なんとJリーグとあの機動戦士ガンダムのコラボレーションが実現!日本人なら誰もが知る機動戦士ガンダムがこの世に誕生してはや40年。この輝かしい歴史の節目にお披露目となった超ド級の企画の制作背景を探るべく、発起人であるJリーグ、製造メーカーであるBANDAI SPIRITS、そして版権管理を担う創通の三社それぞれの関係者に取材を敢行しました。Jリーグファンとガンダムファンの架け橋が結ばれるまでのワクワクドキドキな過程をご覧ください。
―今回のコラボレーションの経緯について教えていただけますか?
株式会社Jリーグ エンターテインメントカンパニー部門 木暮拓人さん(以下:木暮さん)
「昨年すでにBANDAI SPIRITSさんと(ガンダムの版権管理をする)創通さんは、ガンダム40周年の企画としてプロ野球12球団とコラボレーション企画を実施されていて、元来ガンダムファンを自称する僕としてはとても羨ましかったんです。プロ野球でできるならJリーグでもやりたい!そう思い立って創通さんに連絡したのが事の始まりです。もちろん闇雲に趣味を仕事にしようと思ったわけではありません。Jリーグファンとガンダムファンがリンクするマーケットを作れるんじゃないかという期待あっての試みでした」
―Jリーグから打診があったときの気持ちを聞かせてください
株式会社創通 スポーツチーム 小松崎貴夫さん(以下:小松崎さん)
「プロ野球での経験があったので手探り感が少なくなるだろうと期待しましたが、甘かったですね。クラブ数がJリーグさんの場合圧倒的に多いですから。でも我々としても新しいガンダムファンを堀り起こしできるであろうこの企画には大変魅力を感じました。一番念頭に置いたのはJリーグさんの企画をプロ野球12球団の時よりもより進化、発展させることですね」
株式会社BANDAI SPIRITSホビー事業部 狩野義弘さん(以下:狩野さん)
「プロ野球コラボ後の展開ということもあり、さらに盛り上げるため、Jリーグさんとの企画は“ガンダム40周年企画”という傘に加えて、“ガンプラ40周年”の企画という大きな傘を作り、その打ち出しも2段階に分けました。開幕時にまずは初代ガンダムのRX-78-2 とハロプラ ハロをJリーグ・バージョンとして発表し、そのあと20クラブ*各種の特製ガンダムを発表するに至ります。各クラブ様がどのガンダムをベースにしてもらうのか選んでいただくこと自体大変な作業でしたし、膨大なシミュレーションが必要とされました」
*写真掲載はJ1クラブ分18体のみ
HG 1/144 ダブルオーガンダム
北海道コンサドーレ札幌Ver.
HG 1/144 インパルスガンダム
べガルタ仙台Ver.
HG 1/144 ストライクガンダム
鹿島アントラーズVer.
HG 1/144 ガンダムエクシア
浦和レッズVer.
HG 1/144 ダブルオーガンダム
柏レイソルVer.
HG 1/144 ストライクガンダム
FC東京Ver.
―コラボレーションのメリットを挙げるなら?
狩野さん:「大きなメリットを感じています。ガンダムは歴史が長いだけに、コアなファンから名前なら知っているというライトなファンまでその深度はさまざまです。特に後者に関してはこの企画を通じてより具体的にガンダム、ガンプラを知ってもらうを知ってもらう企画になりますし、Jリーグさんとのコラボで我々単独では掘り起こせない層にアプローチできますから」
木暮さん:「Jリーグとしても20クラブ分の特製ガンプラに関しては、2000年代以降の比較的新しいガンダムをベースにさせてもらったことで、20代から30代の若い女性ターゲットと接点を持つことができるのではという目論見もありました。近代ガンダムは人気の声優さんが関わっているので、彼らのファンである若い女性たちが今回の企画に興味を持ち、スタジアムに足を運んでくれると思ったのです」
HG 1/144 インパルスガンダム
川崎フロンターレVer.
HG 1/144 ストライクガンダム
横浜F・マリノスVer.
HG 1/144 ガンダムバルバトス
横浜FCVer.
HG 1/144 ダブルオーガンダム
湘南ベルマーレVer.
HG 1/144 ガンダムエクシア
清水エスパルスVer.
HG 1/144 ガンダムエクシア
名古屋グランパスVer.
―逆にデメリットはありましたか?
木暮さん:「三社共通して目論んでいたことは、こうやって構築した導線をスタジアムの集客につなげることだったのです。ところが新型コロナウイルス感染症の影響でリーグ戦・カップ戦が中断していしまい、スタジアムで予定していたイベントや物販が実現できなかったことは、デメリット云々よりも想定外の事態に図らずも陥ったというのが実情です」
小松崎さん:「クラブ別の特製ガンプラが発売された後ですが、Xの反響を覗くと新型コロナウイルス感染症による自粛期間と今回の発売時期が重なったことで購入機会に至り、久しぶりにガンプラを組み立てたというライトユーザーが多かったのです。つまりは我々にとってもJリーグさんにとっても潜在顧客の掘り起こしができた意味でデメリットは全くありませんし、むしろ現金収入が断たれたクラブに対して少しでもサポートになればと願っていました」
HG 1/144 ガンダムバルバトス
ガンバ大阪Ver.
HG 1/144 ガンダムエクシア
セレッソ大阪Ver.
HG 1/144 ガンダムバルバトス
ヴィッセル神戸Ver.
HG 1/144 ストライクガンダム
サンフレッチェ広島Ver.
HG 1/144 インパルスガンダム
サガン鳥栖Ver.
HG 1/144 インパルスガンダム
大分トリニータVer.
―Jリーグにとっては自粛期間と重なったこの企画の意味をどう振り返りますか?
公益社団法人日本プロサッカーリーグ マーケティング部 丸山慎二さん
「本来はスタジアムの集客とオンラインでの売り上げを掛け合わせる想定でしたが、必然的にオンラインの施策に集中して販売していくことになりました。ただそうすることでユーザーのセグメントを明らかにしていくことができましたし、我々がオンラインストアで“買ってクラブを応援する”ことを目的に打ち出した『#おうちでJリーグ』*で目玉商品になったことはもちろん、明らかに新規の顧客を獲得できたことが判明しました。ガンダムをきっかけに試練であったはずのコロナ・ショックに光明を差し込むことができたのです。これはタオルマフラーやTシャツといった定番アイテムでは成し得なかったことです」
※新型コロナウイルスの影響により試合開催を延期となったため、Jリーグオンラインストアで特集された企画。自宅待機の時間を各クラブの個性豊かなアイテムで楽しく満たし、かつ、購買によりクラブの応援にもつながることを目的とした。
今回の取材でBANDAI SPIRITの狩野さんに教えていただいた驚愕の事実。それはガンプラの累計販売数は、すでに5億個を超えているというのです。40年を超える歴史があるとはいえ、とても驚きました。これからもまだまだ新しいガンダムがデザインされ、たくさんのガンプラが発売されていくと思いますが、歴史が更新されていく分、いま目の前にあるガンプラは未来に向かってさらに価値を高めていくでしょう。ましてやJリーグとのコラボレーションは今後もそうそうない貴重な機会。もしもこの記事で興味を持っていただけたなら、ぜひその手で触って確かめてみてください!