デビュー20周年を迎え、快進撃を続ける松本まりかさん。長きにわたる下積み時代を経て、2018年のドラマ『ホリデイラブ』の怪演でブレイク。写真集『MM』を発表するなど、激動の日々を過ごす彼女は今、完全に“ゾーン”突入。撮影時もその瞳には息を飲むほどの妖艶さと燃えたぎるたくましさが同居しており、見る者を圧倒させるオーラを放っていました。「全身全霊で挑み続けたからこそ、本当に大切な生き方が見えてきた」と話す松本さんに、どんな時代でもサバイブするためのヒントを伺いました。
忙しい日々に身を置くなかで、求めていたはずの仕事の充実と引き換えに、余裕のなさを痛感するようになったという松本さん。「でもここまでやりきれたからわかったことがある」と話します。
「これまでにない忙しさを経験したからこそ、人生に余裕や余白がある生き方がしたいと思いました。なぜならそこからクリエイティブが生まれるから。何も表現だけの話じゃなくて、人の気持ちに寄り添い豊かな人間関係を築くことだって余裕がないとできない。でもこの忙しさを経験してみないと、それすらわからなかった。なんでも経験ですね。ずっと長い間、つらいことも退屈も味わってきたから、経験の大切さも実感しています」
女優。2000年ドラマ『六番目の小夜子』でデビュー。2018年のドラマ『ホリデイラブ』での演技で注目される。近年は『竜の道 二つの顔の復讐者』(関西テレビ系)、『妖怪シェアハウス』(テレビ朝日系)、『先生を消す方程式。』(テレビ朝日系)、『教場Ⅱ』(フジテレビ系)など話題作に出演が相次いだ。今後の作品に『最高のオバハン 中島ハルコ』(東海テレビ系)が4月10日~、連続ドラマ初主演となる『向こうの果て』(WOWOW)が5月14日~放送予定。写真集『MM』(マガジンハウス)が発売中。
慌ただしく過ごすなかで見つけた“余白”を持つことの大切さ。意識的に余白を確保するようにしてから、新たな自分を発見できたといいます。
「ヴィンテージマンションが好きで、ずっと長い間築60年の古いマンションに住んでいたのですが、突然引っ越したくなったんです。環境を変えてリセットしたいって。『私は古いものが好き』という固定観念を自分で打ち破った感じがしました。古いものが嫌いになったわけじゃないんですけれど、必要に応じて自分の変化やその感覚を否定せず、受け入れることが大事なんだと思います。『私はこうだから』と頭で考えて決めつけない。自分の今の感性や感覚に目を向けてあげると、本当に自分の好きなものがわかってくるんじゃないかなって」
年齢を重ねたことで見えてきたことも。
「若いときは何者かになりたかったけど、今は自分自身を誠実に生きていきたい。そしたらきっと必要な仕事や人や環境が見えてくる。さまざまな経験を通して、やっと何が大切かわかってきて、今私はなんだか生まれ変われそうな感じがするんです。36歳だけど、今からでもそう思える。自分が変わるタイミングなんだなって。手放すことを恐れないで、変わることを受け入れたら、きっとそのうちに、自分にとって豊かな人生が何かわかる気がします」
自分のなかに余白があればクリエイティビティーも高められるし、本当に必要なものが見えてくる。その余白を生むために大切なのは、“デトックス”でした。
「美容と健康はつながっていますよね。さらに言うと、健康は心と身体の二つの側面がある。忙殺されていろんなものを溜め込む日々では不健康ですし、余白は生まれません。だから私は常に心身ともにデトックスを心がけています。添加物を控え、お風呂で汗を流し、筋肉に負荷をかけ、時には泣く。部屋に物を溜め込まない。そうやって余分なものを剥ぎ落とすんです。そうすると心身ともに元気で身軽ですし、常にフレッシュでいられます。余白も生まれますしね」
松本さんは今、ストイックにならざるを得ないタイミング。もうひと踏ん張りするための“自分へのご褒美”を「おいしいごはん!」と即答しました。
「私の活力は一食のおいしいご褒美。基本的には食事をかなり節制しているから、一食をいかに手作りでおいしく食べるかにかけているんです。朝はいつもアーモンドミルクやブルーグリーンアルジー(スーパーフードの天然藻)を入れたコールドプレスジュースを飲んでいて、昼に何を食べるかが楽しみなんです。究極、足るを知る人になりたいですよね。あれもこれも欲張らずに、少しのおいしいものを噛み締めて幸せを感じたい。五感満足を心がけています」
コロナ禍による自粛期間中、我々と同じように、誰にも会わずひとりを極めた日々を「修行期間のようだった」と振り返る松本さん。しかし、悪いことばかりではなかったそう。
「2ヵ月間外食しなかったし、誰にも会わなかったから、誰からの影響も受けないクリーンな日々を過ごしました。もちろん、とことんひとりだったから寂しかったけど、孤独に対する強度を得た貴重な体験だったとも思います」
外部からの影響を受けないことを逆手にして、生活を健やかにする。環境に適応した松本さんのたくましさを感じる一方で、こんな変化についても話してくれました。
「ひとりで生きることを学んだからこそ、同時に人間は誰かに支えられていることも痛感しました。もともと私は人が大好きだから、今なら心の底から本心で『遊ぼ!』って言える気がするんです。これってすごい変化で、以前は暇を持て余してしまうと遊んでいる場合じゃないと思ってたのに、今なら本当に楽しく友達と笑い合えるんじゃないかなって。つまるところ、自分に負荷をかける時期って大事なんだなと思います。自粛期間で豊かさを感じない生活を味わったことで、幸せが何か、豊かなものが何かわかるようになったと思えるんです。逆境が来ても這い上がり方がわかってきた。闇を知れば、光の尊さを知ることができるから」
最後に、これからのニューノーマルな時代、どう生きていきたいかを尋ねると、まっすぐな答えが返ってきました。
「人が見ていないところでもかっこよく生きたい。見えないところでどう生きているかが大事だと思っていて、例えば落ちているゴミを見て見ぬふりせず拾うとか、そういう些細なことで自信を積んでいく。それが成長につながって、その先に出会う人はきっとまた自分をより成長させてくれるような素晴らしい人たちなんだと思うんです。そうやって、自分に嘘をつかず、切磋琢磨し、人と出会って、感動しながら生きていきたい」
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ISBN:9784838731343
定価:2,178円 (税込)
発売:2020.12.04
ジャンル:写真集
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