていますが、今回は2020シーズンのJリーグの総括と、もっとJリーグを盛り上げていく方法を伺ってきました。サッカーを愛する影山さんならではの金言は必見です。

Profile影山優佳さん

2001年5月8日生まれ。東京都出身。日向坂46メンバー。サッカー審判4級の資格を持ち、選手はもちろんチームの戦術などに関心がある。自己紹介時も「あなたのハートにゲーゲンプレス」というサッカー用語を使ったフレーズを残すほどのサッカーマニア。自身のブログではJリーグ(J2、J3含む)のクラブを自らの目線で紹介し、その内容は現チェアマンの村井満氏も舌を巻くほど。好きな海外のクラブはプレミアリーグのリーズ・ユナイテッドFC。

Future of Soccer

あまりフォーカスされない
ポジションの
動きを見るように

「家族でサッカー観戦に行っていたのでサッカーが身近にある環境を楽しんではいましたが、やはり90分が長く感じるときもあって……。そんなとき、あまりスポットライトを浴びていないゴールキーパーやディフェンスの選手が、どういったポジションでどんな役割なのかを勉強したんです。そこでサッカーという競技は、ただ点を決めるだけのスポーツじゃないと気付けたときが、サッカーを見ることの楽しさが増えた瞬間でした。だからこそディフェンスの選手の動きのもとになっている戦術を知ったら、もっともっと楽しくなるんじゃないかと思ってのめり込むようになったんです(笑)」

Future of Soccer

昨年の川崎フロンターレの強さは
新加入選手の活躍と
練りに練られた戦術

「Jリーグはクラブごとの戦力差があまりないのがポイントですよね。海外のリーグを見ると数チームが強くてそこが優勝争いをして、ほかのクラブは必死にそのクラブを倒そうとするというのが白熱します。しかしJリーグはどこが優勝してもおかしくないリーグなのですが、2020シーズンは本当に川崎フロンターレの強さが際立っていましたね。ここ数年、世界的に4-3-3というフォーメーションがトレンドになっています。川崎フロンターレも採用していました。もちろん、フォーメーションだけじゃなくニューカマーの選手が活躍したのも、川崎フロンターレが強かった要因かと思いますが、その戦術をベースに臨機応変に戦い、選手もそれに対応していたのが首位を独走した理由だったと思います」

YUKA KAGEYAMA

注目していたクラブは
横浜F・マリノスとセレッソ大阪

「昨年、開幕前から注目していたクラブは横浜F・マリノスとセレッソ大阪でした。横浜F・マリノスは、前シーズンの勢いも残しつつ、ポステコグルー監督の攻撃的戦術が浸透してきたので、その歯車が合えば前シーズンのような強さを見せてくれるかと思いました。セレッソ大阪は、ロティーナ監督が2年目で一番戦術が変わったんじゃないかと思うぐらい、面白いサッカーをしていました。そしてチームに戦術理解度の高い選手がたくさんいます。以前は個の技術が魅力だったと思いますが、そこからさらに組織的な守備とかのクオリティーも高くなってきたので、試合を見ていて面白かったですね」

Future of Soccer

レギュレーションの特長を
生かした
川崎フロンターレの戦い方

「2020シーズンはコロナの影響で、交代選手も3人から5人に変わったり、試合の途中に給水を設けるなどして、試合を通して意図的に流れを変えることができました。5人交代すれば、フィールドに出ている選手の半分を代えられるので、全く違うチームになります。それがハマったのが川崎フロンターレだったと思いますね。戦術的に90分走り切るのがツラいなかで三笘薫選手や旗手怜央選手など個で局面を打開できて、後半にブーストをかけられる選手が控えているのは、相手チームにとっても脅威ですしね。川崎フロンターレの平均得点率が高かったのも納得できます」

YUKA KAGEYAMA

守備に注目することで深まる
サッカーの魅力

「最近はあまりスタジアムに足を運べていないですが、スタジアム観戦するときは、上のほうの高層階の席でスタジアムを俯瞰できる位置から見ることが多いですね。もちろんサッカーはゴールが一番わかりやすいですけど、守備の動きなどはわかりにくいと思います。でもサッカーはボールと人の流れでできているので、そのもとをたどるほどに理解が深まっていきます。今は見始めるラインを下げて守備に注目していて、ディフェンスの選手のラインコントロールや守備での駆け引きなどに注目しています。もちろん人それぞれだとは思いますが、知らなかったことを知ると本当に面白いので、ゴールだけじゃなく守備にも注目してほしいですね(笑)」

Future of Soccer

スタジアム観戦に
付加価値をつければ
見る人も増える!?

スタジアム観戦に
付加価値をつければ
見る人も増える!?

「現在は、試合を見ることだけでスタジアム観戦を完結する人が多いと思います。でもJリーグは全国すべての地域にクラブがあるので例えば温泉とか、美味しい料理とかにも注目して、試合だけじゃなく試合の外でも楽しみを見つけることができればもっと見に来る人も増えると思います。温泉入浴券付きとか女子会ができるプランとか、スタジアム観戦に付随した旅行プランがあったりすると、旅に絡めて女性のサポーターも増えると思いますし、そういう未来があったら素敵だなと思います。現状は、テレビでもJリーグが取り上げられる機会が減ってきたと感じています。でもインターネットも発達した時代だし、楽しみ方も多様化していると思います。だからこそ、各クラブからそういった地域に根付いた情報や、試合の見どころなどをSNSだったりでもっと発信してもらえると、これまでサッカーを見ていなかった人にも届けられますよね。また、さらにサッカーが盛り上がる未来が来ることを信じています」