全ての仕事が関連し合って今がある 『“何者”かにならない、オールラウンダーな働き方』 自分らしくいるためのコツとは? ~ モデル・女優・声優・歌手 栗山千明さん ~ 取材_藤田佳奈美 撮影_赤澤昂宥 ヘアメイク_奥原清一  スタイリスト_ume 制作_マガジンハウス

目元の印象が強く残る、まっすぐに切りそろえた前髪とサラサラの黒髪ロングヘア。クールでミステリアスな雰囲気を纏いセンセーショナルに女優デビューした当時とは打って変わって、「よっこいしょ」と言いながら着席し気さくな様子を見せる栗山さん。仕事においても女優業だけに留まらず、モデルや歌手、声優など幅広く活躍しており、彼女が持つ顔の種類の多さに驚かされます。何者か形容しがたい彼女の生き様に迫りました。

ひとつに特化しないオールラウンダーの利点

「何かひとつの分野に特化して極めることも大切だと思うんですけど、私の場合、お芝居だけだったらきっと息が詰まってしまう。女優の垣根を超えた他ジャンルの仕事をすることで、ストレスを分散できているのだと思います。何かひとつで食べていける力があればいいんですけど、色々な場所を与えてもらうことにより、新たなジャンルのお仕事が舞い込んできたりもする。仕事が仕事を呼ぶ。全ての仕事は関連し合っているんだと思います」

Profile

栗山千明さん

1984年10月10日生まれ。スペースクラフト・エンタテインメント所属。幼い頃から芸能活動を始め、ティーン誌『ニコラ』『ピチレモン』を経て、1999年に映画『死国』で女優デビュー。2003年、映画『キル・ビル Vol.1』でハリウッドデビューを果たす。現在は歌手や声優など多岐にわたり活躍。

Special Interview CHIAKI KURIYAMA

キャリアの原点は、モデル

「もともとモデルをやりたくてこの業界に入ってきたので、スチールの撮影が一番自分らしくいられて居心地が良いですね。世間の私に対する印象は女優なのかもしれませんが、お芝居はいつまでたっても慣れなくて。役にはいろんな解釈があるし正解がない中でいつもどう演じたらよいのか考えちゃいます。ただ、マンガやアニメが好きでよく見るということもあり、非日常的な役柄がきてもすんなり受け入れられる柔軟性はあるかもしれません(笑)」

極めたかったモデル業の挫折が人生の転換点

「小学校低学年の時、唯一の仕事だった子供服モデルを身長が伸びすぎたことが原因で辞めざるを得ませんでした。その後、ショーモデルを目指していたんですけど、今度は身長が足りなくて。モデルの道は厳しくなったけど、だからこそ女優など新しいジャンルに挑戦するきっかけができたんです。それが今の活動に繋がっていますね。将来を真剣に考え始めて気軽に動けなくなる年齢になる前に、新しい試みに挑戦できて良かったです」

Special Interview CHIAKI KURIYAMA

結婚願望0。1人を謳歌する人生も悪くない

「私は1人が好きなので誰かと一緒に暮らすことは考えられません。『ご飯作って待ってるよ』と言われるだけでプレッシャー。自分の好きなタイミングで好きなものを食べたい。食事一つとってもそれなので結婚は難しいと思います。親は独り身の私を心配するでしょうけど、私は親が心配。これからできるかもしれない家族より今いる家族を大事にしたいんです。バリバリ働いている女性が多い中で結婚だけが幸せの全てじゃないと思うし」

人生に必要不可欠なのは、ささやかなご褒美

「あまりストレスを感じないのは、いろんなジャンルの仕事をすることで発散しているほか、1人の時間を大切にしていること、日々のご褒美を用意していることが理由にあると思います。私は鶏のささみの刺身や貝類が大好きで、スーパーで買って家で1人で晩酌するんですけど、それが最高に幸せですね。ゲームの実況動画なんかを見ながら一杯やる。これが私らしくいられる時間。そしたら翌日もまた頑張ろうと思えるんですよね」

Special Interview CHIAKI KURIYAMA

隣の芝生が青くても、私は私。自分らしく

「人に対してマメで丁寧に接することができる人はすごいなって思いますし、私もそうありたいと思うんですけど、無理してまで自分に課すことはしないです。それが自分らしくいられる秘訣なのかもしれません。自分らしくいるために1人の時間を大切にするし、1人でいるから他人からの影響が少ないし、だからストレスも少ないのかもしれません。これからもマイペースにレベルアップしたい。でもアニメばっかり見ちゃうからな(笑)」

栗山さんが思う、豊かな人生とは

「私は予定を立てて効率よく行動するのが好きなんですけど、時間ギリギリまで予定を詰め込みすぎちゃうんですよね。朝の支度も15分で終えて家を出られる。でも最近思うのが、 目覚めのコーヒー飲んでほっとひと息入れてから支度をするようなゆとりのある生活が豊かな人生なのかなって。けどやっぱりそれも人それぞれ。自分が心地良いと思う過ごし方をするのが一番。これからも私は自由気ままに自分らしく生きていきたいです」