時代による名前の人気の変遷

男の子の名前

大正時代

「正」の漢字と『清』ちゃんが人気
元号改正の影響で、1912(大正1)年は『正一』ちゃん、1913(大正2)年は『正二』ちゃん、1914(大正3)年は『正三』ちゃんが1位になるなど、「正」の漢字が人気でした。
また、『清』ちゃんが大正時代の15年間のうち、1位9回、2位5回と圧倒的な人気でした。『清』ちゃんの人気は昭和に入っても続き、1955(昭和30)年まで常にベスト10にランクインしました。

昭和に元号改正
となった当初

「昭」の漢字が人気
1927(昭和2)年の1位は『昭二』ちゃん、2位は『昭』ちゃん、1928(昭和3)年の1位は『昭三』ちゃんと元号改正が反映されています。1926(昭和1)年は、元号改正が12月25日で7日間しかなかったためか、名前への影響は見られません。

戦時中

『勇』ちゃん・『勝』ちゃんが人気
1937(昭和12)年に日中戦争、1941(昭和16)年に太平洋戦争が勃発。戦中は、『勇』ちゃんと『勝』ちゃんがトップを二分しました。また、この時期『勲』ちゃんや『功』ちゃんもベスト10にランクインしています。

昭和20年代

『博』ちゃん・『茂』ちゃんが人気
1945(昭和20)年に終戦を迎え、『勇』ちゃん・『勝』ちゃんがベスト10から外れ、従来から人気のあった『博』ちゃん・『茂』ちゃんが1位・2位に。『茂』ちゃんは吉田茂首相の影響が大きかったのではないでしょうか。

昭和30年代から
40年代

『誠』ちゃんが人気
『誠』ちゃんは1952(昭和27)年にベスト3入りしてから、1980(昭和55)年まで常にベスト3にランクイン。28年間で1位の回数は18回と圧倒的な人気。『清』ちゃんから『誠』ちゃんへ世代交代が行なわれたときでもあります。1974(昭和49)年に映画「愛と誠」が公開された当時も1位でした。
また、皇室慶事としては、1960(昭和35)年に皇太子さま(徳仁親王、ご称号:浩宮)がご誕生され、同年と翌年1961(昭和36)年には、皇太子さまのご称号浩宮さまの影響を受け、『浩』ちゃんが男の子の名前の1位になっています。

昭和50年代

『大輔』ちゃんブーム
『大輔』ちゃんは1974(昭和49)年にベスト3にランクイン、1986(昭和61)年までベスト3を維持、1979(昭和54)年から1986(昭和61)年まで8年連続1位でした。1980(昭和55)年の高校野球で荒木大輔選手が甲子園に出場し、『大輔』ちゃんブームを支えました。

昭和60年代から
平成一桁

『翔太』ちゃん・『拓也』ちゃん・『健太』ちゃんが人気
昭和末期からは、『翔太』ちゃん・『拓也』ちゃん・『健太』ちゃんが人気となり、1989(平成1)年から1995(平成7)年まで7年連続で、これらの名前がベスト3を占めました。
また、この頃から、「翔」「樹」「海」「翼」など大自然を連想させる字が目立つようになり、子供の名前は多様化してきました。なお、平成への元号改正(1989年)による影響は、大正や昭和のときほど顕著ではありませんでしたが、『翔平』ちゃんがベスト10入りするなど、「平」の漢字を使った名前が多くランクアップしました。

平成10年代

人気は、『大輝』ちゃんから『大翔』ちゃんへ
『大輝』ちゃんは1998(平成10)年に1位となり、2003(平成15)年までの6年間でトップを4回、3位を1回と人気でした。その後、『大翔』ちゃんが2005(平成17)年に1位となり、以降2位、1位と安定的な人気を保っています。
また、皇室慶事としては、2006(平成18)年に、悠仁さまがご誕生されると『悠斗』ちゃんが6位に、翌2007(平成19)年には、『悠斗』ちゃんが5位、『悠希』ちゃんが10位とベスト10入りしたほか、男の子の名前で、「悠」を使った名前がベスト100に9個も登場するなど、ご誕生の影響がさらにあらわれました。

平成20年代から

人気は、『大翔』ちゃん、『蓮』ちゃん、『悠真』ちゃんへ
『大翔』ちゃんは2011(平成23)年まで5年連続で1位となっていたものの、2012(平成24)年には遂に前年に1位タイとなっていた『蓮』ちゃんに1位の座を明け渡します。その後、2013(平成25)年には『悠真』ちゃんが1位、2014(平成26)年には再び『蓮』ちゃんが1位、2015(平成27)年には4年ぶりに『大翔』ちゃんが1位となり、3つ巴の人気争いでした。

平成から令和へ元号改正となった当初

『蓮』ちゃん、『蒼』ちゃんなど、漢字一文字名前が人気
2019(令和1)年に1位となった『蓮』ちゃんをはじめ、2020(令和2)年は『蒼』ちゃん、2021(令和3)年は『蓮』ちゃん、2022(令和4)年は『蒼』ちゃん・『凪』ちゃん、2023(令和5)年は『碧』ちゃんと、漢字一文字の名前が5年連続で1位となっており、人気を博しています。また、空や海、植物など、自然にちなんだ漢字を使った名前が多くランクインしており、気候変動への関心が名付けにも影響を与えている可能性が感じられます。

女の子の名前

大正時代

「千代」の字、『文子』ちゃんが人気
大正時代の前半は『千代』ちゃん、『千代子』ちゃんと「千代」の字を使った名前が人気で、大正の中盤以降は『文子』ちゃんが人気でした。

昭和初期から
20年代

『和子』ちゃん・『幸子』ちゃんが人気
『和子』ちゃんは元号改正の影響で1927(昭和2)年から1位となり、以後1952(昭和27)年までの26年間で1位23回、2位3回と、圧倒的な人気でした。『幸子』ちゃんも、1950(昭和25)年まで、1927(昭和2)年を除いて常にベスト3入りするほどの人気でした。なお、1929(昭和4)年から1948(昭和23)年までの20年間のうち、『和子』ちゃん・『幸子』ちゃんのワンツーフィニッシュ(1位・2位)が16年間もありました。

昭和30年代

『恵子』ちゃんと「美」の漢字が人気
昭和30年代は『恵子』ちゃんがベスト3入りを9年間続け、そのうち6年間で1位になるほど人気の名前でした。また、1958(昭和33)年に『久美子』ちゃんが、1960(昭和35)年に『由美子』ちゃんがそれぞれベスト3にランクインし、現在でもよく女の子の名前に使われる「美」の漢字が、徐々に多くなってきました。
また、皇室慶事としては、1959(昭和34)年に天皇陛下と皇后陛下(美智子さま)がご成婚され、同年、『美智子』ちゃんが4位となりました。

昭和40年代

女の子の名前は多様化、「子」離れが始まる
昭和40年代の初めは「美」の漢字が人気で、『由美子』ちゃん、『真由美』ちゃん、『明美』ちゃん、『直美』ちゃんが人気でした。「子」の止め字を使った名前が女の子の名前の大半を占めていましたが、この頃より「子」離れが始まりました。

昭和50年代から
60年代

『愛』ちゃんが人気、「子」離れが完全に定着
『愛』ちゃんは、1978(昭和53)年にベスト10入りし、その後1980(昭和55)年に6位、1981(昭和56)年・1982(昭和57)年は2位、1983(昭和58)年から1990(平成2)年まで8年連続で1位をキープ、その後も1995(平成7)年までベスト3にランクインを続けました。また、1986(昭和61)年には「子」離れは完全に定着し、ベスト10から「子」の止め字を使った名前が消えてしまいました。

平成一桁

『美咲』ちゃんが人気
『美咲』ちゃんは、1991(平成3)年から1位となり、以後1996(平成8)年まで6年連続トップとなりました。その後もベスト10にランクインし続け、2002(平成14)年と2004(平成16)年には1位に返り咲きました。なお、平成への元号改正による影響では、1989(平成1)年に『成美』ちゃんが4位にランクインするなどしました。
また、皇室慶事としては、1990(平成2)年に秋篠宮文仁親王と紀子さまがご成婚され、『紀子』ちゃんが同年73位となり、前年236位から急上昇したほか、『早紀』ちゃん(26位)など、紀子さまの「紀」にあやかった名前が、ベスト100に6個も登場しました。また、1993(平成5)年に皇太子さまと雅子さまがご成婚され、同年、『雅子』さまのお名前が162位となり、前年の464位から大幅にランクアップをしました。

平成10年代

人気は、『さくら』ちゃんから『陽菜』ちゃんへ
平成10年代前半は、『さくら』ちゃんが人気。『さくら』ちゃんは、2000(平成12)年に1位となり、2004(平成16)年まで5年間で3回トップ(3位が1回)となりました。後半になると『陽菜』ちゃんが人気となりました。『陽菜』ちゃんは、2003(平成15)年に1位となり、2009(平成21)年まで7年間で5回トップとなっています。

平成20年代から

『陽菜』ちゃん、「結」の漢字を使用した名前が人気
平成20年代に入っても『陽菜』ちゃん人気は継続。2016(平成28)年までの9年間で1位が4回、2位が3回、3位が1回と安定した人気を保っています。ほかにも、2018年調査では「結」を使用した名前がトップ3を独占するなど、「結」の漢字を使った名前が人気なのも特徴です。

平成から令和へ元号改正となった当初

『陽葵』ちゃん・『凛』ちゃんが人気
2019(令和1)年から、『陽葵』ちゃん、『凛』ちゃんが、安定してトップ3入りとなっています。また、平成以降から花や草木をイメージとした名前の人気が継続しておりましたが、令和時代に入り、「和を連想させる」名前の人気が上昇しています。

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