若者との接し方に戸惑う大人へ『世代で区切らず、価値観を受け入れあいたい!』 Z世代からロスジェネ世代へ伝えたいこと ~モデル トラウデン直美さん~ 取材_藤田佳奈美 撮影_佐藤将希 ヘアメイク_遊佐こころ スタイリスト_鈴木千春 制作_マガジンハウス

核心をついた“神コメント”で注目を集めている、現役慶應義塾大学生でモデルのトラウデン直美さん。女性ファッション誌『CanCam』の専属モデルとして活躍する傍ら、天皇陛下即位パレードの生中継番組で「一人ひとりが寄り添って協力する時代になってほしい。そういう時代を担っていける世代になれれば」とコメントするなど、物怖じせず意見を発信しています。ひとりの若者の代表として、彼女が見る現代社会を紐解きました。

世間から評された“神コメント”を振り返って

“神コメント”で話題を呼んでいるトラウデンさん。発言するたびに注目が集まりますが、その心の内を語ってくれました。

「模範的な回答というか、いい子ちゃんな回答をしてしまったんだなと思って、シニカルに受け止めました。もちろん、求められた回答をするのはとても大事だと思うんですけど、自分で思考することが何より大切だと思います。期待されていることと自分らしさのバランスは取りつつ、これからも勉強を続けたいですね」

Profile

トラウデン直美さん

「2013ミス・ティーン・ジャパン」でグランプリを受賞。13歳で女性ファッション誌『CanCam』の史上最年少専属モデルとしてデビュー。東京ガールズコレクションや神戸コレクションなどファッションショーにも多数出演。慶應義塾大学在学中の知性派モデルとして報道や情報番組でコメンテーターとしても活躍中。

Special Interview NAOMI TRAUDEN

いま、気になるニュース

強烈な個性が求められる時代で、トラウデンさんは「空気を読んで求められていることに応えたい」と話します。我を通してインパクトを残すより、反応を見てPDCAを回す。だけど世間の声に完全に迎合するのではなく、自分の思考を大切にしている。そんなトラウデンさんがいま、気になるニュースについて、独自の視点でお話ししてくれました。

「環境問題に興味があって、とりわけ服飾産業について思うことがあるんです」

いつでも“当事者意識”を持っていたい

いつでも“当事者意識”を持っていたい

「実は、服飾産業は全世界のCO2排出量の10%を占めています。ほかにも低賃金で過酷な労働を強いて製造している問題もある。私はファッションモデルなので、そういう現実を知らないまま服を着るのは違うと思っていて。袖を通す前に一体どんなところでその服が作られているのか意識することが重要なんだと思っています。問題解決の第一歩として、まずは関わる人間のことを考えていたい。いつも当事者意識を忘れたくないですね」

Special Interview NAOMI TRAUDEN

世代間ギャップは大人の自意識が生んだもの

若者との接し方に戸惑うロスジェネ世代も少なくないはず。若者代表としてトラウデンさんに尋ねると、意外な回答が返ってきました。

「上の世代の人たちは私たちに気を使いすぎているのかも。『若者に叱責してはいけない』『褒めないといけない』と時代の潮流的に思っているかもしれませんが、伸びるやり方は人それぞれ。どんな形であれ知るべきことは教えてほしいです。世代で線引きせずフラットにひとりの人間として見てもらえたら」

知っておきたい、若者の生態

知っておきたい、若者の生態

デジタルネイティブなZ世代。彼らにとっていま、何がトレンドなのでしょうか。

「娯楽としても勉強としても、若者が頼りにしているのはYouTube。そこで情報を摂取します。好きなタイミングで見られて便利ですよね。その反面、検索すればすぐに答えがわかる環境で育ったからこそ、私たちはせっかちだし、思考停止になりやすい。でも、情報量が増えることで思考の判断材料が増えるから、新しい発見にもつながると思っています」

Special Interview NAOMI TRAUDEN

どんなこともすべては関連し合っている

多角的に物事を捉えるトラウデンさん。モデル業でも気付きがあったといいます。

「モデルとして体型管理をする上で、痩せたくても思うように絞れず。そこで発想を変えました。まず、痩せるためではなくリフレッシュするために運動する。そうすると、ストレスがないので暴食しなくなる。暴食しないから体型を維持できる。おまけに、食事に制約がある方が食べ物に感謝できるようになりました。すべては関連し合っているんですね」

学び続けることが豊かな人生をつくる

学び続けることが豊かな人生をつくる

最後に、モデルにコメンテーターに、マルチに活躍するトラウデンさんに、今後の展望を聞きました。

「勉強が好きだからずっと続けたいですね。私は学ぶことで人生が豊かになると思っています。学びには新しい発見がありますし、いつか得た学びが役立つ時があるかもしれない。仕事にも還元されるかもしれない。模範解答ではない新しい考えが生まれるかもしれない。本当に無駄なことなんてなくて、すべてはつながっているんですよね」 衣装協力
yori TEL. 03-6804-2580