お金の授業の1時限目は、お金のイメージトレーニングからはじめましょう。料理をするとき、完成形を写真でイメージできるのとできないのとでは、同じレシピを見ても作りやすさが大きく違いますよね。お金も同じです。それを貯めたらどんなことができるのかを具体的にイメージできると、その金額が一気に現実味を増してきます。ですから、「◯万円貯めたい」と思ったら、まずはその金額について具体的にイメージする習慣を。より大きな金額でイメージできるようになればなるほど、実際に扱えるお金のサイズも大きくなっていくのです。
今回イメージを膨らませたいのはズバリ「1,000万円」。さぁ、一緒にイメージトレーニングしてみましょう。もし1,000万円あったら、みなさんはどんなことに使いますか?800円のプレミアムバーガーを1日1個食べるとしたら、約35年。金地金(インゴット)にすると、およそ2kg(2017年4月現在)。ともすると「数字」にしか見えないお金ですが、モトをただせば、生活するため、心地よく生きるための「道具」。その道具がいくらあれば何ができるのか。まずはイメージを思いっきり膨らませていきましょう。
では、その1,000万円に向かって、60歳までに毎日コツコツ貯めるとしたら……。もしも25歳から35年かけて貯めようと思ったら、毎日790円ずつ貯蓄することが必要です。35年という時間を想像するとちょっと気が遠くなるかもしれませんが、根気さえあれば、金額的にはなんとかなりそうな気もします。35歳からだと毎日1,100円ずつ。790円と比べるとちょっと負担は重くなりますね。山に譬えると、ちょっと上り坂がきつくなったという感じでしょうか。
45歳からだと毎日1,830円ずつ。毎日、同じだけの出費を削ろうとすると、ランチの金額をちょっと落とすぐらいでは太刀打ちできそうにありません。10年の間にそれだけ負担の大きい金額になってきているといえるでしょう。55歳からだと、毎日5,480円。一気に金額が大きくなりました。これはもう、毎日お正月がやってきているような状態。毎日、親戚の子供にお年玉をあげなければならないぐらいの負担です。垂直に切り立ったように見える山をピックなしで登るようなものなので、1,000万円に到達する前に息切れして遭難する人が多発するのは必至といえるでしょう。
では、ちょっと目線を変えて1,000万円を1年で稼ぐとしたらどうでしょうか。勤務医や弁護士、大学教授。会社員の場合、年収1,000万円以上を稼いでいるのは全体の約4.5%※。一流企業の管理職や大手広告代理店の営業職、SEなど狭き門といえそうです。プロ野球選手なら1軍選手、力士なら十両以上といったところでしょうか。こちらはまた別の意味で狭き門といえそうですね。
その気になれば1日で使い切ることも可能な1,000万円。でもコツコツ貯めるのも、稼ぐのも、意外と大変なのが1,000万円。でも心配は無用です。なぜなら、お金の「貯め方」には、コツがあるから。「貯め方」だけではありません。「使い方」にも「増やし方」にもコツがあります。こうしたコツを学べば、息切れせずに1,000万円を貯められるようになります。後悔しない使い方ができるようになります。大きな損失を回避しながら上手にお金を増やせるようになります。では、さっそく次の授業で「貯め方」から勉強していきましょう。
※出典 総務省 民間給与実態統計調査 2017年度 第3表 給与階級別の総括表 累年比較(給与所得者の構成比)
身近な生活のお金から会計、経済、資産運用に至るまで、独自の体系的なカリキュラムを用い、東京・大阪・ニューヨークで「お金の学校」を運営。より多くの人に真に豊かでゆとりのある人生を送ってもらうためのお金の教養を伝えている。
『お金の教養』(大和書房)、『お金原論』(東洋経済新報社)など著書は40冊、累計160万部を超える。一般社団法人金融学習協会理事長。http://www.f-academy.jp/
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