やっぱり知りたい! 『結婚と幸せのカタチ』家族誕生までの秘話百景 ~若年結婚編~

パートナーがいるかいないか、入籍をしているかしていないか、子どもがいるかいないか……。
人の生き方が多様化している昨今。もちろん選択肢が増えるのはすばらしいことだけど、それでも世の中にはあえて「結婚」する人が多いのも事実。みんな、どうして結婚するの?そもそも結婚生活って楽しいの?ぶっちゃけ、結婚してよかったと思ってる?年齢も環境もさまざまなカップルに本音を聞き、気になる結婚の「リアル」に迫ります。

学生結婚に踏み切った22歳のママとパパ

今回お話をうかがったのは、ともに22歳の林 秀さん、瑛未さん夫妻。待ち合わせ場所の公園に現れた秀さんは細身のデニムに真っ白なTシャツ、瑛未さんはカーキのカットソーに白のワイドパンツという装いで、どこから見ても若い恋人たちといったふう。でも、ふたりには、どこへ行くにも一緒のもうひとりの「連れ」がいます。愛娘の陽叶(ひの)ちゃん2歳。そう、彼らは晩婚化が進むいまの時代には珍しい、20代前半での結婚と出産を選んだ家族なのです。

Profile

Profile

林 秀さん、瑛未さん

ともに神奈川県川崎市出身の22歳。地元の高校を卒業後、都内にある別々の大学へ進学。
在学中の2015年4月に結婚し、同年7月、長女の陽叶ちゃんを出産。大学卒業後、秀さんは地元の銀行へ就職。瑛未さんは子育てに専念し、2017年12月に第二子を出産予定。

出会いは5年前、高校2年生のとき

秀さんと瑛未さんが出会ったのは、地元・川崎市の高校。入学してしばらくは「お互いに顔と名前はなんとなく知っている程度」だったというふたり。2年生で同じクラスになったとき、瑛未さんが秀さんにあらためて一目惚れ。瑛未さんからのアタックで付き合い始めます。いくどかのケンカと仲直りを経験しながらも良好な関係は続き、高校を卒業すると、都内にある別々の大学へ進学。そのころには「大学を卒業したら一緒に住みたいねという話をしていました」と瑛未さん。秀さんも「結婚を意識するようにはなっていた」ものの、具体的な計画はなにもなかったのだとか。

授かった命と一緒に生きていく

そんなふたりに、人生最大の転機が訪れます。大学3年生になった20歳の春に、瑛未さんの妊娠が発覚。どうしよう。まったく予想していなかった事態に、戸惑ったのは瑛未さんのほう。「正直に言って、妊娠がわかった直後は迷いました。子どもは産みたいけれど、それには大学を辞めないといけないかもしれない。そこまでして家庭をもったとして、今後の自分の人生はどうなってしまうのか。やっぱり不安でしたね」。胸中に渦巻くモヤモヤを取り払ってくれたのは、秀さんの毅然とした態度でした。「彼には『堕ろす』という選択肢は一切なかったようで、子どもを産むためにどうやって周囲を説得するか、そのあとどうやって生活していくかということしか考えていなかった。自分が大学を辞めて働くと、仕事まで探してきたんです。その姿を見ているうちに迷いがなくなりました。彼に付いていこうって」

2歳の愛娘・陽叶ちゃん

お母さん譲りの美貌ながら、超わんぱく。この日も真っ黒に日焼けした手足を広げて公園を走り回っていました。

そんなふたりに、人生最大の転機が訪れます。大学3年生になった20歳の春に、瑛未さんの妊娠が発覚。どうしよう。まったく予想していなかった事態に、戸惑ったのは瑛未さんのほう。「正直に言って、妊娠がわかった直後は迷いました。子どもは産みたいけれど、それには大学を辞めないといけないかもしれない。そこまでして家庭をもったとして、今後の自分の人生はどうなってしまうのか。やっぱり不安でしたね」。胸中に渦巻くモヤモヤを取り払ってくれたのは、秀さんの毅然とした態度でした。「彼には『堕ろす』という選択肢は一切なかったようで、子どもを産むためにどうやって周囲を説得するか、そのあとどうやって生活していくかということしか考えていなかった。自分が大学を辞めて働くと、仕事まで探してきたんです。その姿を見ているうちに迷いがなくなりました。彼に付いていこうって」

大学を辞めるのは楽で安易な選択?

映画や小説ならば、ここでハッピーエンド。美しい幕切れとなったのかもしれません。でも、現実はそんなに甘くない。人生は続きます。秀さんと瑛未さんの決断に、両家の親は猛反対。 特に、厳格な瑛未さんのお父さんの反対は激しく、当初は取り付く島もなかったといいます。そこに助けの手を差し伸べてくれたのは、秀さんのご両親。子どもを産んで、ふたりが大学を卒業するまでの間、全力でサポートすると申し出てくれたのです。ご両親の厚意を受け、秀さんの心境にも変化が訪れます。「家族を養うために、大学を辞めて働くのが正しい選択だと思っていました。でも、親に『大学を辞めるのは楽で安易な選択だ』と指摘されて。本当に家族を幸せにしたいのなら、大学を出て就職するという従来の方針を変更することなく、同時に家庭ももつための努力をしなさいと言われたんです。たしかにその通りだなと」。大学は卒業する。話し合いを重ねるうちに、親に約束していました。

結婚を認めてもらうための条件

「きちんと大学を卒業して、就職します」。そう説得しても、瑛未さんのお父さんはなかなか首を縦に振ってくれません。お父さん曰く、「それでも考えが甘い」。最大の難関を前に、秀さんはある決心をしました。卒業後は、必ず○○銀行に就職します──安定した収入と充実した福利厚生で知られる、とある銀行の具体名まで挙げてそう宣言したのです。「銀行の月収に対して、毎月必要な支出はいくらなのか、貯金できる額はいくらなのかをノートに書き出して、父に見せました。さすがの父も、『そこまで言うならやってみろ』と歩み寄ってくれて」と瑛未さん。

林家の未来予想図

第二子の出産を控え、「男の子も育ててみたい」と秀さん。将来の夢は地元に庭付き一軒家をもつこと。

「きちんと大学を卒業して、就職します」。そう説得しても、瑛未さんのお父さんはなかなか首を縦に振ってくれません。お父さん曰く、「それでも考えが甘い」。最大の難関を前に、秀さんはある決心をしました。卒業後は、必ず○○銀行に就職します──安定した収入と充実した福利厚生で知られる、とある銀行の具体名まで挙げてそう宣言したのです。「銀行の月収に対して、毎月必要な支出はいくらなのか、貯金できる額はいくらなのかをノートに書き出して、父に見せました。さすがの父も、『そこまで言うならやってみろ』と歩み寄ってくれて」と瑛未さん。

男は黙って内定ゲット

晴れてふたりは結婚し、大学卒業までの期間、サポートを受けながら秀さんの実家で暮らします。臨月の大きなお腹を抱えながら大学に通った瑛未さんは、 留年することなく無事卒業。希望の就職先を1本に絞って就活に臨んだ秀さんは、なんと見事に内定を手にして周囲をあっと驚かせました。「人気の職場だし、彼の大学からではむずかしいと言われていた銀行。まさか本当に就職できるとは思っていませんでした」。そう言って瑛未さんが夫を称える一方、当の本人はいたってポーカーフェイス。子育てしながらの就活はかなり大変だったのでは? と質問しても、「そうでもなかったですよ」などとはにかむのみ。有言実行で多くを語らない男、かっこいい!

小さな努力を積み重ねた先にあるもの

いま、目の前で笑う3人はとても楽しそう。結婚と出産を決めた当時を振り返って、瑛未さんは「あのときの選択は間違ってなかったです」とキッパリ、秀さんは「娘がかわいすぎて……」とデレデレ。
両家との関係も申し分なく、今年の夏も瑛未さんの実家との旅行を楽しみにしているそう(もちろんお父さんも一緒!)。結婚すると、なにかをあきらめなければならない。未婚、既婚を問わずそんなことを言う人もいるけれど、秀さんと瑛未さんがなにかをあきらめたようには思えません。それはふたりが「あきらめないための努力」をしてきたからで、意識的な、あるいは無意識の努力を続けるかぎり、家庭から笑顔が絶えることはないのでしょう。