為替の島をちょっと旅してみよう。 ~日本と世界の海をつなぐ「出島」の風景~ 監修:<ファイナンシャルアカデミーグループ>代表 泉 正人

為替の島は、人々がちょこっと立ち寄る「出島」。

為替の島は、ほかの島とはちょっと違った形をしています。お金の世界には株の島や不動産の島、債券の島、商品の島があります。これらの島を旅人が行き来するとき、持っている通貨が現地の通貨と違っていればスムーズに取引ができません。そのために立ち寄る場所が、通貨を交換するための為替の島です。

為替の島は「出島」のような形をしています。人々はときにはリュックをしょって、ときには大きな船でこの出島に立ち寄り、現地で使える通貨に交換していきます。

為替の島は24時間眠ることを知らない。

為替の島のもう一つの大きな特徴は、「24時間眠らない」ということです。為替の取引は、不動産の取引と同じ「相対取引」です。そのため、その時々で「いくらで買います」「いくらで売ります」とそれぞれ価格を提示しあって、条件があえば取引が成立します。


つまり、世界のどこかで起きている人がいれば、為替市場も動き続けるということです。日本が夕方になると、ヨーロッパが朝を迎えて動き出します。ヨーロッパで夜が更けるころには、アメリカが動き出します。そうやってプレーヤーが代わりながらも、24時間取引が続いていくのです。

為替で得られる2つの利益とは?

為替を使って投資をする方法は、外貨預金、FX(外国為替証拠金取引)、外国債券、外国株などさまざまです。どのような方法で投資をするかによって、実際に得られるインカムゲインの種類は異なります。中でも中心的なインカムゲインが「金利」です。

インカムゲイン この分が利益に

2019年3月現在、日本の政策金利は0.1%です。これに対し、オーストラリアは1.5%※。つまり、円を豪ドルに交換して保有していれば、金利差の1.4%が利益になるイメージです。FXにおけるインカムゲインは、「スワップポイント」です。これも通貨ごとの金利の差による利益です。スワップポイントは、外貨預金の金利と異なり、毎日もらうことができます。これも近年のFX人気を下支えしている大きな理由の1つです。
※出典 財務総合政策研究所 財政金融統計月報第807号 「15.主要国の政策金利等の推移」

為替レートの波に乗れれば「為替差益」が得られる。

24時間、眠ることのない為替市場。ここで行なわれている通貨と通貨の交換の際の価格を「為替レート」と呼びます。ある瞬間に1ドル=100円で買うことができたとしても、その後に、「円をドルに交換してほしい」という人がたくさん出てくると、同じ1ドルでも110円出さないと買えなくなるかもしれません。この状態が「円安」であり、「ドル高」です。

反対に「ドルを円に交換してほしい」という人が続出すれば、ドルの価値が下がり、90円出せば1ドルが買えるようになるかもしれません。これはどのような状態でしょうか? そう、「円高」「ドル安」です。

こういった為替レートの動きを先読みし、その波に乗ることができれば、通貨の交換そのものによっても利益を得ることができる可能性があります。こうしたキャピタルゲインを「為替差益」と呼びます。

キャピタルゲイン 元手100万円 110万円増えた!

あなたが、100万円の元手を持っていたとします。1ドル=100円のときにドルに交換すれば、何ドル手に入りますか? 1万ドルです。その後、円安が進み、1ドル=110円になりました。このときに、1万ドルを再び円に交換すれば、どのようになるでしょうか。1万ドル×110円のため、110万円に増えています。このときの10万円が為替差益、ということになります。

“てこの原理”で利益が10倍に?FXのレバレッジの仕組み。

元手100万円 レバレッジ10倍 10万ドル 利益100万円 リバレッジなし 1万ドル 利益10万円

レバレッジとは、“てこの原理”のことです。大きなものを小さな力で動かすことができるというあの懐かしい原理です。今や個人投資家の為替取引の主流となりつつあるFXの大きな特徴がこの「レバレッジ」にあります。

100万円の元手を1ドル=100円のときにドルに交換すると1万ドルになります。ところがFXでは、この100万円を「証拠金」とすることで、その何倍にも相当する取引をすることができます。レバレッジ10倍なら、1万ドル×10倍で10万ドルの取引ができる、ということです。

為替レートが10円、円安に動いたとき、1万ドルを持っていれば利益は10万円です。ところが、レバレッジ10倍で10万ドルを持っていれば利益も10倍に! 元手が100万円でも、為替レートが10円動くと100万円もの利益が出るというわけです。これがレバレッジの魅力です。ただし、レバレッジは諸刃の剣ともいえます。為替レートが思惑と反対に動けばそれだけ損失も大きくなるため注意が必要です。

監修

泉 正人
〈ファイナンシャルアカデミーグループ〉代表

身近な生活のお金から会計、経済、資産運用に至るまで、独自の体系的なカリキュラムを用い、東京・大阪・ニューヨークで「お金の学校」を運営。より多くの人に真に豊かでゆとりのある人生を送ってもらうためのお金の教養を伝えている。
『お金の教養』(大和書房)、『お金原論』(東洋経済新報社)など著書は40冊、累計160万部を超える。一般社団法人金融学習協会理事長。https://www.f-academy.jp/

この授業のまとめ 通過の交換を行う為替市場は、24時間眠らずに動き続けている!少額でも大きな取引ができる「レバレッジ」がFXの大きな魅力。

次の授業は… 「はじめの一歩」の踏み出し方。

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