Jリーグ最前線レポート 『クローズアップJプレイヤーズ!』 一流現役選手が語るサッカーの魅力 ~ ガンバ大阪 今野泰幸さん ~ 取材_ロマン 撮影_山元祐人 制作_マガジンハウス

シーズンも後半に差し掛かり、順位争いやタイトル争いと一試合の重要度に呼応し、盛り上がりのピークを迎えている明治安田生命Jリーグ2019シーズン。5月より始まった本企画は、鹿島アントラーズの内田篤人選手、ジュビロ磐田の川又堅碁選手に続き、今回も第一線で活躍する現役選手に直撃しました。人気が高まるJリーグについてはもちろん、そして所属チームや自身のことまでたっぷり伺ってきました。*この記事は今野選手の移籍前、2019年6月に取材を実施しました

代表経験豊富な
ボランチが見据える
Jリーグと自分自身のプレー

現在36歳という年齢ながら、ガンバ大阪・そして日本代表で活躍を続けるボランチで、世界に通用する抜群の守備力とボール奪取力に定評のある今野泰幸さん。2018年には右足関節の手術を受け、2019シーズン序盤は思うようにプレーができない場面もありましたが、気温の上昇の助けもあって、現在の調子は万全。自身の強みを最大限に生かすプレー、そしてプライベートまで、根掘り葉掘りお話ししていただきました。

Profile 今野泰幸さん

1983年1月25日生まれ。宮城県仙台市出身。サッカーの強豪校・東北高等学校に進学し、高校3年冬の全国選手権大会では、ベスト8に進出。2001年に、コンサドーレ札幌に入団。加入初年度からスタメン出場を果たし、2001FIFAワールドユース選手権U-20日本代表に飛び級選出。その後2004年にFC東京に移籍し、2012年に現在のガンバ大阪へ入団。日本代表としても、南アフリカ・ブラジルと2大会でFIFAワールドカップを経験する。

Close Up Players YASUYUKI KONNO

海外の一流選手の参戦が、
日本のサッカー界の
ボトムアップに

「日本代表としては、ロシアでいい戦いをしたとはいえ、世界の壁の厚さを痛感したシーンも多かったです。その壁を壊すためには、海外で活躍するスターとの接点を増やすことが必要だと思うんです。一選手だけの強化であれば、個人が海外に移籍すればいいわけですが、それでは日本サッカー界全体のボトムアップはできません。それゆえに、アンドレス・イニエスタ選手やダビド・ビジャ選手といったスタープレイヤーのJリーグ参戦というのは、いいチャンスだなと思っていて」

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類稀なるボール奪取力は、
長年の研鑽によって培われた

「僕はコンサドーレ札幌でプロのキャリアをスタートしたんですが、当時自身の強みっていうのが全然わかっていなかったんですよね。プロになれたのも“同世代の中ではサッカーが上手いから”くらいの感覚で。そんな時に『お前の持ち味はボール奪取力だ。それを極めたらスゴイ選手になれる』と、明確なアドバイスをくれたのが当時コンサドーレ札幌の監督だった岡田武史さんでした。その言葉のおかげで自分の長所を知り、鍛えることができたんですよね」

YASUYUKI KONNO

際立つ才能を伸ばすことが、
一流選手への近道

「プロで活躍する一流の選手には、それぞれ持ち味があるんですよ。サッカーが上手いことやフィジカルが強いことなんていうのは当たり前で。その中でも、ドリブルが上手い、球際で負けない、ポストプレーに強い…とか。自身の秀でた才能をより明確なものにして“コレだけは誰にも負けない!”という、ストロングポイントを持つことが大切なんです。僕の場合はボール奪取なら誰が相手でも負けない。伸び悩んでいる若い選手たちには、そういう強みを見つけていって欲しいですね」

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トップ・オブ・ボランチ
の異名を取る、日本代表の
キーパーソン

トップ・オブ・ボランチ
の異名を取る、日本代表の
キーパーソン

「初めてA代表に招集されたのは2005年。小さい頃からの夢が叶った瞬間だったので、単純に嬉しかったのを覚えています。ただ、年を重ねるにつれて、日本を背負って外国と戦うプレッシャーの方が大きくなっていくんですよね。もちろん、そんな気負いよりも“高いレベルのプレイヤーと交えるチャンスを手に入れた”という感覚の方が大きい。やっぱりサッカーが好きだから、いくつになっても上手くなりたいしワクワクしたいんでしょうね。それゆえに、チームでも結果を残し続けて、また日本代表に招集されるような選手でありたいと思っていますね」

何も考えずにただ笑うこと、
そして家族との時間が癒しのひととき

「サッカー以外に趣味らしい趣味がないんです。それこそ、試合が終わったあとも海外リーグの試合を見てしまうほどのサッカーフリークといいますか…。ただ、強いて言うなら、何も考えずに過ごす時間は好きですかね。例えば、TVのお笑い番組を観てゲラゲラ笑ったり、試合後に、自分の車で好きな音楽を聞きながら炭酸ジュースを飲んだり。あんまり特別なことは必要ないんですよね。でもやっぱりサッカー以外の一番の楽しみは、妻や子供と一緒に過ごす時間ですかね」

Close Up Players YASUYUKI KONNO

個人が魅せる、
そして勝利を掴むことが
Jリーグを盛り上げる

個人が魅せる、
そして勝利を掴むことが
Jリーグを盛り上げる

「僕たち選手は、ピッチで表現することしかできないんですよね。僕の場合は“球際で負けない、最後まで諦めない”そういうプレー。魂のプレーを選手全員ができれば、結果として勝利を掴み取れるはずです。強いチームはかっこいいし、応援したくなる。きっと、そういうチームの試合こそ、生で見て応援したいですよね。それに、サポーターの方が盛り上がってくれれば地域全体も元気になるはずです。そのためには、僕自身がいいプレーをしなければいけない。なので、これからも週末の試合に向けてコンディションを上げる。そして、最高のパフォーマンスを見せ続けていきます」