まだ見ぬ自分に出会うために 『意志を持って流されてみる人生』 本格派女優が語る変化の履歴 ~女優 常盤貴子さん~ 取材_藤田佳奈美 撮影_萩庭桂太 ヘアメイク_Noboru TOMIZAWA スタイリスト_𠮷村結子 制作_マガジンハウス

90年代、“トレンディドラマの女王”として話題のドラマに続々と出演し、お茶の間を賑わしてきた常盤貴子さん。約19年ぶりに主演復帰した連続ドラマ「グッドワイフ」(TBS)では、変わらぬ美貌と好演ぶりに再び注目を集めました。しかし彼女は「主戦場をドラマから映画に移したつもりはない」と語ります。今後はどのような顔を見せてくれるのか、これまでの活躍を振り返りつつ、常盤さんが描く人生をうかがいました。

ドラマ漬けの20代から、選択する40代へ

「ドラマをやめて映画に移行したつもりは全くないんですけど、久しぶりに連続ドラマをやって、周りから指摘され驚きました。私としては単純に、年齢を追うごとに自分のやりたいと思うもの・面白いものが見えてきて、今の状況があるというだけなんです。当然、自分が面白いと思うものだけを選択していけばいくほど、どんどん活動の幅は狭まる。でもその分、自分の人生は濃くなっていると実感できるんです」

Profile

常盤貴子さん

1972年4月30日生まれ、神奈川県横浜市出身。スターダストプロモーション所属。1993年に放送されたドラマ「悪魔のKISS」(フジテレビ)を皮切りに本格派女優へ。代表主演作には「愛していると言ってくれ」(TBS)、「ビューティフルライフ」(同)など。現在は映画に活動の場を広げている。

Special Interview TAKAKO TOKIWA

“このままじゃダメになる”20代の危機感

「20代半ば、当時は連続ドラマの主演が多かったのですが、ここから先、また同じルーティンで連続ドラマを続けていくということに楽しみを見出せなかったんです。作品ごとに楽しみに掲げていた自分に対する目標も見つけられず。何か今までやったことのないことに挑戦したくて、事務所の社長に初めて自分の気持ちを伝えたんです。それがきっかけで映画の世界へ足を踏み入れるようになって、人生が回り始めたって実感できましたね」

映画の面白みに取り憑かれた理由

映画の面白みに取り憑かれた理由

「映画界はとにかく不器用でこだわりが強い。ドラマは公共の電波で流すものだから、不特定多数の人達が見て楽しいものを作っていくという、常識的で器用な人達の世界な気がします。それが映画界はスポンサーさんに対してもテレビのような気の使い方ではないし、公開の日が決まっているわけでもない。制約が少ない分、こだわろうと思えばどこまでもこだわれてしまうんでしょうね。その違いが新鮮で、映画にのめり込んだところはあります」

Special Interview TAKAKO TOKIWA

受動的だった昔も能動的な今も、必要だった

「でもドラマ漬けだった20代も私にとっては貴重で必要な時だったんです。何も考えずに邁進する日々だったけど、その時にしかできないことが絶対あると思うから。当時の受動的な私が受動的なりにもがむしゃらにやり続けてきたからこそ、今の意志を持った私がいる。だからこれで良かったんだなって思います。反面教師的な人に出会えたのも糧になっている。自分が目指す道の先にいる出来事や人達、全ての出会いが意味のあるものだったと思います」

結婚生活は新しい自分を発掘してくれる

結婚生活は新しい自分を発掘してくれる

「夫は本を読む人間なので、家の中に本の山がいっぱいできるんですよ。私は出したら片付けるという習慣があったから結構耐えられなかったんだけど、ある時から山がインテリアに見えてきて、なんか悪くないかもって(笑)。今となっては私も一緒になって本を積んでいますし、本の山々がないと寂しく感じる境地にまでなりました。発想の転換というより、新しい嗜好性の発見や固定観念を打ち破ってくれるのが結婚なんですかね」

Special Interview TAKAKO TOKIWA

インプット・アウトプットのバランス

「20代の時に読んだ本に『休みはすごく大事。休みがあるから仕事も頑張れる』みたいなことが書いてあって、当時は休みがあっても時間を持て余していたくらいだから、ピンとこなかったんですが、だんだんそれを実感するようになりました。休みの間は自分を熟成する時間。いかに人に会うか、本を読むか、休みの時間に引き出しを増やしていくかが重要で。イン・アウトのバランスが取れていると、自分の人生を自分の手で築いている実感が得られます」

まだ見ぬ自分を発見していきたい

まだ見ぬ自分を発見していきたい

「実は小学生の頃いじめられていたのですが、良し悪しはさておき今はその理由がわかるんです。その時辛くても、その事象に対する解を数年後に回収し合点がいくことは多い。だから悩みは一旦棚に上げ、時の流れに身を任す。意志を持って流されてみる。そうして予想外の出来事に遭遇した時、まだ見ぬ自分を発見するのを楽しみに生きています。何でも糧になるって思ったら、いつだって今が一番豊かな人生だと思えるんじゃないかな」

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パールネックレス 18,000円
(共にAtelier Ninon /Atelier Ninon TEL 03-6721-1689)