はじめてのお金の授業。不動産の島をちょっと旅してみよう。 ~家賃は「払うもの」?「もらうもの」?~ 監修:<ファイナンシャルアカデミーグループ>代表 泉 正人

「不動産」といっても種類もオーナーもさまざま。

不動産の島に並んでいるのは、大規模な複合商業施設から団地や駐車場まで、さまざまな種類の「物件」たち。これらの物件のオーナーになって利益を得るのが「不動産投資」です。私たちは、家賃と聞くと無意識に「支払うもの」と思ってしまいがちですが、不動産を買って他人に貸し出すことで、家賃は「支払うもの」から「もらうもの」へと変わります。


家賃は生活費のなかでも特に高い割合を占めます。人によっては毎月の手取り収入の4分の1〜3分の1が家賃で消えていく、という人もいるかもしれません。しかし、見方を変えると、物件のオーナーは毎月それだけの金額を自動的にもらっているということです。不動産投資はとても身近な話なのです。「支払う側」から「もらう側」になりたい!と思いませんか。

不動産投資ではアナログな「相対取引」が基本。

不動産投資がほかの投資と決定的に異なるのは、市場を介さずに行なわれる「相対取引」だということです。物件を売りたい人がいたら、その人と交渉をし、合意できたら契約をし、売買代金を支払う。そんな、人と人とのアナログな取引で成り立っているのが不動産投資の奥深さでもあり、面白さでもあるのです。

不動産投資で得られる2つの利益とは?

1棟のアパートを購入 インカムゲイン

長期にわたる安定収入としての「家賃収入」

不動産投資の醍醐味ともいえるのが、「毎月継続して家賃収入が得られる」ということです。継続するだけではありません。家賃収入の良いところは、金額が安定しているということです。

例えばあなたが区分マンションを購入して、誰かに貸し出したとします。そこから得られる家賃収入は今月は5万円、翌月は3万5000円、翌々月は大幅アップして8万5000円……なんていうことは考えにくいですよね。空室になった場合は別にして、入居してもらっている限り、家賃収入は毎月継続的に安定的に得られます。つまり、5年後、10年後のおおむねの収入予測が立つわけです。


家賃収入は、数ある投資のなかでも魅力的なインカムゲインといえます。

2020年の東京五輪に向け期待が高まる「売却益」。

もう一つの利益が、安く買って高く売ることで得られるキャピタルゲイン、つまり「売却益」です。特に不動産は、安いものでも数百万円、高いものでは数億~数十億円ととにかく金額が大きいので、値上がりをしたときに売却できれば、数百万~数千万円単位のまとまった利益が得られる可能性もあります。

戸建てを購入 キャピタルゲイン

そうなると、気になるのがこれからの不動産市場の動向です。不動産の価格が値上がりするための大前提は「人が集まる」ということです。一般的に人が集まれば借り手が増え、借り手が増えれば家賃相場が上がります。家賃相場が上がれば利回りが高くなるため、一般的に結果として不動産の価格も上がりやすくなるというわけです。


今、不動産の島で話題になっているのが2020年の東京五輪です。東京五輪の開催によって人が集まれば、これからさらに値上がりをするのではないか−−。そういった期待から、不動産価格は都心部を中心に高騰しています。しかし、「値上がりしそうだから」という期待だけで物件を購入するのはNGです。なぜなら、かつてのバブルがそうだったように、もしも期待が外れた場合、自分の首を絞めてしまうことになりかねないからです。

不動産は、金額が大きいだけに失敗すると取り返しのつかないことになるおそれがあります。価値がある物件を割安で買うためにはどうすればよいのかをしっかりと勉強し、良い物件を見極められるようになりましょう。

元手がなくても不動産が買えるカラクリ。

BANK 入居者 オーナー

不動産投資というと「元手が何千万円もないとできないのでは」「先祖代々の土地があるわけでもないし……」と思うかもしれません。しかし、不動産投資はまとまった元手がなくても、先祖代々の土地がなくても、行うことはできます。

なぜなら、「融資」という手段を使うことができるからです。金融機関から融資を受けることができれば、手元のお金だけでは到底足りない金額の物件でも買うことができます。元手が100万円しかなくても、5000万円の融資を受けることができれば、アパートやマンションを1棟丸ごと買うことだって可能なのです。

また、少し目線を変えてみると、「融資が受けられる」ということは、金融機関から見ても不動産投資は比較的リスクが少ないという見方ができるかもしれません。消費や浪費のための借金とは異なり、投資して利益を生むための融資は「良い借金」ともいえます。融資を賢く味方につければ、可能性がぐんと広がります。

監修

泉 正人
〈ファイナンシャルアカデミーグループ〉代表

身近な生活のお金から会計、経済、資産運用に至るまで、独自の体系的なカリキュラムを用い、東京・大阪・ニューヨークで「お金の学校」を運営。より多くの人に真に豊かでゆとりのある人生を送ってもらうためのお金の教養を伝えている。
『お金の教養』(大和書房)、『お金原論』(東洋経済新報社)など著書は40冊、累計160万部を超える。一般社団法人金融学習協会理事長。https://www.f-academy.jp/

この授業のまとめ 家賃収入は継続的、安定的に得られることが不動産投資の醍醐味。金額が大きい投資なので、しっかりと勉強をしてから臨むことが大事。

次の授業は… 為替の島をちょっと旅してみよう。

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